
私をベトナムへ誘ってくれた2人の女性 ~私のベトナム備忘録😅~
久々のベトナム備忘録です。。😀😀
1990年代初、バブル最後世代でギリギリ就職を果たすも、2年目に仕事を辞めてしまいまして、😅😅
”何故だ!”
”もうこれから日本経済が駄目になる!”
”折角手に入れた椅子を手放すなんて!”
こんな⇧周囲の忠告を気にも留めず、取敢えず自由の身になりベトナムを再訪しました。ワタシは細かい事を覚えている割に大事な記憶がいまいちで、同行者は誰かとか何故行くことになったのか全然思い出せませんが、ホーチミン市滞在の最終日だけが鮮明に記憶に残ってます。
最終日の夕方、サイゴン・ツーリストの日本語ガイドさんに連れられてベン・タイン市場に買い物に行きました。当時の市場の裏側一列は全てカセット・テープ屋、所謂『音楽専門店』で、(←覚えている方いらっしゃいますかね。。??😀😀) 四角いプラ製のザル籠にカセット・テープが入っていて、自分の好みのテープを探すまでお店の人がどんどん籠を取り換えてくれるシステムでした。。。
市場の中から外側までぐるっと散策し、裏手でカセット・テープが目についたので、”ああ、お土産にいいかも”と思い、”ベトナムの歌のカセット・テープを買って帰りたいんですが”、と日本語ガイドさんに言ってみました。
如何にも南部人という感じの20代後半くらいの男性ガイドさん。
ツアーの数日間常に絶えなかったニコニコ笑顔が急に消えて、ビックリ眼で真剣に、”えっ??”と聞き返されました。。。
”本当ですか?? 本当にベトナムの歌を??”
その様子に圧倒され、”はい”と返事した途端、ガイドさんはくるっと向き直ってテープ屋の店主に何事かを言うと、一心不乱に籠の中のテープを探し始めました。
いいテープが無いのか諦めずに籠チェンジを繰り返すガイドさんの顔からは汗が流れ落ち、その後ろ姿には鬼気迫るものがありました。もう誰も止められない。
ほったらかしの観光客へ店主は苦笑いを送って来ますが、ワタシたちも熱いのなんの、それと当時のベン・タイン市場の夕方の裏手は店じまいの家畜に海鮮の排水、人の熱気やら排ガスやらが混じって強烈な臭いが充満し、
”ああ、もうお土産はいいや、要らないって言おう。。”
そう思った時に丁度、テープを握りしめたガイドさんの右手が上がりました。。。関係者全員がほっとした瞬間。。(笑)
額の汗を拭き拭き、満面の笑顔でテープを渡しながらガイドさんは、
”必ず、必ずベトナムに戻って来てください。”
何故か、ワタシにこう言いました。
その夜の香港経由キャセイパシフィック便で帰国し、暫くしてから取り出したカセット・テープは、戦前戦後を通してベトナムの国民的歌手だったKhánh Ly(カイン・リー)さんの、全曲に一部日本語歌詞があり、しかも全てご本人歌唱によるベスト・アルバムでした。
当時全然基礎知識が無かったワタシは、タカをくくってそんなに期待もせず、ただ無職の所謂プータロー(笑)なので寝っ転がって毎日テープを聞き始め2週間ほどたった或る日。突然、聞こえてくるテープの完成度の高さにビックリして跳ね起きました。本当に、跳ね起きたのです。
その時に、何故か、
”これは大変だ、ベトナムに行かなきゃ。。”
と、呟いた様な朧げな記憶があります。
今思い出せば、全く不思議ですが。
そのテープは余にも再生しすぎて擦り切れてしまいましたが、勿論今でも全曲思い出せるし、日本語歌詞の部分は口に出すと自然に出て来ます。まだ若い脳の海馬のお蔭か、今だったら絶対にムリだ。😅😅
****
そしてもう一つの記憶ですが、
丁度その頃にテレビのNHKで『アジア映画祭り特集』のような放送があり、ベトナム映画も放映されました。その映画のタイトルが、
『Xương Rồng Đen(黒いサボテン)』
ネットに動画がありました。⇩
Việt Trinh(ベッ・チン)という当時のトップ女優さんが少数民族の女性を演じ、アメリカ兵の混血児と恋愛し結婚するストーリーですが、昔の中部ベトナムの風景が美しく、音楽も素晴らしい。
プータローなので、ビデオテープにダビングして繰り返し繰り返し見てましたが、やっぱり或る日突然、我が家のボロテレビの液晶を凝視しつつ、
”あれ、やっぱりベトナム行かなきゃだ。。”
と思った微かな記憶が本当にあります。
なんでか?と問われたら、今でも自分でも理由は解からないです。
それでも、その後奮起して1990年代初めに南部ベトナムへ飛び込み、色んな人に世話になり迷惑を掛けながら、南部人の今の夫と結婚し娘も授かり、今こうしてベトナム史を探索し、おまけにベトナム独立に生涯を捧げた革命家達の自伝等を翻訳・出版してるのだから、人生は何と不思議な糸で繋がっているものかと思います。
思い返せば、バブル崩壊後の日本で悶々としていたあの時、ベトナムの歌姫と国民的女優の2人がそれぞれにワタシの両手を取りベトナムまで引っ張ってくれた様な気がしてます。今世で直接会ったことは無かったけど、あの世で会えたら、”ありがとう”と伝えたいです。。。
***
ついでのおまけで、、、
あの頃、『Việt Trinh(ベッ・チン)が女優さんの代名詞』と言う位の売れっ子で雑誌の表紙は殆ど彼女でした。
ローカルテレビ局で外資系生産業がCMを流し始めた頃で、殆どが日本やアジアCMのベトナム語吹き替えでしたが、三菱自動車だったかが初めてベトナムローカル向けCMを製作し、Việt Trinh(ベッ・チン)が起用されました。白い花嫁衣裳を着た彼女がパジェロが何かに乗る場面を覚えている方、是非コメント下さい!!😅😅
それと、映画『黒いサボテン』の後半でViệt Trinh(ベッ・チン)がサイゴンへ上京し、都会のカフェ店員のチョイ役で一言、二言セリフを言う若い女優さんが出ていました。何故か目を引かれる可憐な姿と可愛い声に一瞬で心を奪われてしまい、何度も彼女の場面を巻き戻して見てました。
その後にベトナムに移り住んでから、彼女が新進の人気女優になっていたことを知りました。確か名前は『Mỹ Duyên(ミー・ズエン)』さんだったかな。
スターになる人は、生まれ持った見えない輝きを放っているんだと判ってびっくりしました。
Việt Trinh(ベッ・チン)さんの写真はそれこそ数多いですが、もう30年以上前にワタシが本当に美しいと思っていた彼女のお写真がネットで発見できたので、一番上に張り付けました。⇧
儚げでも凛とした、強いベトナム女性の美しさ。
30年前のベトナムの面影を思い出します。