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メイン7 事故の真相

【7話あらすじ】クラスメイトの兄が交通事故の加害者になり、それをきっかけにクラスの雰囲気が悪くなってしまった。

冬休みに入り、白田は家のコタツでテレビを見ながらゲームをしていた
今日は元旦で、白田家全員が集まっていた
夕方 母が大掃除をするため、リビングでバタバタしている


 はじめ!あんたゴロゴロしてるだけなら、大掃除手伝いなさいよ!

白田
 だって俺の部屋、掃除もう終わってるし


 あんたたちは自分の部屋だけだけど、私は家中なのよ!ほら!みんなの部屋からゴミ集めて来て

白田は母から、大きなゴミ袋を投げ渡された

白田
 えー。はいはい

白田は重い腰を上げ、ゴミ袋を持って2階へ上がる。まずは長女の百合ゆりの部屋に行く

白田
 百合ちゃーん。ゴミある?

百合
 あるー。これお願い

百合は白田家の長女で、白田の6つ上の社会人で、離れた土地で一人暮らしをしている

白田
 百合ちゃんの部屋相変わらず綺麗だね

百合
 荷物が少ないだけだよ。机とかタンスは向こう持ってったし。本棚は持っていってないから、後で久々に漫画でも読もうかな

白田
 そっか。深雪みゆき姉ちゃんも見習って欲しいね

白田は次に次女の深雪の部屋へ行く
深雪は3つ上の姉で、大学生だ。部屋には韓国の男性アイドルのポスターや、ライブのグッズなどごちゃごちゃした部屋だ

白田
 ごみ回収に来たよー。ここにあるの全部ゴミ?

白田は床に置いてあるライブのペンライトたちを指さす

深雪
 そんなわけねーだろ!ここにまとめたやつ、持っていって

白田
 はいはい。ん?これも捨てるの?

白田はゴミ袋に入ってるアニメキャラのアクリルキーホルダーを指さす

深雪
 うん。それ元彼とそのアニメの映画見にいった時に買ったやつだから、それ見るとあいつの顔思い出すから捨てるの。あの野郎、自分はアニメオタクのくせに、アイドルオタクの私をバカにしやがって…別れて正解だったわ!

深雪は綺麗になった棚の上に、別のキャラのグッツを並べ始める

白田
 今度は何にハマったの?

深雪
 これ?んふふぅ。これ最近ハマったYouTuberの『お月見』君!友達から布教されて、最初はYouTuberなんて、って思ったけどー、お月見君の声が低くてかっこよくてー、話も面白くて、気づいたらハマってたんだよ〜。

白田
 へー

白田は興味なさげに聞いている

深雪
 顔出しはしてないんだけど、きっとイケメンなんだろうなークラスでは目立たないんだけど、前髪あげたら、あらイケメン!みたいな!

白田
 何それ

深雪
 あんたと同じ高校一年生なんだって〜。地元同じみたいだから、ワンチャンお前のクラスにいるんじゃないの?探して来て!

白田
 いるわけないだろ。夢見過ぎてキモイよ

深雪
 うるせーな!愚弟が!!てめーはさっさとシコって寝ろ!!

白田
 うわーセクハラだー。引くわー。そんなんだからいつまでたっても彼氏出来ないんだよ

深雪
 ふん!私はその辺の男に妥協して付き合うような安い女じゃないの!ありのままの私を愛してくれるイケメンじゃなきゃ、私は付き合えません!

白田は父の部屋に向かう

白田
 父さん、ゴミある?


 あるぞー。これ持って行ってくれ

父は一つにまとめたゴミ袋を白田が持っている大きなゴミ袋に入れた


 ありがとう

白田
 父さんの部屋なんか物多くない?

白田家の父と母の部屋は別々だ
父の部屋は机とベッドと本棚とゴルフのクラブセットしか置いていないシンプルな部屋だったが、今は使われていないハンガーラックや、壊れた椅子が置いてある


 すっかり母さんに物置部屋にされちゃったよ。これなんか粗大ゴミじゃねーか。

父が笑いがら椅子を叩く

白田
 この間なんか、友達が来るからって母さんが出し忘れた資源ゴミ入れてたよ


 えーひどいな、全く笑。

白田は重くなったゴミ袋を引きずり、階段を降りて玄関に置き、再びコタツに潜りスマホでゲームを始めた
しばらくすると皆部屋の掃除が終わったらしく、コタツに入ってテレビを見ていた
正月スペシャルの番組を見ながら、スマホを見ている


 もう!みんなしてコタツ入ってぬくぬくして!暇なら手伝いなさいよ!

深雪
 えー無理ーコタツから出られなーい

百合
 無理ー


 父さんも無理ー


 はじめ!あんたは十分温まったでしょ!こっちきて手伝って!

白田
 えぇーそんな理不尽なぁ

白田は渋々コタツから出て、キッチンへ行く

深雪
 へっ。ざまぁ

百合
 はじめーあんた初詣行くの?

白田
 あー多分行かねーかな

百合
 じゃあ今年はうち、誰も初詣行かないね

深雪
 去年まで毎年行ってたのにね


 去年は美雪とはじめが受験だったもんなぁ。その前は百合の就職祈願で。なんやかんや毎年恒例だったけど、今年は特にないもんなぁ


 願うことと言えば、みんなの健康と宝くじだけよね

深雪
 確かに

白田
 お前は縁結びでも行けよ

深雪
 縁切り神社行って、お前との兄弟の縁切ってやろうか


 縁切り神社かぁ。父さんも行きたいなー

百合
 嫌いな人でもいるの?


 昭和の頑固親父が上司にいてさぁ、若い子が可哀想なんなよね。こういう人今時なんて言うんだっけ?

白田
 老害?


 そうそう!老害って言うんだってね。本当に老害じじいだから、早く退職してくれよって思ってるよ


 その人が退職したら、お父さんが昇格するのかしら?


 もしかしたらね

深雪
 昇給目当てじゃーん

白田家は楽しそうな笑いに包まれる。
家族は夕飯を食べ、母はキッチンで洗い物を終えた後、父がトイレに行った隙にコタツを占領する
退かされた父は息子のスペースにぎゅうぎゅうに詰めて入り込む

白田
 いや、そんなに入りたいならどうぞ!


 あぁ、悪いな

父はそう言いながら母が入れてくれたお茶を飲む
白田は一人でソファに寝転ぶ
百合は自分の漫画を座って読んでいる
白田のLINEに通知が来る

羽柴
「ジーさん明日初詣行くの?」

白田
「行かないかなー。え、行くの?」

羽柴
「行かない。ジーさんたちが行くから行こうかなーって感じだった」

白田
「横原は?」

羽柴
「明日は行かないって。人混みに行きたくないから、空いてる日に行きたいって言ってたよ」

白田
「へー。じゃあ俺もそうしようかな。月曜日にみんなで行かね?」

羽柴
「いいね。じゃあ空太にも伝えとく」

白田
「(了解スタンプ)」

白田
 俺月曜初詣行くことになった

百合
 友達と?いいじゃん。あんた初詣一緒に行くような友達出来たんだね

白田
 はぁ?

深雪
 確かにー、初じゃね?

白田
 まあ、そうだね。

白田は二人の顔を思い出し、少し小恥ずかしい気持ちになる

百合
 てか、深雪〜。あんた私の漫画勝手に読んだでしょー

深雪
 え?読んでないけどっ

百合
 ここにあんたの推しのライブチケットが、しおりになって挟まってるよ

百合が漫画を美雪に見せる

深雪
 げっバレたか。てかそれそんなとこにあったのか。返してぇ

百合がしおりとして使われていたチケットを深雪に手渡す

百合
 別に言えば貸してあげるのに。黙って借りるのやめてよ

深雪
 ごめーん。てか百合ちゃん、「お月見くん」って知ってる?

百合
 あぁ。知ってる。私の同期が最近ハマったって言ってた。YouTuberでしょ?

深雪
 そうそう!私も好きでさぁ。ほら!はじめ。結構有名なんだよ。友達にも布教しなさい!

白田
 変な姉いるのバレるからやめとく

深雪
 もー可愛くないんだからー


 おい、飲酒運転で死亡事故だってよ。これ近所じゃねーか?

父がニュース番組が流れるテレビを指さす

百合
 亡くなったの、自転車に乗ってたおじいちゃんだって


 本当だ。怖いわね。みんな気をつけてね

深雪
 「少ししか飲んでないから大丈夫だと思った」って、この人最低

白田はテレビをチラッと見てから風呂に入るためリビングを出る



短い冬休みが終わり、学校が始まる前日の月曜日に白田は横原と羽柴と三人で近くの神社に初詣に来ていた
三人は参拝を終え、おみくじを引いたり、屋台で食べ物を買ったり、神社をぶらぶらしていた

羽柴
 ん?あれもしかして百川さんと小西じゃない?

三人の目線の先に、歩いて来る百川と小西がいた

横原
 本当だ。あ、向こうも気づいたみたい

小西が駆け寄って来る
その後ろを百川がゆっくり歩いてくる

小西
 めっちゃ偶然じゃん!お前らも今日初詣来てたんだな

横原
 空いてる時に来たくて。二人も一緒に来てたんだね

百川
 小西が一人で初詣行きたくないって言うから、仕方なくついて来てあげたの

小西
 今から参拝しに行くんだけど、お前らはもう行ってきたの?

白田
 うん、さっき行ってきたよ。結構人いたけどね

小西
 てかさぁ、この間この辺で事故あったのわかる?飲酒運転で捕まった人、俺らの同級生の兄貴なんだって

羽柴
 え、そうなの?

百川
 うん。2組に関口って男子いるでしょ?そいつのお兄さんが逮捕されたみたい。詳しくは分からないけど、私の家事故現場に近くて、パトカーとか救急車でうるさかったから、野次馬しに行ったの。その時関口君っぽい人がいたんだよね。逮捕された人と苗字同じだし

白田
 えぇ、俺体育でペア組んだ時くらいしか話したことないけど、あいつ大丈夫なのかなぁ?明日話しかけてみようかな

横原
 うーん。本人もメンタル的にしんどいと思うから、話しかけるよりは、そっとしておくのが一番だよね

羽柴
 まあ、そうだね。



次の日
冬休みが終わり、再び学校が始まった。
白田が教室に入り、自分席に着くと隣の席にいる横原と羽柴に話しかけられる

横原
 おはよう

羽柴
 はよー

3人で話そうとしたら、クラスメイトの中林に話しかけられる。中林はクラスの一軍といわれる部類で、普段白田たちと話すことは少なかった

中林
 なあ、お前ら知ってる?関口の兄ちゃんが逮捕されたって

中林はゴシップが好きで、他クラスにカップルが出来たとか、先生の不祥事やらを見つけてはみんなに拡散している

3人は目を合わせてから頷く

横原
 まあ知ってるけど

中林
 飲酒運転でおじいちゃん轢き殺しちゃったってね。しかも未成年飲酒だって。酷いよなぁ

白田
 あぁそういば19歳って書いてあったような。あれ?でも名前出てたよね?未成年は名前でないんじゃないの?

羽柴
 成人年齢が18歳に引き下げられたから、実名報道されるんだよ。でも飲酒、タバコとかは20歳からってのは変わってない

横原
 未成年飲酒で飲酒運転…確かに許されるものじゃないね

中林
 あいつ学校来ると思う?

白田
 来るんじゃない?気まずいだろうけど、あいつは逮捕に関係ないし

教室の扉がガラッと開き、関口 和馬せきぐち かずまが教室に入って来た。関口は空手部でがっしりとした体で、短髪で目つきが悪い。
さっきまで楽しそうに賑わいでいた教室がシーンとなり、関口に視線が集まった。関口は一瞬たじろぐも、平然とした態度で自分の席に座る

中林
 うわ…本当に来た

白田はクラスを見渡す
クラスメイトは関口を見ながらコソコソ話している。関口は黙って椅子に座っている
クラスメイトの1人が関口の席に近づき、関口に話しかける

武宮
 なぁ、お前の兄ちゃん。逮捕されたって本当?

武宮は中林と仲良くしている一軍の部類の1人で、いつも誰かをからかっている
クラスメイトは武宮と関口を見る

中林
 うわっ笑。エグっ。あいつ言ったよ笑笑。

関口は目線だけを武宮に上げて言う

関口
 …そうだけど

クラスメイトは「本当なんだ!」と言うふうにざわつく

武宮
 ぶっちゃけ、お前も飲んでたっしょ

武宮はニヤニヤしながら聞く

関口
 …は?飲んでないけど

武宮
 お前助手席座ってたんだろ?運転止めなかったってことは、お前も飲んでたんじゃねーの?

関口
 何も知らないくせに…アホ抜かしてんじゃねーよ!

関口は勢いよく椅子から立ち上がり、武宮の胸ぐらを掴む

武宮
 うわっ…ガチギレじゃん。怖。俺も轢き殺されちゃう?

クラスは関口と武宮を注目する

中林
 ははっ笑。エグっ

白田が中林の方を見ると、中林はスマホを持って2人を撮影していた

白田
 えっ…ちょ、あ…先生来るよ!

白田は武宮に伝えるように、大きな声で言う
武宮は白田の方を見てから関口を見る
関口は手を離して座る
チャイムが鳴り、先生が教室に入って来る

先生
 はーい。みんなあけましておめでとうー。

先生はお気楽な調子で朝礼を始める



放課後 終礼が終わり白田たちは帰る支度をしている
この学校のスマホの使用ルールは、朝礼が始まってから終礼が終わるまで使用禁止であるため、終礼が終わったら皆スマホの電源を付け、教室で使い始める
スマホを開いた1人の生徒が、困惑した表示で友達にスマホの画面を見せている
それが伝染し、白田たちもその画面を見せてもらった

白田
 え…これさっきのじゃん

それは、関口が武宮の胸ぐらを掴み、睨み合う動画だった
動画の最後には白田の声も入っていた
白田は教室を見回すが、中林と武宮、関口はもう教室にはいない



次の日 朝礼前のためクラスメイトたちはスマホを片手に会話をしていた
勢いよく教室の扉が開く

関口
 中林どこだ

関口は怒りを抑えた低い声で言う

神崎
 ま、まだ来てないよ…

神崎は富山と入り口近くの席で話していた
廊下から武宮と中林の声がする
関口は声の方へ行く

武宮
 これバズったくね?今までで一番伸びたかもじゃん。コメント欄もやばい

中林
 それな!

関口
 おい!!

関口は廊下を歩きながら大きな声で叫ぶ
中林と武宮は立ち止まる

武宮
 あぁ…おはよう

中林は関口にスマホを向けた

関口
 …てめぇまた撮ってんな。見せもんじゃねーぞ

中林はスマホを下ろした

中林
 どうしたの?

関口
 てめぇが昨日勝手に撮った動画見たんだよ。あれ今すぐ消せ

武宮
 …何のこと?

関口
 しらばっくれんのか。てめぇしかいねーだろうが。しかもご丁寧に俺の説明付け足しやがって。おかげで来る途中くそ顔見られたわ

関口は中林を睨みつける

武宮
 じゃああんなことしなきゃよかったのに

武宮はニヤリと笑う

関口
 てめぇが煽ってきたんだろうが

中林
 コメント欄にさ、君の兄貴と同じ高校生だったって人がコメント書いててさ。お兄さん高校生の時も飲酒、タバコやってたんだって?

中林はスマホを見ながら言う

関口
 はぁ?兄貴はそんなことしてねーよ!誰だそいつ!嘘に決まってるだろ

武宮
 他にもあるよ「弟も絶対酒飲んでるだろ」って

関口
 はぁあ?マジで話にならねぇ。いいからその動画消せって言ってんだよ

中林
 嫌だね。今までの動画で一番バズってるし、どうせ消しても拡散されてるから残るよ

関口
 ….てめぇ。マジで許さねぇ

2組の前の廊下は3人しかいない。遠く離れた廊下に数人生徒がいるが、気にせず各々のクラスに入って行く
白田は気まずくて、ずっと廊下の柱に隠れていた

白田
(やべぇ気まずくてあそこ通れないんだけど。また遅刻しちゃうよ)

もうすぐチャイムが鳴るため、先生が階段を登って来る

白田
(あ!先生来た)
丹波たんば先生!おはようございます!

白田は3人に聞こえるように、大きな声で言った
先生は階段下から顔をあげ、返事をする

先生
 おぉ…おはよう。元気いいな

関口はそれに気付き、教室に入る
先生が教室前に到着する

先生
 ほらっ、早く中入れ。チャイム鳴るぞ

武宮と中林は黙って教室に入る
白田は先生の後ろからこっそり教室に入り席に座る

未だ隣の席の横原が話しかける

横原
 何してたの?

白田
 後で!後で話すから

白田は席に座る


昼休み 3人は久々に学食でお昼を食べていた
白田は先程あったことを2人に話した

羽柴
 うわーやばいね。俺らも何となく揉めてんなーって分かってたけど、そんなことになってたんだ

横原
 中林と武宮は何考えてんだか。不謹慎にも程があるよ

白田
 でもさぁ、関口君も胸ぐら掴むのはどうかと思うよぉ。あんな感じだと余計印象悪く見えちゃうよね

小西が3人が座っていた席に座る

小西
 噂の関口君って、2組の関口でしょ?

白田
 そうだよ。あの動画、俺の声まで入ってて。著作権の侵害で訴えようかな

羽柴
 それを言うなら肖像権じゃない?

小西
 俺のクラスでも関口君の噂で持ちきりだよ。関口君も酒飲んでタバコ吸ってたって本当?

横原
 話がどんどん飛躍してるな。多分だけど違うと思うよ。お兄さんの高校の話は否定してたみたいだし。悪意のある噂が勝手に1人歩きしてるだけだよ

小西
 うーん。そうだよな。俺あいつと喋ったことないけど、そんな奴には見えないな。あいついつも部室で1人で練習してるし、外でよく走り込みしてるの見るから、酒とかタバコとか筋肉に悪いことしなさそうだもんな

羽柴
 空手部なんだっけ?

白田
 うん。サッカー部の部室から、たまに空手部がやってるとこ見えるんだよね。この間さ、遅い時間で誰もいないと思ったんだろうね笑、鏡の前で上半身裸で笑、1人でポージングしてたんだよ笑笑笑!

小西
 あれヤバかったよな笑笑!!普段ムスッとしてるのに、1人でポージング決めてて笑笑!可愛いとこあんじゃねーかって!

白田
 写真見る?

横原
 えぇ…おいおい。勝手に。盗撮なんてあいつらと一緒だよ

横原と羽柴が隠し撮りしたポージング関口を見る

横原
 ぶはっ!!!え!?本当に?笑笑!!関口君?

羽柴
 めっちゃいい笑顔じゃん

横原
 あははは笑笑。確かにこれは笑っちゃう!!

白田
 はは笑笑。俺この写真大好きなんだけど笑笑

羽柴が写真の関口のポーズを真似る

小西
 やめろよ笑笑!!!思い出す!!がはは笑笑

横原
 腹痛い!腹痛い!あはははっっ笑笑!!

白田は声にならない声をあげ、机をバンバン叩く
しばらくして皆呼吸を整える

白田
 はーー笑った。何の話してたんだっけ?



次の授業は体育で、身体測定で2人1組になってそれぞれの種目をお互い測り合う
白田は名簿が一つ後ろの関口とペアだ

関口は黙っている
白田も黙って紙に名前を書く

白田
 じゃあよろしくー

白田は関口に紙を渡して、反復横跳びをする
白田はサッカー部であるため、なかなかの記録が出る

白田
 どうだった?

息を切らした白田が関口に近づく
関口が記入した回数を見て白田は喜ぶ

白田
 やったー中学の時より増えてた!あーよかった。関口君も頑張れ

関口は小さく頷くだけだった
数分後 ほとんどの種目を測り終わり、残すところは長座体前屈と握力
白田が床に座り、メジャーをセットする

関口
 なんで…普通に話せんの?

関口が下を向きながら言う

白田
 え?普通って?

関口
 俺、中林と武宮に、胸ぐら掴んでる動画撮られて…お前も見てただろ。俺の兄貴捕まったし

白田
 あぁ…でも俺は関口君があいつらが言ってたような人じゃないって思ってるし。お前の兄貴が捕まったのは、お前のせいじゃないじゃん

関口
 …なんでそう思えるんだよ

白田
 ええ?

白田は座った状態で、思いっきり手を足の先につけようとする

白田
 中林と…武宮が…勝手に…騒いでるっだけだろっ

関口はメジャーを見て、数値を記入する
白田は体を戻す

白田
 胸ぐら掴むのはよくないよ?関口君目つき悪いし口も悪いから、みんなに悪い印象与えるんだよ。普通に否定すればこんな騒ぎにはならなかったのに

関口
 確かに…

白田が立ち上がり紙を持つ
関口は床に座り、メジャーをセットする

関口
 …最初は止めたんだ

関口は手を足の先にくっつける

白田
 うおっ。意外と柔らかい

白田は数値を記入する
関口はそのまま話続ける

関口
 兄貴は関西の大学行ってるから、正月に久々に帰って来たんだよ。それでじいちゃんの家行って、家族で飯食べてたんだ。じいちゃんとか叔父さんがさ、兄貴はもう二十歳だと思って酒を進めてた。兄貴も誕生日もうすぐだからって言って少しだけ飲んでた。

白田
 へぇ…そういう感じだったんだ

関口
 帰る時に、父さんも母さんもベロベロに酔ってて、兄貴が「自分が運転する」って言ったんだ。「少ししか飲んでないし、酔ってないから」って言って。俺は免許持ってないし、最初は止めたけどしょうがないと思って任せたんだ。でも兄貴は初めての酒だったみたいで、やっぱりちょっと酔ってたみたいだった。それで、曲がり角から自転車が飛び出して来た時、避けきれなかった

白田
 そうだったんだ…みんなが言ってるような感じと全く違ったね。動画のコメント欄に「地元の先輩と飲んでた」ってのがあったけど。デマじゃん

関口
 兄貴は筋肉オタクで、二十歳になっても酒はあんまり飲まないようにするって言ってたし、タバコなんて論外って言ってた。何も知らねーくせに事実みたいにコメント書くやつが、俺は本当に許せない…

白田
 あ…そうなんだ
(兄弟揃ってか)

白田は先程見た関口のポージング写真を思い出して笑いを堪えた
関口は体を起こして立ち上がる
2人は握力測定の場所に行く
白田は握力測定機を右手で持つ

白田
 まあそのうちみんな忘れるよ。今は衝撃的なニュースにびっくりして拡散してるだけたがら。飽きたら違うニュースに飛びつくってっ!!!

白田は顔を変形させながら右手に全力を込める

関口
 ふはっ笑笑

関口は白田の変顔を見て吹き出しながら、数値を記入する
白田は左手に持ちかえ、また変顔をしながら力を込める

関口
 …笑笑。その顔やめれる?ははっ笑笑。面白すぎるんだけど笑笑

白田
 え?何?これ俺の全力の顔なんだけど笑

白田は腹を抱えて笑っている関口に握力測定機を手渡す

関口
 今年学校来てから嫌なことしかなかったけど、お前の顔見て元気でたわ。ありがとな

白田
 うーんどういたしまして

白田は納得がいかないが、元気になったのならいいかと思った

関口
 俺も明日からは気張るよ。そのうちみんな忘れるよなっ!!

関口は変な顔をして右手に力を入れる

白田
 ぶわはははっ笑笑!!ちょっ!笑わせんなし!あははっ笑笑

関口
 ふぅ笑

白田は数値を記入する
関口はまた違う変顔をして左手に力を込める

白田
 ちょっ笑笑!!変化球入れんなってぇ!!あはは笑あはっ笑笑。はっはっ笑笑!!

体育の先生
 おい、そこうるさいぞー

白田
 すいませぇん笑笑。はははっ笑笑

関口は笑顔で握力測定機を置く
 

次の日 クラスメイトはまだ関口を腫れ物扱いしているようだ。中林と武宮はもう関口に構う様子はない

昼休みになり、生徒たちは購買に行ったり、机をくっつけたりしてお昼を食べる準備をしていた

羽柴
 なあ、今日学食担々麺だって。行かね?

横原
 えー!俺今日パン買っちゃったよ。

白田
 …なあ、関口君も誘ってもいい?

羽柴
 ん?いいよ

白田
 あいつ面白いんだよ。友達になりてーなーって

横原
 うん。俺も構わないよ

白田
 サンキュ

白田は教室を出た関口に駆け寄る

白田
 関口君!担々麺好き?

関口
 え、まあ好きだけど

関口は驚いた表情で答える

白田
 じゃあ学食行こうよ

関口
 え…いいの?

関口は白田の後ろにいる横原と羽柴を見る

白田
 うん。良いって。混むから早く行こう

白田は関口の背中をポンと叩き連れ出す

食堂 4人はいつもの席でお昼を食べる。横原以外は担々麺を食べている

白田
 これ意外と辛くねーな。俺ラー油持って来る

白田は食堂の調味料置き場からラー油を持って来て、自分の担々麺に6滴垂らす

白田
 いる人ー

羽柴
 いる

羽柴も6滴垂らす

羽柴
 関口君もいる?

関口
 いや、俺辛いの苦手だから

横原
 え、そうなの。以外

白田
 激辛得意そうな顔してるのに

白田が麺をすする

白田
 ゴフッ…ガハッ……辛い…

横原
 入れすぎじゃない?

羽柴
 そう?僕は丁度良いけど

羽柴も麺をすすって食べる

関口
 どちらかと言えば、甘いのが好き

横原
 へー。あ、学校近くのさ、「マドンナ」って喫茶店知ってる?あそこミルクティー美味しんだよ

関口
 知ってるけど行ったことはない。あそこ1人で入る勇気ない。

羽柴
 じゃあ今度みんなで行こうよ。ジャック先輩と一緒に行けば、クーポン使って奢ってくれるかもよ

関口
 ジャック先輩って、2年の目立つ人?

白田
 そうそう。あの人、そこの常連なんだって

関口
 へぇー

関口が麺をすする
小西が日替わり定食のカツ丼を持って、白田たちが座っているテーブルに来る

小西
 あれ、噂の関口君じゃん。どしたの?

横原
 また来たのか小西

小西はテーブルの横に椅子を持ってきて、プレートを置き無理やり座る

小西
 てか担々麺めっちゃ美味そうじゃーん。一口ちょうだいー

羽柴
 レアメニューの担々麺の日に、カツ丼て。ナンセンスだね、小西

小西
 今日はカツ丼の気分なの!てかなんで関口いるの?

小西は箸を持ちバクバクとカツ丼を食べる

白田
 こいつ面白いからさ、友達になりたいと思ってさ。どうせ飯食う友達いないと思って

横原
 お前さ、いつも一言多いんだよね。言わなくていいだろ、最後の文は

関口
 別にいいよ。濁されるよりまし

白田
 こいつ、酒もタバコもしてないし、お兄ちゃん真面目ないい人なんだって。だから噂は全部嘘なの

小西
 そうだよね。俺もボディビルダーはそんなことしないって思ってた

関口
 ボディビルダー?

白田
 おい!!

小西は手で自分の口を塞ぐ

横原
 関口君、肌が焼けててムキムキだから、かっこいいって言う意味でね!

関口
 …なんでもいいけど

白田
 だから、みんなに誤解されたままは悔しいからどうにかしたいよね。関口君こんなにいいやつなのに

関口
 …呼び捨てでいいよ

白田
 あそう?

小西
 配信とかしてみれば?俺のクラスにYouTubeで配信みたいなのしてるやつがいてさ、やり方とか教えてもらおうか?

羽柴
 へー1組にそんな人いるんだ

小西
 月野 満つきの みちるってやつ。席近くて、あいつのスマホ覗いたらそいつのYouTubeあって「何してんのー?」って話しかけたら教えてくれた。あいつ結構登録者いてさ、「満月さん」だったっけな?

白田
 へー。…ん?もしかして「お月見くん」?

小西
 あーそれ!え、なにお前知っての?

小西は意外そうに驚いた

白田
 姉ちゃんが好きなんだよ。え!マジか!本当にいたわ…

横原
 どんな人だっけ

小西
 身長低くて、前髪長くてめっちゃ地味

羽柴
 あーいたかも

白田
 あの人ね
(残念だったな姉ちゃん。お前の推しはイケメンじゃありません)

羽柴
 月野君にお願いしてさ、本当のことみんなに発信してもらおうよ

横原
 うん。それいいと思う。登録者数多いなら、話も広まりやすいし

白田
 どう?関口

白田は関口に問う

関口
 俺は…兄貴の汚名を払拭できるなら。やりたい

小西
 じゃあ俺あいつに聞いてみるね



放課後 誰もいない図書館の傍のスペースに、白田、横原、羽柴、関口、小西そして月野がいた

白田
 って訳なんだよ。月野君!

月野は猫背で緊張しているのか、挙動不審な様子で話す

月野
 え…だから無理だって。俺普段自分の周りのリアルな話あんましないから、その…事件の真相みたいな話急にしたら、関係ない人びっくりしちゃうじゃん。だから悪いけど、他当たってください

月野は軽く頭からを下げる

横原
 頼むよぉ…月野君。動画見たけど、すっごく面白かったよ。同い年とは思えないトーク力と例えツッコミがめっちゃ笑った。あれは凡人にはできないねぇ

横原は分かりやすくゴマをする

月野
 え…そう?えへへ笑。嬉しいなぁ

月野は照れる

羽柴
 そうそう。去年から初めてもう登録者数あんなにいるなんて。なにか秘訣があるの?

月野
 えぇ…そんなに言われたら仕方ないなぁ。特別に教えてあげるとね、最初はポッドキャストっていうラジオみたいなやつが好きでいつも聞いてたんだ。お笑い芸人とか一般の人も投稿できて、そこで学んだ話術だったり、笑いの作り方だったり勉強したんだ。まあ、あとは才能かな!

小西
 まあすごい!やはり才能は隠せませんね!月野先生から才能のオーラが溢れ出てますわ!

小西はなぜか変な口調で月野を煽てる
月野は分かりやすく調子に乗る

月野
 いや〜本当たまたまだってー。俺もポッドキャスト始めたいんだけど、ラジオ形式みたいにしたいのに俺友達がいないから、諦めてたんだよね

白田、横原、羽柴、小西は顔を見合わせる

白田
 月野君。そこで提案だ。君のその素晴らしい話術で、うちの関口を使い、ポッドキャストで関口君についての話を配信していただけないか

白田は真剣な眼差しで月野に問いかける

月野
 …!そう来たか。確かにラジオ感覚なら、初登場の関口君が出ても不自然ではない。僕も念願のポッドキャストが出来ると言うわけか。だがしかし、やはり身近な話を扱うことによって、身バレする可能性が高まる

白田は机を軽く叩く

白田
 月野君!!僕はね、悔しいんだ。こんなにも心優しい彼が、みんなに誤解されている。彼には彼なりの事情があった。にもかかわらず、人々はそれをコンテンツ化し、勝手な想像で悪く広めている。そんなこと、僕は見逃せない

白田は口調はふざけているが、真っ直ぐ月野を見つめる
関口は白田を見つめる

関口
 白田…。みんな、ありがとう。俺なんかのために、今日仲良くなった程度の俺に、ここまでしてくれて。本当に感謝しかねぇ。月野も、無理にとは言わない。ダメなら遠慮なく断ってくれ

月野
 …んー分かったよ!!

白田
 本当!?

月野
 その代わり、条件がある。もしポッドキャストが好評だったら、次回君たちにゲストとして出てもらうからね

白田
 え…

白田は嫌そうな顔をした
横原も羽柴も小西も、めんどくさそうな顔をした

白田
 くっ…分かったよ

横原
 しょうがない。好評だったらでしょ?

羽柴
 うん。いいよ

小西
 全然アリ

月野
 交渉成立!じゃあ、今から台本考えるから、話したいこと今俺に教えて

月野は鞄からノートとペンと出し、関口と打ち合わせを始めた

その日の夕方5人は月野の家に行く
今回は視聴率を上げるため、ポッドキャストとYouTubeに上げる作戦で行く
月野の家は広くないため、関口と月野だけ、月野の部屋に入り、収録する
残りの4人はリビングで待機する

月野
 じゃあ、やるよ

関口
 うん

月野はレコーディングボタンを押す

月野
 さあ、始まりました。お月見くんの三日月ラジオ。ここでは毎回ゲストをお呼びして、2人で楽しくお話しをする番組です。早速ですが、今回のゲストを紹介します。友達のS君でーす

月野は目線を関口に送る

関口
 ど、どうも

月野
 実はS君は大きなお悩みがあるんだよね

関口
 はい。知ってる人もいるかもしれませんが、大晦日に俺の兄が交通事故を起こしました。飲酒運転です。自転車に乗っていた方を轢いてしまい、その方は亡くなってしまいました。兄はそのことについて深く反省しています。またそのような状況を作ってしまった家族にも責任があると思っています

月野
 どんな状況で起きた事故だったの?

関口
 はい。その日は祖父の家で親戚の人とご飯を食べました。兄はまだ19歳だったのですが、親戚の方たちは兄がもう二十歳になったと勘違いをして、兄に酒を薦めました。兄の誕生日は来月だったので、兄はまあいいかと思い、何も言わず酒を飲みました。でも少しでした

月野
 そうだったんだ。まあ、来月ならそこまで変わらないかーって気持ちも分かるけどねぇ

関口
 帰る時になり、父と母は酔ってしまい、運転ができない状態でした。行きは父が運転していましたが、帰りは兄に運転してもらうつもりだったそうです。兄はそれを知りませんでした。自分は運転免許を持っていなかったので、しかたがないと思い、兄が運転することになりました。

月野
 タクシーで帰るとか他に方法はなかったの?

関口
 みんな酔っ払っていて、正常な判断ができなかったんだと思います。俺の周りはみんな酔っ払いで、兄も酔った様子はありませんでしたし、車で数十分程なら自分も大丈夫だろうと思いました。今となっては、俺が止めるべきだったと後悔してます

月野
 なるほど。それから?

関口
 はい。兄は大丈夫だと言いましたが、兄はお酒を飲んだことがその日が初めてで、自分が酔っていることを自覚してなかったんだと思います。運転が少しだけ不安定でした。そんな状態で、交差点でスピード落とさず進んだら、自転車が飛び出して来ました。夜で暗かったため、その自転車のライトが見えなくて、兄はそれを避けきれず、突き飛ばしてしまいました

月野
 そうだっんだねぇ

関口
 すぐに救急車と警察を呼びました。ですがその方は搬送先で亡くなってしまいました。兄は今留置所にいます。ご遺族の方は「飲酒運転は許せないが、ライトが壊れたまま自転車走行していたこちら側にも非がある。大事にしない代わりに、しっかり罪を償って欲しい」と言っていただきました

月野
 事件の真相が見えましたね。S君が今回この話をしようと思ったきっかけが、ある動画だったんだよね

関口
 自分はこの件について、クラスメイトに悪意がある言い方で聞かれました。自分はそれに腹が立ち、その人の胸ぐらを掴みました。それは反省しています。ただ、そのやり取りを動画に撮られ、拡散されてしまいました。そのコメント欄に兄の同級生を名乗る人のデマや、勝手な想像で作られた兄や家族への酷い言葉が書かれていました。自分はそれが許せないし、悔しく思ったので、今回このような場を借りて話させてもらいました

月野
 なるほど。えー僕もその動画見ました。初めて見たら、S君がすごい悪者に見えた。でも実際話してみると、優しいしユーモアがある普通の青年です。実際僕もね、事故のニュースを見ました。やっぱりニュースを見ただけでは真相は分からない。何も知らずに見たら、大学生が大晦日に調子乗ってお酒飲んで、飲酒運転した。っていうイメージがつきやすいかも。僕も最初は思ったよ。だってその人、ワイルド系な見た目してたんだもん。でもね、本当のことを知らないのに憶測で物を言ったり、悪意を持ってデマを流すのは、本当に馬鹿らしいよね。「こいつら的外れなこと言ってんなー」って。バカにされるよ。

関口
 俺の兄貴微塵も知らねー奴が、俺の家族語るんじゃねーよ!ですよ

月野
 本当にそうだよ。彼の兄貴はいい奴だよ!会ったことないけど

関口
 お前も知らねーじゃねーか

月野
 ごめんなさーい笑。じゃあ今日はこの辺で失礼ましす。なんか最後言い残したことある?

関口
 …こんな俺に、普通に話しかけてくれたやつがいました。そして今回俺のためにこのような機会を作ってくれたみんな。ありがとう。

月野
 …はい。ではまた!See you again!

月野はレコーディングボタンを切る

月野
 こんな感じかな。意外と喋れたじゃん。これ今日中に編集して、載っけとくね。良かったよ

関口
 …最後のやつ、やっぱカットしてくれ

月野
 えぇ、考えとく



次の日の朝
昨夜投稿された関口のボイス動画を多くの人が視聴した。
白田の姉もその1人だった
深雪が白田の部屋に入ってくる

深雪
 ねぇ!お月見くんが遂にポッドキャスト始めた!!やばいって!このS君ってあんたのクラスにいる関口君でしょ?友達って、やっぱあんたの学校にいるんじゃないの?ねぇ!!

白田はベットの中で耳を塞ぐ

白田
 うるさいなぁ。てか姉ちゃんも関口の動画見たんだ

深雪
 うん。あんたの声入ってビックリしたよ。あんたああいう空気で、声出せるの凄いね。少しは見直したよ

白田
 あそう

深雪
 ねーだからお願い!お月見くん探して来てー!写真撮って来て〜!お願いはじめ〜

白田
 幻想は確かめない方が美しいって言うじゃん。(by自分)だから夢は夢のままにしておきな。ブスだったらどうするの?
(実際イケメンではなかった)

美雪
 はあ?何よ!お月見くんはブスなんかじゃないから!きっと顔も美しいのよ!

白田
 だめだこりゃ

白田は二度寝した



数時間後 白田は学校の教室に入ると、みんなスマホを見て昨日の動画の話をしているようだ

中林
 なあ、白田、お前これ見た?

中林がスマホの画面を白田に見せる

白田
 見たよ。これが真相だったんだね

中林
 俺らの動画よりバズっちゃってさぁつまんねー

白田
(内容よりバズりかよ!)

関口が教室に入る
クラスメイトは関口の方を見るが、関口は気にせず自分の席に座る
チャイムが鳴り先生が教室に入って来る

先生
 はいみんなおはよう。みんなも知ってるかもしれないけど、今回うちの学校で撮られたと思われる動画を先生見た。後で該当する人と面談するから昼休み職員室来い

昼休みに関口と武宮は職員室に連れて行かれ、1人ずつ担任の先生と校長と面談を始めた。中林も呼ばれて、参考人として声だけ出演の白田も呼ばれた。結果武宮と中林は一か月の出席停止になり、出来る限り動画を削除させることになった。



放課後 関口が白田たちの所へやって来る

関口
 本当にありがとな。この恩は忘れない。

白田
 いいってことよ。俺らもう友達だろ。いつでも頼れよなっ

白田はカッコつけて言う

関口
 この動画、母さんも見たって言ってた。みんなにお礼言ってたよ。

羽柴
 それを言うなら、月野君じゃない?

関口
 うん。後でお礼言いに行くよ

横原
 小西もナイスだったよな。あいつが月野君のこと言わなきゃ出会えてなかったし

白田
 たまにいいことするんだよな。小西は

羽柴
 たまにね

4人は帰りに喫茶店に行って、パフェやミルクティーを飲んだ

【7話終わり】

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