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選民思想のあれこれ
我こそは選ばれし者…(キラーン)
な、状態になった人に会ったことはありますか?
私はある。これまでの人生で何度も。
どこで会えるの?それはね…。宗教施設だよ!
宗教施設と書いたけど、私が子供の頃の話。
うちの母は危うい人で。
人から誘われるとホイホイ入会してしまう悪癖を持っていた。
その流れで「手かざし」をする宗教団体に、懐疑派の父を除き、入信させられていた子供時代。
わが家は超センシティブな長兄がいまして、彼がいわゆる霊感持ちでした。兄の霊感が爆発したのが中3の時。
受験ノイローゼでは…と言われてましたが、けっこうパワフル不可解現象が家で頻発していたこともあり、そういう存在はあるんだろうなと自然に受け入れていた。ちなみに私と弟は霊感ゼロなので視たことはなし。
そんな兄の話を聞いてくれる仲間が欲しかったのか、母はある宗教に入信した。
お金をバンバン吸い取る系ではなかったと思うのだが、まあ、何度か道場にも連れていかれた。
宗教団体は内部に入ってみると分かるんだけど、中で階級分けされてる感じがある。信者の中で格付けしあっていて、偉い人に近い人ほど皆その立場を誇っていたし、選ばれし者感を出してくる。
だから宗教は入ると抜けれないんじゃないかな。
サードプレイスなんだろうね。
家でも会社でもなく「何者か」になれる場所なんだと思う。
そこでなら「何者か」になれるかもしれないっていう希望。
子供ながらに少し嫌な場所だなって思っていた。
入信期間はたぶん1年ちょいくらい。すぐ脱会するのですが、そのキッカケになったのは霊能者に言われたから。それもまた母っぽいなと思う。笑
兄の状態がいよいよヤバくなり、霊能者に除霊をお願いした。
兄のヤバい状態というのは自動筆記現象。
手紙を書くんだけど、手が勝手に動くんだって。
この筆跡がまた女性の柔らかい字なんだよね。
力が入ってないのが分かるか細い線なんだけど、女性の大人の字。
あれ怖かったわ。兄のくっそ汚い字を知ってるから余計に。
ここから解決までのストーリーは小説にできるくらいの長い話になるので端折るけど、この一連の除霊活動というか、助けてくれた人は間違いなく本物でした。
最初に会った時は普段は会社員されてる方だったんだけど、こういう活動を続けていくうちに仲間?後援者?が増えていき、後に宗教法人化して教祖となった。
気のいい除霊ができるおじさんから、新興宗教の教祖になってしまったんだけど、この方にとっても兄の存在はけっこう思い出深い存在となっていて、ずっと我が家を気にかけてくれていたの。
信者でもないくせに、たまに招かれてお話することも何度かあった。
兄に会いたくて呼んでくれていたのだね。
そうするとさ、兄と教祖がフランクに話してるのをみて「こいつなんなん」っていう視線がダイレクトで飛んでいくのを外野の私は感じとった。
いわゆる幹部と言われる方々から。
あー、面白くないんだろうなって子供心に感じていた。
ちなみに教祖となった元霊能者さんは、本当にピュアで良い人。
良心の塊みたいな。
ただ周りに集まる人達も、全員が全員同じ心持とは限らない。
自分が崇拝してる人に無遠慮に近づく輩は面白くない存在だったんだろう。
そんな兄は音楽で食っていく事になり、かつてのセンシティブさはそっちに全振りすることで活かされている。霊感も20歳がピークだったのかな。徐々に見えなくなり基本的には閉じたそうな。
社会にもまれる中で、私は何度か宗教の勧誘にあうことがあった。けっこう色々な団体の人から布教活動くらっていたから、自ら勧誘ホイホイと名乗っていた。
その勧誘トークも個人的には嫌いじゃなくて、面白がって聞いてしまうクセがあり、入信はしないくせに教えには詳しくなったりした。その布教の端々で滲み出る「選ばれし者」が出すあの感じはゾワゾワする。
この宗教に先駆けて入ってる私はすごい、この凄さが分かる自分は凄い、だからあなたも入ろう!みたいな感じ。優越感かな?
宗教関係以外でもたまに遭遇することがある。
何かのファン集団に多いかもね。
古参、新人とか。そういう区分けがある場所には大抵、その匂いを出す人達がいる。
そうだ。この兄の霊騒ぎはけっこうドラマティックであり、親族が集まるとその話になることも多いんだけど、兄は両親に言う言葉があるの。
「あの時、信じてくれてありがとう。」
両親は「だって信じなかったら精神病になっちゃうでしょ」って返すんだけど。
あー、これも難しいラインだよなって、外野は聞いてて思う。
兄のケースは霊能者に託して正解だった。
でも結果論かもしれないし、判断は難しいところ。