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ゆるせない、とは

これは、私の母の話なんだけど、
私が高校生になったあたりから、
「もうそろそろグチっても良いわよね」って感じに
自分の受けてきたひどい体験を、娘の私に話してくるようになった。

それが始まりで、70を超えても、まだ同じ内容のグチを
飽きずに話してきた。

それについて、私はてっきり、
「もうこんなこと言うのはイヤだ、忘れたい」と
願っているのかと勘違いしていたのだけど、

違ってた!
実は、飴玉のように、いつまでもしゃぶって
味わって、愛でていたい、
とても大事な感情であり
甘美な思い出だったのだ。

それも
「これだけは、絶対に忘れたくない!」
ボケたとしても、絶対に。
忘れないために、今日も繰り返し思い出す。

忘却曲線に逆らうために。

それを数年前に30年越しで知った時の
衝撃はすごかった。
そんな人、居るんだ?!と本当に驚愕した。

つらかった体験が、自分の生きる励みというか
生きてる実感に結びついてる
という場合があるのか、と頭を殴られながら知った体験だった。

もし誰かが

許さない!
私はこんなひどいことをされたの!

といつまでも泣きながら悲しんだり怒っていたり恨みツラミを話していたら
もしかすると、そういうパターンもあるかもしれないので

下手に心が軽くなる考え方や、
とらえかたなんかを提案すると

テキトーにかわされたり
逆に私が怒られたりして
こっちが疲弊するので

マジに相談に乗るのは控えた方が身のためだったのだ。
さもさも、助けて!と言わんばかりに
毎回さめざめと涙を流しているから
本当に、だまされてしまっていた。

私ってバカみたい。

でもそんな母も、ボケが進み
やっと本当に穏やかな心を取り戻しています。
そして私も。。。はぁ。

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