小型ロケット市場サマリー2023

宇宙産業,とりわけ小型ロケット市場についてまとめられた論文
”Small Launchers - 2023 Industry Survey and Market Analysis”

https://www.newspace.im/assets/Small-Launchers-2023_Erik-Kulu_IAC2023.pdf

のサマライズ.

本論文の結論.
・小型ロケット(ペイロード重量1500㎏まで)は世界で203基存在
 6.4%:退役済み
 10%:運用中
 43%:開発中
 37%:構想中,中止,休止
・ペイロード重量50㎏未満の超小型ロケットは打ち上げを行っていない
・運用中の小型ロケットで専用ミッション価格(打上価格)が400万ドル(約6億円)を下回るものはない
・開発期間は最短で2~3年,10年以上かかった例もある
・開発の遅延は1~3年が一般的だがそれ以上の例もある
・SPACで上場した企業のFVは当時過大評価されており,下落している
・2021/10~2023/9までの期間に1000万ドル以上資金調達をした企業は40社 ・小型ロケットで再利用可能であるものの割合は少ないが開発中のものは2021年以降増加している  
 開発中:17%
 計画中:5%
・2~3年前に予想されたほどの市場規模はなく,小型ロケット市場は熱が冷めつつある.  
 RocketLabの打上遅延はロケット準備の遅延に起因するものではなく,顧客側の準備の遅延(マーケットのデマンド)に起因するものである
・多くの小型ロケット打ち上げ事業者はより大型のロケット開発を始めている
 >「需要が小型ロケットから、より大きなペイロードを打ち上げることができる大型ロケットに向かいつつある」「将来のメガコンステレーションを効率的に構築するためには、複数の衛星 を一括して打ち上げ、それぞれの衛星を異なる軌道に投入する必要がある。」2021年,RocketLab CEO
 >2022年8月現在、アストラはロケット3を退役させ、大型化したロケット4に注力している
 >2023年現在、ファイアフライはノースロップ・グラマンと共同で2段式ロケットを開発している。NeutronやTerran-Rに挑戦できるように、LEOまで16,000kg以上の重量を運ぶ。これは「次世代中型輸送機」、MLVと呼ばれ、2025年の初飛行を目指している。  
 >ワン・スペース社は、より大型のOS-Mロケットを計画している
 >iSpaceは再利用可能なHyperbola-2に取り組んでいる
 >interstellarは、当初2020年から100キログラムのロケットをLEOに打ち上げる計画だったが,市場を調査した結果、このサイズのロケットの需要はほとんどないことが判明したため、1000kgのペイロードを持つ大型ロケットの計画を開始した
・打ち上げ市場の価格弾力性を予測することは困難であるが,SpaceX社が提供するライドシェアの価格とのギャップは現状大きい
 ペイロード200㎏打ち上げコスト
  SpaceX社:100万ドル
  エレクトロン社:750万ドル


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