標準作業組み合わせ票~装置産業編①
前の記事でも書きましたが、標準作業組み合わせ票は人の作業を可視化し、改善に活かすツールです。基本的に1サイクル当たりの作業(主作業)はC.T(サイクルタイム)が短く、同じ作業を繰り返すケースに使われますが、大型設備で製品を造る装置産業でも応用できないことはありません。
本篇では私が本業(装置産業)の作業改善で描いた事例を紹介しながら、装置産業で標準作業組み合わせ票を活用する方法を提案します。
ただ、書き出してみたら思った以上に長くなってしまうので、2回に分けることにしました。今回は描写方法について、描くために留意しておきたい点について説明いたします。
時間単位は「分」
1日に数百個の部品を造るような工場では1サイクル当たりの時間が短いため、個々の作業を秒単位で観る必要がありますが、装置産業はサイクルタイムが長いので標準作業組み合わせ票の時間単位は「分」を用います。
標準作業組み合わせ票は人の視点から描く
前の説明でも書きましたが、標準作業組み合わせ票は人の作業を可視化するツールです。従って作業内容は、「何を使い、何を、どのようにする(何をする)」と明確な表現を意識するとよいでしょう。
ただし、注意しておきたいのが、組み合わせ票は1サイクルの作業の中で必ず行う作業(主作業)を表現することで、機械の仕事と区別するだけでなく、段替え作業は記載しないということです。
段替え作業とは、何回かに1回行う付帯作業で、例えばサイズや材質変更に伴う部品交換や塗装ラインであれば塗料の交換で、その表現方法はまた別の帳票を使って行います。
現場で実際に作業観測を行う場合は、主作業と付帯作業が混在しています。後で組み合わせ票を描く際に判別できるように観測時に主作業、付帯作業を注記しておくとよいでしょう。
作業の項目分けはまず粗く
また、装置産業の場合、人が全く同じ手順で作業を行うことは稀で、人によって作業の順番や時間がバラバラで、統一しようとしてかえって効率が悪くなってしまうケースがほとんどではないでしょうか。
その場合は、作業を細かく分けるのではなく、まず最初の段階では作業を粗く括ります。例えば、クレーンで材料を設備にセットするとします。
クレーンを材料の位置まで移動させる
クレーンで材料を吊り上げる
クレーンで材料を設備まで運搬する
クレーンで材料を設備にセットする
一見、よさそうに見えますが、私は改善に取り組む最初の段階でここまで細かく表現する必要はないと考えています。
標準作業組み合わせ票は、最終的に新人作業者の教育にも活用します。個人毎に経験の長短、癖、作業環境の影響などでサイクルタイムは大きくバラついてしまうので、私がはまず作業を大きく捉えるということを提案します。
つまり「クレーンで材料を設備にセットする」というように、まずは粗く定義するということです。そして、何回か計測し、バラつきが大きい場合は細かく分け、バラつきが生じている作業を洗い出し手を打つという方法で行います。
以上、留意点に注意して、次回、装置産業における標準作業組み合わせ票の記載方法例を説明いたします。