設備能力を上げるー作業改善のススメ
どのような分野であってもモノづくりに携わると、設備の能力を上げたいという課題に当たると思います。自動車の製造ラインに代表する組立て工場においては能力=人となることが多いのですが、私が携わっている非鉄金属の元材製造のような大型設備を使って大ロットでモノを造る分野(装置産業)では能力=設備というイメージが強いようです。
そのため、能力を上げたいというニーズに対して、ライン速度や工程カット、段取り替えを減らし同じ条件のモノをまとめて造るといった設備に視点を置いた対策が取られる傾向が強くなります。
しかしもう少し広い視点で捉えれば、全自動ラインでも無い限り「人」が関わっていることが容易にわかると思います。
昨今、企業は利益を追求するあまり、設備投資を抑える傾向があります。そのため投資効果の不明瞭、小さい案件はなかなか審査を通るのが難しいのでは無いでしょうか?設備中心に能力向上を考えると、時としてこのような壁に阻まれ、改善が停滞してしまうケースがあります。しかし、人が関わっている限り能力は設備に依存するのではありません。
私が設備能力向上という問題に取り組む場合、最初に行う現状把握は、その設備に製品をセットするところから加工、完成品を置き場に払い出すまでの全工程の洗い出しを行います。その際、人の作業と設備の動作を分蹴ることがポイントになります。
装置産業の場合、設備でモノを加工する前後に人による作業が発生します。例えばクレーンやフォークリフトでモノを設備にセットする、設備からモノを出すといった作業です。そして改善の対象をまず人の作業とし、やり尽くした最後の手段として設備にお金をかける、これが一連の流れになります。
人の作業から取り組むということはコストをかけずに効果が得られるだけでなく、機械へ置き換える場合の基礎データになります。より大きな効果の第一歩になるので、改善を担っている方は是非意識してみて下さい。
そしてその時に私が使うツールが標準三票と呼ばれるトヨタグループの改善活動に使われている帳票です。ただ、組立ての分野と装置産業では時間単位が違うので、若干のアレンジをしています。
次の投稿からはトヨタの標準三票とはどういうものか、装置産業ではどう活用してしたらいいのか、といった具体的なお話を致します。