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山積み票

 山積み票は、人が受け持っている作業と機械時間のバランスを観るために使われますが、必要に応じて様々なバリエーションがあります。その現場によって表現方法が変わりますが、大別すると

 ①人が行う1サイクルを表現
 ②定時間(例えば一日)に人が受け持っている作業時間を内容別に表現

に大別されます。
 ①は組み立て業のように同じ作業(動作)を繰り返し行うルーティン化さされた作業、②は様々な作業を人が担い、作業が発生するタイミングもその時の状況で変わる、例えば段取りを専門に行う作業者を表現する場合に用います。

 装置産業のように一つの機械で様々な条件の加工する場合、私は②で表現します。(詳細は後述)しかしたとえ装置産業でも人の作業バランスを観る際には①を使う場合が多いので、以下、順を追って解説していきます。

 まずは①の表現方法です。
 組み立て作業のように人が受け持っている1サイクルも作業を表現するもので、標準作業組み合わせ票と連動します。


図1.標準作業組み合わせ票と山積み票の関係

 図1のように標準作業組み合わせ票の手作業を積み上げ棒グラフで表現し、機械時間(自動送り)をその横に記載します。
 こうすることで、その作業(サイクルタイム)とタクトタイムのバランスやサイクルタイムは人、機械どちらに依存しているのかなどを読み解くことができ、さらにライン上の作業者を並べて記載することで、そのラインのネックが明確になり、的確な手を打つことが容易になります。

 非常に簡単なものではありますが、作業を可視化する良いツールですので、自社のカイゼン活動に是非活用してみてください。

カイゼン活動での山積み票の描き方

 前述の山積み票は、サイクルタイムを表現したもので非常にシンプルなものでしたが、実際にカイゼン活動で使う場合にはもう少し情報が加わります。作業のバラつきと段替え時間です。

 作業観測のやり方はまた改めて説明致しますが、同じ作業の繰り返しといっても人が行うことですので必ずバラツキが発生します。
 バラツキは単に時間だけでなく、ライン生産においてはペースを乱す要因になり得ます。

 一方、段替え作業においても製品品質確保の観点から必要な作業のため、能力評価から除外することはできません。

 そこでカイゼン活動における山積み票にはこれら二つの要素を合わせて表現します。(図2)

図2.カイゼン活動における山積み票の表現

 まずサイクルタイムを記載し、その上、右側に最大有効値・平均値を、左側に1回あたりに換算した段替え時間を積み上げます。

 そして、現在の実力値(平均値+1回当りの段替え時間)とT.Tを比較し、カイゼン方針を決定します。
 右側が高ければバラツキ低減を、左側が高ければ段替え時間短縮をという捉え方で現在の実力値がT.T以下になるようカイゼンを繰り返します。

 シンプルな図ですが、現状を的確に表現できるので、カイゼンに携わる方なら是非とも習得しておきたいツールです。自社の現状分析に是非ご活用ください。


 次回は装置産業にも応用できる定時間で表現する場合の山積み票について解説いたします。

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