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木刀

昭和48年生まれの私はおおらかな優しい父と厳格で教育熱心な母の間に生まれた。

2歳上の兄と父がたの祖父祖母と家族6人で暮らす、ごく一般的な家庭だった。

母はとにかく教育熱心で物心ついた頃の私を、茶道、華道、書道などに連れて行き作法を叩き込もうとしたが、私は覚えが悪く何一つモノにならなかった。

自分の思い通りにならない事にだんだんとヒステリックになっていき、舌打ちして私を怒鳴りつけては次に通わせる習い事を探していた。

公文、ペン習字、英語、家庭教師と次から次へと…

だが、すでに私の心は全員集合の志村けんやインベーダーゲーム、ランボルギーニ、アントニオ猪木、駄菓子屋、漫画、ゲリラカイト

などの虜になっており、まだ珍しかった英会話スクールの
高い月謝分の効果は表れず、遊んでばかりいた私に業を煮やした母は次第に

手を上げるようになった。

それが最高潮に達すると裏の勝手口のところに立てかけられた木刀を取りに走りそれを振り回すのであった。

顔や頭こそは叩かれなかったが背中や太ももなどを幾度も叩かれた。

木刀から逃げ回る私はその日も悪い事をしたのはわかっていた。

家の金を盗みゲームセンターに入り浸っていたのだから…

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