5.気持ち次第!?
3歳か、4歳ころの出来事。
大きな大きなハスキー犬の口の中に
あろう事か、私のちいさな手を丸ごと
突っ込んだ母。
幼いころの私は、犬が怖かった。
そんな私にとって、恐怖以外の何事でもない。
母いわく、
「『こわい』と思ったら噛まれるからね」
こう笑顔で言う。
どんな理屈か全くもって理解不能だが、
私のちいさな手は丸ごとハスキー犬の口の中。
その頓珍漢な理屈を信じるしか生きる道はなかった。
震える声で「かわいいね」と唱えながら、ゆっくりと手を解放してもらった。
本当にほんとうに怖かった。
あの時いい子でいてくれたハスキー犬には感謝してもしきれない。
そうでなくば、私の片手は今、
なかったのだから。
この時のことは今でも思い出す。
脳が震えるというか、
背筋が凍るというか、
ヒヤリとするというか。
もう、犬の話はやめよう。