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ヒッチハイクで3000mの北アルプス登ってきたよ(1日目)


10月12日(土)

北アルプスヒッチハイク登頂旅 ~1日目~

教育実習が終わった約1週間後、僕は西条からはるか北へ700km離れた富山へと、ヒッチハイクの一歩目を踏み出そうとしていた。

1日目の目標は、京都だ。
高校時代の友人宅に宿泊させてもらう約束をしている。
何としても到着せねば!

しかし、気分は全開!、というわけではなく、むしろイマイチだった。

なにしろ、その時は未曽有の巨大被害をもたらすと叫ばれた「台風19号」が、差し迫っていたまさにその時だったのだ。
北陸新幹線が洪水に漬かっている写真を、ニュースで見た人も多いのではないだろうか。実際台風が去った後の富山では、東京へ帰れなくなった人が難民のように行列をなす、という様相を呈していた。


そんな台風19号の進路を見てみると、

旅の進路とドチャクソ被っていたのだ。

むしろ、すがすがしかった。
どこまでルート同じやねん、どこまで時間かぶせてくんねん、と。

昔から僕は雨男で、大事な旅行や旅の日は決まって台風や大雨にさいなまれてきたもので(そういえば、8月にヒッチハイク九州一周をした時も、帰りに台風がやってきてた)
つくづく運がねえなあ、、、と痛感した。

しかし、何の用意もなしに「北アルプス登ったろ!」と考えるような男が、果たして台風を憂慮して旅を取りやめるだろうか?
友人に相談した際も何度「やめといた方がいいよ」と言われたか知れないが、たぶんあの時の自分は全く聞く耳を持っていなかった。
あの時相談した友達には「ゴメン」と謝りたい。お土産買ってあげればよかったなぁ


そういうわけで、台風接近にも関わらずヒッチハイクは決行されようとしていたのだが、いかんせん、一歩目を踏み出すのがとても怖ろしかった。
心のどこかには「未曽有の台風」への恐怖や、「西条おれば友達と遊べるのに、全く知らん人ばかりの地へなんで行くんや」と、自分の殻を破って暗闇へと駆けずり込むことへの不安があったのかもしれない。

どうしても一歩目が億劫だった僕は、その日岡山のラウンドワンへ旅行すると話していた友人に連絡し、岡山までヒッチハイクをさせてもらう、という一歩目を踏むことに決めた。
幸いにも、友人は快く受け入れてくれた。感謝


こうして、ヒッチハイクの一発目は全くヒッチハイクではなかったわけだが、友人の旅行人数も20人弱とかなり大規模であったため、車内の会話はわりとヒッチハイクっぽい状況だった。

何しろ、乗せる側からしてみれば「急に一人知らないヤツが車に乗ってきた」わけで、もしかしたら僕は車内の会話に刺激を与えるよりも、むしろ一家だんらんに紛れ込んだゴキブリのような存在だったのかもしれないな!

色々あって、昼の11時半ごろに岡山県のイオンモールへと到着した一行に別れを告げ、北は富山へのヒッチハイク旅を再開した。

わけだが、どうも降ろしてもらった場所が劣悪だった。
なにしろ、広島から京都へは、高速道路にしろ2号線にしろ、山陽道を一本道で進むことで到着できるわけだが、降ろしてもらったイオンモール倉敷は、どうやらその一本道からやや離れた場所に位置しているらしい。

イオンモールの出口付近の公道で、「京都」と書いたスケッチブックを掲げ、ヒッチハイクを続けるが、一向に車が止まる気配はない、、、

約30分続けたところで、一台止まってくれた。
「ここじゃラチがあかんやろうから、倉敷インターチェンジ近くの2号線まで連れてってあげるよ」と40代ほどのおじさんが声をかけてくれた。
(しかし思い返すと、あの場所で、30分でよくヒッチハイクできたものだ)

ありがたくご厚意に甘えさせてもらい、5kmほどではあったが、2号線沿いのモスバーガーへ降ろしてもらった。
見晴らしがよく、脇道から車が合流する地点であるため、ヒッチハイクには恰好の場所であると判断したためだ。ヒッチハイクをしていると「イケる場所」と「イケない場所」がだいたいわかってくる。

「イケない場所」だった。

自分が降ろしてもらった場所は、倉敷インターチェンジの入り口近くに位置していた。高速道路に乗ろうとする車は、既に速度を上げており、高速道路手前でワザワザ止まってヒッチハイカーを拾おう、という気などサラサラ起こらないわけだ。

こうして出過ぎた真似をした自分は、小一時間モスバーガーの入り口で「兵庫」を掲げて立ち尽くすことに。
ドライブスルーの行列が、じっとりとこちらを見てくる。もう恥ずかしさはなくなったが、いかんせん空腹のせいでしんどみが増している。
でももう家には帰れんしなあーー
と、途方に暮れていたとき、駐車場から「よかったら乗ってきませんかーー?」と、3兄妹を連れた30代ほどのママさんが声をかけてくれた。

「ぜひ!!!」と飛びついた。
高速道路は乗らず、下道で備前まで行くから期待には沿えないかも、とおっしゃっていたが、乗せてくださるだけで感謝なんです。
そもそも、計画通りに予定された日常からいかに逸脱するかが、ひとり旅の醍醐味ではないか、と思うゆえ!

というわけで、三兄妹の過激な質問攻めにあいながら、車中の会話を楽しんだ。「どっからきたのー?」の次には「ちんちんかゆいーー!」と、子どもの興味はすぐあっちこっち行くなー、と思いながら、必死にくらいついていった。飲みの席でもあんなに「ちんちん」「うんこ」「おしっこ」とは言わんだろってくらい言い切った気がする。
子どもをあやしたお礼か、単なるごひいきか、ママさんがマクドを奢ってくださった!!(モスバーガーを指でくわえながら見てたので、ジャンクがメチャメチャ美味しかった)

そして、1時間半ほどのドライブを楽しんだのち、備前は道の駅でお別れをすることになった。最後Go Proで写真を撮ったのだけど、にぎやかファミリーに渡せずじまいでサヨナラをしてしまった。
数年後に良い思い出になるかもしれなかったのに、と少しの悔やみが残る、


降ろしてもらった備前は、先ほど乗せてもらったモスバーガーエリアとはうってかわって人気のあまりない田舎道だ。
しかし「ここは2号線沿いだから、下道で兵庫に行く人は必ずここを通るよ!」とのママさんアドバイスを信じて「兵庫」を掲げた。

2分で止まった!
50代ほどの、とても豪胆で豪快な雰囲気のおじさんだった。見た目が少しイカツイのでビビっていたが、どうやらおじさんの行先は「滋賀」らしく、なんと快く「京都」まで積んでいってくれる!とのこと

神は俺を見捨てなかった!と感激のあまり飛び跳ねてしまったが、このおじさんはタダモンじゃなく、車中での話は今回の旅で一番の思い出になったかもしれない。

めっちゃ文章長くなりそうなので、次回に続く