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めちゃ面白い本読んだよ(^o^)【東京都同情塔】

ちょっと前に本屋さんで平積みになってて気になってた本

買って読んでみましたー!

装丁めちゃいい感じー

ちなみに配色

萩庭桂太さんに撮っていただいた
Yocotasax.の1つめのアーティスト写真の配色やー

帯とかに

Q あなたは、犯罪者に同情できますか?

生成AI時代の預言の書!

と書いてあるんやけど
もちろんそういう話でもあるけど
そのほかにもいろんな要素が詰め込まれていて

しかも結構薄くて(143ページ)

面白かったですー!

けっこう流行りの本とかって独特の臭み(説明しづらい。。)を感じてしまったりすることがあるんだけど、この本はそういうのなくって最高でした

あと、あとがきとか解説がないのも良いー!

気になった文章、引用しますね。

喋った先から言葉はすべて、他人には理解不能な独り言になる。独り言が世界を席巻する。大独り言時代の到来。

東京都同情塔/九段理江(p.3)

一度建てたら取り返しのつかないものを構想するのに、「未来は誰にもわからない」などと悠長な寝言を言っているようでは話にならない。
〜中略〜
本当に「世界を起こす」ためには当然、幻視を描き起こすだけでは足りない。建築家の前に出現した美しい幻を現実化するには、実際的な技能も同じくらい必要だ。予算と工期を計算すること。権力にすり寄るのを恥じないこと。その建物がその形状をしていなければならない理由を、素人にもわかる言葉ででっち上げること。これらの技能のうちひとつでも欠けていたら、きっと私は美術館の壁に飾るためのお絵描きでもして暮らしていただろう。

東京都同情塔/九段理江(p.10-11)

私は陸上生物であるところのヒトを「思考する建築」、「自立走行式の塔」と認識している。

東京都同情塔/九段理江(p.26)

こんなにも多くの疑問符を抱えた人間によって設計されれば、塔は必ず倒れてしまうだろう。他でもないこの私によって、塔が建てられることの必然性を見出さなくてはいけない。彼が私に建てられることを望んでいる。だから私が彼を建てなければならない。そう確信できるまで、言葉と現実がイコールで結ばれるまで、シンパシータワートーキョーのことを、私は考え続けなくてはいけないのだ。

東京都同情塔/九段理江(p.36)

ザハ・ハディド氏は、「アンビルトの女王」としても知られた建築家です。
〜中略〜
大変な才能に恵まれながらも、その前衛的な作品を実現するだけのキャパシティが現実の方になく、キャリアの初期のほとんどのしごとがアンビルトのままお蔵入りしていました。

東京都同情塔/九段理江(p.45)

四十を過ぎてからそれをやろうとすると、おそらく諦観が進みすぎているのと、保身に走りすぎて冷静な判断が下せなくなる。あるいは冷静な判断しか下せなくなる。冷静さと正しさに関連性はない。

東京都同情塔/九段理江(p.51)

肩から腰にかけての背中は、成功した女性も失敗した女性も、みんな似たようなものだと思う。背中の皮膚から発されるオーラが同じ。

東京都同情塔/九段理江(p.56)

「お腹すいた。パンでも盗みに行こうよ。」

東京都同情塔/九段理江(p.68)

葉の一枚一枚の音が、翻訳されるのを待っている秘密のメッセージに聞こえる。そして、人が言葉を葉っぱ呼ばわりしてきた訳が、世界はともかく僕の耳の穴から全身に染みわたって腑に落ちていく。

東京都同情塔/九段理江(p.80)

ユートピアと情報遮断は切っても切り離せない関係にあるんだ。ディストピアがそうであるように

東京都同情塔/九段理江(p.102-103)

言葉を無限に生成することで、何を覆い隠そうとしているんだ?もし仮に、日本人が日本語を捨てたら、何が残るんだ?」
「何でしょうね」
タクトは首を傾げた。彼は「ちょっと調べてみます」と言いながら、真剣な顔つきでタブレットの画面上で必死に指を動かしていた。

東京都同情塔/九段理江(p.106)

おやすう

横田寛之




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