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2021年人身売買報告書

「Trafficking in Persons Report」(TIPレポート)は米国務省が毎年、各国政府の人身売買対応をランク付しています。

詳細は米国務省で。

Human trafficking人身売買とは、取引を目的とした”強制的”な、労働、監禁(移動阻害)、性的奴隷制、商業的性的搾取、人間の密売、結婚、内臓や細胞組織の提供、”同意を得た”人間の密輸、労働や性の搾取、さらに”本人の意志を問わず”、それらを余儀なくされる状況においこむことも含まれます。特に児童や女性、社会的弱者(貧困)がターゲットとなりやすい犯罪です。

日本は撲滅に消極的。

強制労働に関しては、昨年に続き技能実習生制度が問題視されています。性的搾取は児童売春を上げ、それぞれについて法執行が消極的であることを指摘しています。

報告書が取り上げる問題点

対応が増進したが結果が不十分
技能実習制度(TITP)の下、日本で働く労働移民の強制労働の捜査がなされたが大多数が懲役刑を課されなかったことは、犯罪抑止と撲滅に対して不適切な対応だった。

児童売春業者を野放しにした
児童の性的人身売買犯罪について、個別の案件として処理することで各犯罪は軽い刑罰(罰金や執行猶予)にとどまり、提供に関わった業者は活動を継続できた。

技能実習制度を悪用させている
被害の報告が続く中、被害者の特定への努力を怠っている。現在の派遣国との覚書は形骸化しており被害の防止に役立っていない。政府が採用者と雇用者に虐待的な労働慣行の責任を負わせておらず悪用を許している。

相変わらずのお役所仕事
昨年に続き省庁間の利害関係者は、従来の手続きを優先して、被害者の適切なスクリーニングや保護に積極的でなかった。改善がないことは政治的意思の継続的な欠如が一因となっている。

被害者に寄り添ってない
法執行機関は、人身売買の被害者として商業的セックスで搾取された子供を取り扱わなかった。
2021 Trafficking in Persons Report: Japan

優先して対策すべきこと

・人身売買の最低刑を最大四年以上の懲役(罰金を無くす)に引き上げる。
・移民強制労働者を特定し保護するための仕組みを整備し実行する。※移民局内で拘禁中の者に対しても同様の配慮を求める。
・被害者を捜索して確保する。業者に強制された違法行為では被害者を犯罪者として扱わず勾留や強制送還させない。
・性的人身売買と強制労働の”男性”の犠牲者を特定するための取り組みを強化する。
・被害者のための避難所など、支援に必要な人員や施設を整備し、男性を含めた被害者が利用できるものとする。
TITPの改革。技能実習実習機構(OTIT)の職員および入国管理官への教育。NGOとのOTIT連携、TITP作業計画の承認前の慎重な審査と悪質な業者の排除。
契約中でも外国人労働者が雇用と産業を変更できるような機会の設定。
雇用主がすべての外国人労働者のパスポートまたはその他の個人文書を保持することを禁止する法律の制定。
•労働者が不当な手数料を課され債務労働することがないように指針を設定する。
•強制労働に関与する組織や雇用主による「罰」協定、パスポートの没収、およびその他の慣行の禁止の施行
•積極的な調査、起訴、有罪判決、処罰。
2021 Trafficking in Persons Report: Japan
太字は昨年から引き続く改善項目となっています。

人身売買を国際法に準じた罪で裁くべき

昨年発表の内容に加筆したような内容の報告書でした。詳細は国務省の2021年の報告書を読んでもらいたいですが、多くの犯罪者が罰金刑と執行猶予で社会へ戻っています。また世間の批判を恐れてかTITPにおける人身売買の犯罪状況や、関わった公務員への調査結果など多くのことを明らかにしていません。

被害者保護が不足している。

商業的セックスを規制する法律が未整備で、デリバリー風俗の形態において成年・未成年の性被害が起こっている。そして強制労働における被害者達にたいして国外追放を繰り返している。

昨年に比べれば被害者の特定に努力しているが、原因を取り除く法整備や被害者保護サービスと施設の不十分さ、対応する人員の教育や意識改革が不十分といったところです。

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