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【悪役】帰ってきた素晴らしき悪役列伝 第19回 「スカーキング」
映画「ゴジラxコング 新たなる帝国」に登場。
地下空洞世界にいるコングの同族である類人猿型怪獣の一族「グレートエイプ」のリーダーを務める個体。
コングがゴリラ型であるのに対して、こちらはオランウータンかあるいはチンパンジーに似たような姿をしている。
性格は非常に残忍・卑劣で、ほかのグレートエイプの一族に対して暴力・恐怖による支配を敷いており、さらにはゴジラと同等の実力を持った氷河怪獣シーモを監禁し、遠隔装置的な物で虐待しながら支配している。
地下世界では娯楽がないため、年老いた個体や弱い個体に何の意味もない労働を強いらせることで憂さ晴らしをしている。
また、恐らくメス型のグレートエイプをかきあつめハーレム的なこともしていたりする。
怪獣の癖に人間臭いヤツである。
彼の支配体制にあったグレートエイプの一族では、彼に対して意見をすることはそれ=彼に反抗するとみなされてしまい最悪の場合は殺されてしまうこともしばしばあるみたいで、劇中では彼に逆らったと思われる個体の生首が晒されていたり、スカーキングに対してスコを庇った老体がマグマに叩き落とされるなどの行為が行われていた。
ちなみにかつてグレートエイプ族とゴジラ族の間で起きた戦争の原因を作ったのもこのスカーキングであるといわれている。
かつてはゴジラ族と地上の覇権をめぐって争い合うライバルであったが、現在では敗北し地下空洞世界に追放されている。
彼自身もその境遇に内心嫌気をさしていたのか、再度地上を狙い虎視眈々とその機会を狙っていた。
そこで地下世界へとやってきたコングと出会い、彼と対立することになる。
初回での戦闘は、序盤は高い運動神経と鞭によるコンビネーションのあった攻撃で腕力と体格に勝るコングを圧倒するものの、コングによる逆襲を喰らうと、シーモを解放し、彼女を無理矢理コングと戦わせることで何とか逃げ切る。
その後、シーモとの闘いで凍傷を負ったコングを配下に追わせている。
やがて、配下のグレートエイプとシーモを引き連れ地上侵攻を始めるが、帰ってきたコングとやってきたゴジラの前に計画は破綻。
最終的には散々利用してきたシーモからの裏切りにあってしまい、彼女の手で凍らされたあげくコングにより完全に氷漬けとなった体を粉砕され死亡した。
そんなスカーキングであるが、怪獣である癖に「自分は極力手を汚さない」という性格の卑劣さ、そして鞭や遠隔装置など多種多様な武器を利用したその戦闘方法などから、人間の負の部分の象徴であるといえるだろう。
しかし、その分、同じグレートエイプでも腕力に頼ったコングとは違い、多種多様な武器の組み合わせと高い運動神経を持ったテクニカルで技巧的な戦い方を行うことができるという利点がある。
ちなみに戦闘力についてだが、コングとは互角程度だが、ゴジラには全く相手にならなかったようで得意の鞭は破壊され、ゴジラの熱線はヒイヒイいいながらなんとか逃げて避けていた様子。
とはいえ、その高い組織力や武器を生産できる技術力などをみれば古代におけるゴジラ族との抗争でも遠くの場所から武器を投擲することで一時的にゴジラ族に対して優位に働いていた時期があったことは想像するのに容易いだろう。
またちなみに、劇中登場する小さいグレートエイプの「スコ」であるが、その赤い見た目などからみて恐らくこのスカーキングの子供なのではないかと思われる。
スカーキングは冷酷にもこのスコと仲のよかった老体のグレートエイプをマグマに突き落として粛清したが…恐らくこの老体はスコにとってのお目付け役だったのではないだろうか。
最終的に血のつながりではなく、情を選んだとなればスカーキングは富んだ墓穴を掘ってしまったといっていいだろう。
そんなスカーキングも当初は、実は賢君であったらしく、彼の心にできた隙や野心がとんでもない暴走を生み出していったのではないだろうかともいわれている。
どんな賢君でも調子に乗ってしまえば暴君になってしまう、そんな人間の悲しさ・愚かさ・弱さを投影したある種の象徴と言えるキャラクターであるのかもしれない。
いずれにせよ、それまでのゴジラシリーズに登場した怪獣とは違い、人間臭くどこか小物っぽいこのスカーキングの存在は、それまでモンスターバーズが嫌いだった筆者の心を変えたといってもよく、個人的なかなりお気に入りの悪役怪獣であったりする。
陰湿性:S(同族を恐怖と暴力で支配していた)
頭脳:B(恐らく他の怪獣と比べても高い知能を持っていると思われるが頭脳戦を披露することはなかった)
強さ:B(コングとは同等であるが、ゴジラにはかなわない)
主張:A(全てを支配したいという支配欲の塊)
人望:A(部下たちをそのカリスマ性で支配している)
権力:A(実質地下空洞世界の支配者ともいえる)