ザ・傑作 「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」
※本レビューはネタバレを含んでおります。※
「スーサイド・スクワッド」といえば、2016年に予告編が公開されるや否や世界中の期待と羨望を浴び、ふたを開けると大失敗作で終わってしまった悲劇の作品である。
DC映画ユニバースは今思えば本作以降、路線があっち行きこっち行きと迷走していったのではないかとすら思える。
そんな「スーサイド・スクワッド」であるが、とうとう次回作ができた。
俺は最初なめていた。
あの駄作だったあれの続編?どうにもならないだろ…と。
監督がジェームズ・ガンになると聞いてもあまりそれは変わらなかった。
誰が監督しても変わらないだろう…と。
そこで本作である。
いやあ・・・面白いじゃないすか。
ちょっとびっくりである。
まずストーリーだが、数行程度で収まる。
超人の犯罪者ばかりを集めた「自殺部隊(スーサイド・スクワッド)」は南米のとある反米国家で宇宙怪獣スターロを使った「スターフィッシュ計画」が行われていると知り、これをとめるために派遣される。
しかし、このスターフィッシュ計画は実はアメリカ主導で行われておりこの反米国家は場所を貸していただけでしかなかった。
作戦は失敗し、スターフィッシュは脱走をする…多くの仲間が死んだスーサイド・スクワッドは宇宙怪獣スターロを倒すために立ち上がる。
どうです?シンプルでしょう。
しかし、シンプルイズベスト。
非常にまとまっているのが本作の特徴である。
「スーサイド・スクワッド」といえばDCにある程度見識がある人ならわかっているとおもうが、元々この作品はDCユニバースにいる複数いるB級ヴィランのために用意された作品で、いかに彼らが死ぬかというところも大事な見どころになっていた作品であった。
デビット・エアー版ではヴィランに感情移入してしまった監督が殺すのを避けたのかR指定作品を出すことにワーナーに抵抗があったのか、死ぬのは一人二人程度のものであった。
しかし、本作では数えられないぐらい多くのヴィランが死ぬ。
特に前作では印象的な役だったキャプテンブーメランやリック・フラッグもあっさりと死んでしまう。
この冷たい突き放した感じは実に原作の淡々とした世界間をうまく映像化できていたのではないか、と個人的には想う。
次にキャラクターだが…これもかなりまとまっている。
前作では多すぎるあまり、見せ場があまりなく終わった「スーサイド・スクワッド」であるが、本作ではほとんど無駄なキャラがあまり出てこないのが特徴である。
まずポスターなどで全面的に出されているハーレイクインは本作では主人公でもヒロインでもない。というか、ぶっちゃけあんまり活躍していないのだ。
部隊に参加するのは後半だけで、ほとんどは誘拐されているだけのキャラである。
ハーレイクインを置いて主人公・ヒロインとして活躍するのはラットキャッチャー、まさかのラットキャッチャーである。
犯罪者であるが、悪ではない彼女はその癒し系の性格で多くの仲間の心を溶かし、あっさり悪党たちの中心人物になる。
また、前作ではウィル・スミスが演じていたデッドショットもほとんど設定だけ流用した別キャラのブラッドスポーツになっている。
これを演じるのはイドリエス・エルバ。
ウィル・スミスでは鼻についた半・善人キャラも彼がやると泥臭くそしてダンディでカッコイイキャラに変わっていた。
個性豊かな彼らであるが、本作をみたら忘れられないのはキングシャークとピースメーカーだろう。
サメと人間が混ざったような姿をしたメタヒューマンのキングシャークは怪力と銃弾が通じない強靭な皮膚をもった作中最強のキャラで、凶暴凶悪な食人鬼であるがなぜか映画を観終わるとかわいくなってくるという絶妙なキャラ設定をしている。
なんとこの彼の声を担当しているのは、あのシルベスター・スタローンである。
ピースメーカーの方は、WWEユニバースならご存知ジョン・シナが演じている。
ジョン・シナといえばオールアメリカンのような風貌をしており、まさしくアメリカ人代表といったビジュアルをしている。
クリス・エヴァンスが演じる前は彼がキャプテンアメリカに相応しいとすら思うものも多くいただろう。
そんな彼が世界平和のためなら女子供でも殺すという、まさにアメリカの負の象徴であるピースメーカーを演じるというところに何と言うか皮肉を感じてしまうわけである。
そんなこんなで良作で終わった本作だが、クライマックスでは宇宙怪獣スターロが出てくる。
俺はなんどかアニメでこいつの存在を観ていたので、あ出てくるんだろうと予感はしていたが・・・その出し方が凄い。
明るい場面でセットのような街を二足歩行状態でぶっつぶしていくのだ。
そう、これって怪獣特撮ですよね!?
この場面をみた、自分は大満足であった。
そんなこんなで、本作頭の先から爪先まで面白い、ちゃんとグロく人間の成長も描けておりいたれりつくせりな王道エンターテイメント映画として君臨している。
点数は
90/100点
数少ない減点ポイントは、初代ラットキャッチャーがポルトガル人であるならポルトガル語をしゃべらせてほしかったところ。
あとは槍が特に何の意味もないというところぐらいで…あとは基本的に大傑作といって過言ではないと思っている。
ぜひ、劇場・オンデマンド・DVD/BDで観てほしい一作になっている。
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