【映画】どこの層を狙って作ったの?「ゴジラ×メガギラス G消滅作戦」
時は2000年、未だに90年代の色香を残していた当時はやはりまだ洋画のほうが強く邦画はそこまで人気がとれることはなかった。
さらに1998年興行的には成功したが続編を作れるほどのヒットにはいたらなかったローランド・エメリッヒ監督「GODZILLA」の失敗の影響で無理矢理製作したいわゆる「ミレニアムゴジラシリーズ」であるが、確かに傑作はあるといえばあるが・・・そのほとんどは方向性がよくわからない映画ばかりであった。
その典型例が本作の「ゴジラ×メガギラス」である。
監督は後に機龍二部作といわれるまた同じゴジラ作品を生み出した手塚昌明である。
まあ、しかしこういってはなんだけど・・・ぶっちゃけこの人の作るゴジラって微妙なんだよねえ・・・。
子供からみると難しく暗い、大人から観ると幼稚で陳腐。
まあ、こんな映画を量産していたからゴジラ映画は滅んでいったといういい証拠なのだが・・・本作はまさにその特徴をまんま反映してしまっている。
この後に作った機龍二部作なんてぶっちゃけエヴァンゲリオンのパクリだった。
(まあ、実はエヴァは漫画版ゴジラvsメカゴジラのパクリだったともいわれてるけど)
とはいえ結構面白そうなところはあったりする。
まず1954年ゴジラ撃退に失敗した世界線が舞台である。
オキシジェンデストロイヤーは存在しないまま、東京とはゴジラに焼き尽くされ破壊しつくされてしまった。
そんでそのまま首都は東京から大阪に移ってしまったというのが本作の世界観である。
どうですか?結構面白そうでしょ!?
ところがどっこい!!この設定生かされません!!!
そう、大阪の土地でゴジラが景気よく大暴れする・・・なんという展開はほとんど皆無である。
ラストバトルの舞台は東京で、大阪が首都に移ったというのはほとんど生かされないまま終わっている。
おまけに主人公はなんと秋葉原のオタクである!
なんでやねん!!!そこはせめて日本橋やろ!!!!
そして、秋葉原のオタク君だが・・・・何の活躍もしないままどこへいったかわからないまま終わってしまうのであった。
あのなあ・・・そういうとこやぞ。
魅力のないキャラクターを主人公に出すのはやめてほしい。
その代わりにほとんど主人公として登場するのはなんと女性自衛官である。
これが恋愛要素は皆無で、男っ気がなく、負けん気の強いフェミニストがみたら歓喜するようなヒロインである。
ただいまハリウッドがポリコレ(笑)だのと抜かして女性ヒーローを生み出しているが、なんのそのこういう分野に関しては日本のがハリウッドより専攻しているのである。
この女性自衛官はゴジラに上官を殺され復讐に狂っているというキャラクター造形である。
ところが、この手塚監督よせばいいのに数年後に作られた「ゴジラ×メカゴジラ」でまた同じキャラクターを違う世界観で作ってくれるのであった。
とかくと大人向けにみえるでしょ?
でもね、やっぱショボイんです。
特撮もやっぱりショッパイ。
戦闘機グリフォンなんてのも登場するが、そのノリも含めてゴジラシリーズというかウルトラシリーズっぽいのだ。
いや、わかるねんでテレビならいいのよ。そういう安っぽいノリでも。
でもね、これ劇映画よ。
劇映画ってことは大人も満足させなきゃいけない。
しかし、この映画は大人からすれば子供臭く、子供からすれば地味で暗い。
どこの層に向いてるかわからないのである。
そもそも初代の続編って・・・・子供置いてけぼりじゃない。
こんな中途半端でどっちらけな内容の物を作るなら最初から作らないほうがよかったじゃないの。
ってそうそう、忘れてたゴジラの対戦怪獣だ。
これは中々面白い、ブラックホール砲の実験を行っているとうっかりタイムスリップしてやってきた古代生命体という怪獣なのだが・・・「ガメラ2」のレギオンのごとく幼虫を兵士として使いながら女王が成長していくという怪獣なのだ。
そして、「ミミック」が如く下水道に幼虫が根城をはり、人々を夜な夜な襲っていくというのだ。
こいつとゴジラが怪獣プロレスをするのだが、中々凝っていて面白い。
最期のシーンなんか頓知が利いている。
対戦怪獣としてほどほどに弱いのもいい。
しかし、設定は面白いのだが女性自衛官というキャラクターを主人公にしているのだからせめてこの幼虫と女性自衛官の格闘シーンぐらいはいれてもいいじゃないだろうか。
こんなことをいうと「しかしそんなシーンは作れないだって、子供向けだもん」って製作者の声が聞こえそうだが、だったらもっとわかりやすい映画を作りなさいってことである。
まあ、こんな内容の映画である。
終始どっちの方向性に向いているかわからない本作。