【悪役】帰ってきた素晴らしき悪役列伝 第18回 「ヒューマンガス様」
映画「マッドマックス2」に登場。
石油をめぐる核戦争によって滅んだオーストラリアを走り回る暴走族軍団のリーダー。
アイスホッケーマスクとムキムキなマッチョボディというわかりやすい見た目の持ち主である。
パッパガーロ一行が所有する石油精製所にある石油を狙い、彼らに対する嫌がらせや襲撃・誘拐などを日常的に行っている。
恐らくこの世界では石油は何よりも大事なのだ。
しかし、頭が悪く暴力しか行うことのできない取り巻きとは違い、ヒューマンガスは「場所を24時間以内に出て行けば追いかけて殺さない」などと言って交渉をもって石油精製所を奪おうとしている。
そのため石油精製所の一部のメンバーからは「あいつは話がわかるのではないか」とも言われている。
恐らく彼の言動をみたらわかるが、約束は破ることはしないだろう。
とはいえ、悲しい事にこの作品世界は世紀末である。
居場所を追い出された石油精製所の人々は住所を失い流浪の日々を過ごすことになるだろう。
流浪人のマックスを仲間に加えたパッパガーロたちは、ヒューマンガスとの交渉を拒絶。
荒野に放置されたトレーラーを回収し、石油を持ってトンズラをかまそうとする。
ヒューマンガスは再三交渉をしようとしていたのに、拒絶されたことに激怒。
仲間たちを引き連れ、トレーラーと石油精製所の愉快な仲間たちを追いかけようとするが、マックスの活躍もあり自動車事故を起こしてしまい部下もろとも爆死をするという末路を迎える。
とまあ、このようなハードコアな末路をたどり、その生涯終えてしまう偉大なるヒューマンガス様であるが、その戦闘力はやはりかなり高い。
大の男を頭突き一つで殺す暴走族の狂犬大男ウェズを苦も無く締め落とし気絶させてしまう。
この際、ウェズはヒューマンガスが精製所のメンバーと交渉している最中に愛人の少年をぶち殺されてしまったことで怒り狂っている状態なのだが、そんな状態のウェズを絞め堕としてしまうのだから腕力も相当の物があるとみていいだろう。
彼の部下に加わった暴走族どもも、恐らくそんなヒューマンガス様の腕っぷしにひかれたかあるいは喧嘩で負けて屈服し傘下となったかのどちらかだろう。
また、ウェズを絞め堕とす際に「お前の気持ちは俺にもわかる」といっていることから、恐らく彼自身も先の核戦争で愛する人を失っている可能性が高い。
さらに監督のジョージ・ミラーはヒューマンガスは元々軍人であったが、戦争で大きな火傷を負ってしまったのがあの姿であると後に語っていることからみても、恐らく彼はこのような夜盗に成り下がる前は国のために人々のために戦っていた誇り高き軍人であったのではないかと推察される。
争う事の無情さ殺し合う事の無意味さを知っていたからこそ彼は交渉でなるべく解決しようとしていたのではないだろうか。
とはいえ、石油利権を得ることが目的な彼の要求は理不尽極まりないので争いになる事は不可避であったのだが…。
また、そんなヒューマンガス様であるが…その最期は恐らく避けられるはずであろうトレーラーをよけきれなかったがゆえの死であることからみても、正直運転技術についてはかなり疑問点が多い。
また言ってしまえば、確かにカリスマ性はあり仲間から崇拝されているが…部下であるウェズを完全に手懐けているかというと疑問点が多い。
このように、世紀末世界を支配するカリスマ性と器があるが、その反面マヌケ点も多い。
こういったアンバランスさこそ彼の魅力であり今でもヒューマンガスを名悪役として、記憶しているファンが多い。
陰湿性:B(ネタキャラみたいな扱いを受けているが割と理不尽)
頭脳:B(頭脳派ではないが、あの世界では珍しく対話による解決を図る紳士)
強さ:S(巨漢のウェズを絞め堕とすパワー)
主張:S(ガソリンをよこせ)
人望:S(部下たちは完全崇拝状態にある)
権力:A(暴走族グループのリーダー)