ぶっちゃけ…ネタ映画としてもイマイチ「ゴジラ対メガロ」
様々なアプローチで描かれた作品が多いゴジラ映画シリーズ。
そんな中でも本作「ゴジラ対メガロ」は評価が二部している。
一時は「ゴジラ映画史上最低」を決める時には本作がランクインしていたこともあった。
かと思えば本作を愛すべきバカ映画としても消費するいわゆる「ボンクラ」的な人も多くいた。
そんな本作だが、個人的にみるとバカ映画としてみるとイマイチ笑いどころがなくかといって真面目に見る気もなくなってくるという印象である。
まずヒーロー役のジェットジャガーだが、常に笑っているような不気味なデザインをしておりこれが本気でヒーローとしてウケると思っていたのか真剣に疑問に感じる出来である。
どうですか？これ！？ウザいでしょ！！！
この当時ウルトラマンエースが放映していたのでそれの影響もあるのだろうが、ウルトラマンのパっとみでヒーローとわかる造形に対してこのジェットジャガーは感情移入が沸きにくい微妙なデザインをしている。
本作の悪役怪獣であるメガロは非常にデザインがいいのだが、ぶっちゃけ劇中でやっている破壊シーンや格闘シーンの大半は過去作からの流用になっている。
というか、ぶっちゃけジェットジャガーとメガロが絡むシーン以外はほとんど過去作の流用シーンである。
したがって、もうこの時点で「東宝やる気ねーんだな」という気がうっすらと感じてくるのだ。
一応スパイ映画を模したようなアクションシーンはあるが、「だから何？」という印象しか抱かない。
さらにいうと、本作の悪役で出てくるシートピア王国であるが純粋な侵略者ではなく地上の核実験の影響で被害を被ったためそれの報復で怪獣メガロを解き放ったという背景がある。
そう、ゴジラと同じ背景を持っている。
そりゃ怒るでしょう。
近所の住人がいきなりダイナマイトを放り込んできたら流石に訴訟モンですよ。
さらに核実験の影響はゴジラの住んでいる怪獣島にも影響が及ぼし、ゴジラが困惑するという場面があった。
ドンだけ範囲でかいんだ。
普通考えてください。
ゴジラならどうするか、人類に「ナニしとんじゃあああ！」とキレるはずでしょう。
ところがどっこい、本作のゴジラはすで人間に都合のいいペットになってしまっていた。
ゴジラの怒りの矛先は宇宙怪獣ガイガンと新怪獣のメガロに向いていた。
一度だけではなく二度も自分の住んでる地域に核をぶちこんだ人類に対しての怒りなど毛頭もないのだ。
というか本作のころにはすでに地球の支配者である威厳はなく、守護者である正義など元々もちあわせているわけもない。
というか、単純に気に入らないやつをぶちのめそーぜという程度の思考しかはなからゴジラにはなかったのだろう。
本作が嫌われるゆえんになったのはそういうブレブレな背景があったからでもある。
っていうか、この時代のゴジラは完全に怪獣王としての威厳はなく、完全に「人類の都合のいい奴」でしかなくなっていた
おまけに最終的には「放射能も使い方次第だな！」とまるで核兵器使用を肯定するかのようなオチがついてfinである。
本作はただのバカ映画ネタ映画ではなく罪深い作品でもあるのだ。
と書くと面白そうな極めてインモラルな内容にみえるかもしれないが・・・・ぶっちゃけこの映画クソつまんないです。
まあ、全体的に言えば低予算でケチろうとした結果ブレブレな映画ができてしまったというお話である。
ジェットジャガーは人気があるけど、大して活躍しないこんなのでゲラゲラ笑ってる暇があるならもっとましなもので笑いましょう。