洋ドラマ嫌いの俺が好きな洋ドラマ「ハリウッド・ナイトメア」
大体、俺は洋ドラマが嫌いだったりする。その理由は長いからだ。
まず大体連続物のアニメですらウンザリするのに、1シーズン10話ぐらいある話を3シーズンとか5シーズンとかぶっ通しでみなくてはならんのだと感じることが多い。
しかも話が全く進まないことがしばしばある。数話かけて何も自体が変わらないとすごくため息がする。
かといって話が頻繁にコロコロ変わっていくとリアリティがない。
24なんか日本でヒットしたが、冷静に考えればあそこまでアクティブな24時間はありえない。大体、君ら会社とか学校で数時間なにしてるグダグダと仕事をしてるだろ!
だが、今回紹介する本作はそんなことがまったくないシリーズだった。というのも、この作品は1話完結30分で終わりのオムニバスストーリーだったからだ。
日本でいうと「世にも奇妙な物語」に近いが、あれよりも短くかなり内容がエログロに特化しているのだ。
ストーリーは純粋なオカルトホラーであったり、サイコサスペンス物だったり、なんと純粋な戦争物だったりする時もあれば荒唐無稽なスラップスティックだったりすることもあった。
そして、本作の狂言回し的なキャラのクリプトキーパーのキャラもかなり面白い。序盤にいきなりでてきていろんなコスプレを披露してはかならずブラックジョークを言って終わるという印象的なキャラだ。
原作は伝説的なアメリカンホラーコミック「TalesFromTheCrypt」だ、だが大半の話は別のコミックが原作だったりする。大体は版権元は同じECコミックスなので問題はなかったのだろう。
さて、ECコミックスといえば話は聞いたことがあるかもしれないがをきっかけにコミックスコードが加速し、ヒーローと二大市場をもっていたホラーコミックは一気に減速していく。
これと同じくバットマンのジョーカーもバットマン最大の宿敵ポジションをリドラーやペンギンに譲ってしまう。
コミックスコードは彼らのような今風にいえば「政治的に正しくない」「偏見を助長する」「倫理的によくない」な漫画を許さなかったのだ。
(規制があってもいい漫画はできるなどと嘯く表現規制派は頭を入れ替えてこい。)
ドラマの内容の説明に話題を戻すと、話によって作風が変わったりする本シリーズだが全話共通してるのは、ろくでもないやつが自業自得な末路をたどるというのが共通している。
つまり彼らの自業自得な末路を30分で描きそれを思いっきり楽しむというかなり意識の低い楽しみ方ができるのだ。
話数が多すぎてカバーしきることができないからおすすめの話をピックアップして終わりにしたい。
「9回死んだ男」
アル中のホームレスだった男がお金目当てである大学教授の実験台になる。それはなんと猫のエキスを注入して回数限定だが不死身になる・・・というものだった。(アメリカのことわざでは猫は9回命がある。)
男は半信半疑だったが実験は成功した。そして教授とサーカスの興行主とともに金を稼いでくが、だんだんと男はエゴをみせていく。口封じと金の独占のために真実を知る教授を殺してしまうのだった。
男は欲望を加速させ8回目の死で終わりにしようとする・・・・だが男はあることに気が付いていなかったのだった。という話だ。
この話の監督は「スーパーマン」や「リーサルウェポン」のリチャード・ドナーだ。憎々しくエゴイストな主人公が悲惨なことになる、まさしく誰にもおすすめな内容だ。
「灼熱地獄!死神とランナウェイ」
警察から逃げる凶悪犯の男、彼は途中で警官につかまり手錠をされるが途中で警官を殺してしまい彼を引きずりながら砂漠を駆けずり回ることになる。
そんな男を一匹のハゲタカが虎視眈々と狙う、彼の死体を食いちぎるため・・・。
飢えと暑さと日光で精神がおかしくなっていく主人公、おまけに砂漠なので夜はすさまじく寒い。しかししぶとい主人公は死体を使い何とか生き残っていく・・・・。
そして、男はなんとかメキシコ国境の近くに到着するがそこはとんでもない岩山だった。
果たして男は逃げれるのだろうか?というのが本作。
結構、ジョジョっぽい心理戦がつづいていき男の必死なサバイバルが見ていて心地いい。本シリーズらしく自業自得で下劣な主人公がどんな目に合うのか・・・・ぜひそれは自分の目で確かめてほしい。
「 パペット・マスター」
年老いた人傀儡師の男性、かつては人気者だったが今や落ちぶれた彼は若い妻と余生を暮らしていたが、しょぼくれた爺さんは昔の相棒だったピエロ人形に話しかける毎日を過ごしている。「あの人頭おかしくなったんかしら?」と心配する妻・・・・。
そこへ芸術家志望の大学生がやってくる。
ベテランである彼の技術を学ぶためだったのだ。そこへ運よく、テレビの仕事をもう一度しないか?というスカウトまでやってくる。
いきり立つ老人、だが学生と奥さんが浮気関係にあるのではないかと半信半疑になっていく。そして・・・彼は恐ろしいことになってしまう。という話だ。
傀儡師と人形、ピエロとサーカス、夫婦と若い男の三角関係・・・それらが複雑にもつれ合い、オチでいきなりスラッシャー映画になっていく。
このひねくれ具合こそが「ハリウッドナイトメア」なのだ。
「 貧血寸前!愛と哀しみのバンパイア」
本作が実は俺の一番お気に入りのエピソードだ。現代を生きる孤独な初老の吸血鬼は血液銀行の夜警として働きながら、血を時折拝借して生きていた。
しかし、彼はやりすぎてしまい血液銀行は破綻しそうになる。
そこで男は夜な夜な犯罪者を殺しながらその血を血液銀行にため込んでいくのだった。
直接血をすするために殺すのは嫌だったが、血液銀行で貯蓄するためなら善行にもなるからだ・・・。
その過程で経理のおばちゃんとよろしくできてしまい、襲ってしまいそうになるが欲望を抑える吸血鬼のおじいちゃん。
そんな彼のところへ彼の正体をつかんだ血液銀行の頭取と吸血鬼ハンターがせまってくる・・・・彼の命運はどうなるのか!?
主人公は化け物だが、このシリーズにしては珍しく善人であり一応彼がどうなってしまうのか行く先が不安になっていく。しかしその内容は完全にコメディのそれであり、オチも倫理的にはアウトだが一応はハッピーエンドで終わる。
主人公を演じるのはあのマルコム・マクドウェルだ!!!悪人ばかり演じる彼が楽しそうに間抜けな吸血鬼を演じるのは楽しいぞ!!!
まとめ
中には「これホラーじゃないじゃん!」となるものもあるが、この「ハリウッドナイトメア」というのはそういうのが緩かった時代のホラーアメコミへのオマージュに満ちた実に風刺的で冷笑的なドラマなのだ。
そして残念ながら日本では一部を除けばDVDになっていない。
悲しいが、VHSを探して個人で見つけていってほしい。え?ネタバレしてほしい?本当にいいの?