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プロレス超人列伝第七回「マーク・ヘンリー」

世界最強の男、この二つ名を聞けば誰を思い出すだろう。

アントニオ猪木かカール・ゴッチか、あるいはヒョードルか。

今回はWWEの世界で「世界最強の男」という二つ名で通った一人の巨漢の話をしたいと思う。

彼の名前はマーク・ヘンリー。

ヘンリーは元々重量挙げの選手で、アトランタ五輪で銀メダルを獲得する活躍をみせていた。

その後、1996年にプロレス転向をしたヘンリーはカナダ最強のハート道場でブレット・ハートたちの指導を受けWWFに入る。

その巨体と怪力に引かれたビンスはすぐさま彼と10年契約という破格の契約を結ぶことになる。

やがて彼は当時のWWFでトップだった黒人だらけのヒールユニット「ネーションオブドミネーション」に入り、ネーションオブドミネーションの力自慢として慣らしていた。

その後、「セクシャルチョコレート」というプレイボーイギミックを演じ当時から老婆であったメイ・ヤングを孕ませるというまさかの珍場面を演じることがあった。

順風満帆に見えた彼のプロレス人生であるが、体重増加などがたたり2002年には下部団体に位下げをしてしまう。

このままではいけない、そう考えたのか定かではないが彼は、ワールド・ストロンゲスト・マン・コンテストに出場。

この、ワールド・ストロンゲスト・マン・コンテストというのは世界一の怪力男を決めるコンテストであった。

彼の「世界最強の男」というのはこの、ワールド・ストロンゲスト・マン・コンテストにちなんでいるのだ。

ここで彼は優勝してしまう。


彼は名だたる記録を引っ提げてWWEの一軍に見事戻ってきたのだった。

戻ってきた彼はアンダーテイカーやゴールドバーグといったパワーファイターたちのライバルを引き受けていた。

わかりやすくいえば寡黙で怪力なパワーファイターの怪物ヒールとして君臨していたのだ。

かといって悪役しかできないのかというとそうでもなく善玉になるときさくで明るいベビーフェイスとして君臨していた。

気が付けば10年契約はすでに期限が過ぎていたが、ビンスは彼に心底惚れており善玉悪玉を交互しながら彼を重宝していた。

そんな中、彼のキャリアが変わる時がやってきた。

時は2011年、WWEは絶対的なヒールを求めて右往左往していた。

そこで白羽の矢がささったのがこのマーク・ヘンリーであった。


団体の絶対的なベビーフェイスであったジョン・シナを襲撃してヒールになると「苦痛の殿堂」と称し、ケインやグレートカリなど多くの巨漢レスラーを沈めていった。


ヘンリーは長い間世界王座からほど遠いキャリアをしていたが、ここでとうとう世界ヘビー級王座を獲得することになる。

彼の怪物ヒールは非常に人気があり、彼が登場するとすぐさま視聴率が上がることから「視聴率男」としても有名であった。

そして、同じく長らく世界王座から遠のいていた親友でありライバルのビッグショーと巨漢対決を行い世界王座を巡った抗争を披露していくのであった。


世界王座そのものは別のレスラーに横やりで奪われてしまうが、彼の長いキャリアの中でもひときわ輝いていたのはビッグショーとの抗争だろう。

時は流れ、2018年。

彼はWWE殿堂入りの名誉に輝くのであった。

そして、現在彼はプロレスラーとしてはほとんどセミリタイア状態になっている。

多くのレスラーがいり抜けを繰り返したWWEであるが、このWWEで長い間ずっとしがみついていたのはこのマーク・ヘンリーぐらいのものだろう。

なぜ彼がその地位にしがみつくことができたのか、それは彼が非常に気さくで温厚な人物であったからに他ならない。

かつてアントニオ猪木にボコボコにされたグレートアントニオのようにパワーだけのレスラーはたいていの場合周囲を見くびり、また周囲からも軽い扱いを受けることがあるが…ヘンリーはそんなことはなかった。

元々陸上選手であったが、その気さくで紳士的な性格で周囲の人望を勝ち得ることができたのだ。

そういう意味では彼は本当の意味で「世界最強の男」といってもいいのかもしれない。





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