2022年、不動産業に関わる法改正
こんにちは。GA technologies グループ PRチームです。
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このnote(マガジン)では、不動産業界で起こっている(起ころうとしている)ことや課題、業界を知る上で欠かせないキーワードなどを解説します。
第2回のテーマは「2022年、不動産業関連の法改正」です。
※2022年1月28日時点
監修:株式会社GA technologies 法務部長 石川佳宏
世の中全体の主な法改正
2022年はさまざまなルールが変わります。
不動産業界に関連する法改正に入る前に、2022年以降に変わる主な法律・ルールを見てみましょう。(※1)
コロナ禍で加速した経済のデジタル化に関する法改正や、2021年の流行語大賞にノミネートされた「ジェンダー平等」や「SDGs」と関わりの深い働き方や環境系の法律・ルールが多く変更されるようですね。
上記項目は、業種を問わず各企業が新ルールへの対応を求められます。
記事の後半では、4月に施行される「改正個人情報保護法」と「民法改正」による成年年齢の引き下げについて、不動産事業者ならではの視点で詳しく紹介しています!気になる方はご覧ください✨
不動産業に係る法改正・規制関連
ここからは宅地建物取引業法をはじめとした、特に不動産業に関連する法改正および規制・規制緩和を紹介します。
デジタル改革関連法案
2022年の不動産業における法改正のメイントピックは「デジタル関連法案」です。
IT技術の普及で社会全体にさまざまなデータが蓄積され、その量は増え続けています。データやデジタルの活用により、一人ひとりのニーズにあったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会の実現を目指すべく、2021年5月12日にデジタル改革関連法案が成立(施行は同年9月)されました。
デジタル関連法案とは、一つの法律を指すのではなく複数の法律案を総称したものをいいます。中でも「デジタル社会の形成を図るための関連法律の整備に関する法律案」では、今後のデジタル利活用を推進しやすくするためのルールや規制緩和が行われます。
押印・書面の交付等を求める手続きの見直し
「押印・書面の交付等を求める手続きの見直し」は、今回の見直しにより合計48法律の改正が予定されています。これまで対面や郵送が必要だった契約手続きなどの規制が緩和されることで、規制産業のデジタル化が加速すると期待されています。
改正される48法律の中から、不動産業と関わりの深いものが以下の通りです。
なお、本見直しでは「押印の見直し」と「書面の見直し」は大別されているため、必ずしも押印の廃止と書面の電子化がセットで改正されているわけではありません。
特に宅地建物取引業法は、業界待望の改正と言えるでしょう。
現行法では、宅地建物取引業法により重要事項説明書ならびに賃貸借契約書(宅地建物取引業 第35条、第37条書面)の書面交付が必要なため、賃貸借契約を締結するためには郵送や対面での契約書のやり取りが必要です。2022年5月までに宅建業法が改正されることで、賃借および売買契約における重要事項説明のオンラインによる非対面化や、書面(34 条、35 条、37 条書面)の手続きが電子化できるようになり、デジタル完結することが可能になります。
電子交付可能になる書類
▶売買の媒介契約書(宅建業法34条)
▶賃売の重要事項説明書(宅建業法35条)
▶売買の重要事項説明書(宅建業法35条)
▶賃貸借契約書(宅建業法37条)
▶売買契約書(宅建業法37条)
ではこの規制緩和により私たちの生活はどのように変わるのでしょうか。
例えば、お部屋を借りるとき。
賃貸契約が電子契約で行えるようになるので、まずは不動産屋さんへの来店が不要になります。自宅や隙間時間を使って契約が行えるようになるので、遠方からのお引越しや、忙しくて日中なかなか時間が取れないといった方など、これまで以上に一人ひとりのニーズにあったサービスを選ぶことができるように!
また、事業者側も契約業務の効率化や印刷代・送料などのコスト削減など、オンラインならではのメリットが期待できます。
さて、「デジタル関連法案」について解説してきましたが、ここからは4月に施行される「改正個人情報保護法」と「民法改正」による成年年齢の引き下げについて、不動産事業者ならではの視点で詳しく紹介していきます!
改正個人情報保護法
2022年4月1日に施行される「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」は、個人情報に対する意識の高まりや技術革新を踏まえた保護と利活用のバランス、個人情報が多様に利活用される時代における事業者責任のあり方、越境データの流通増大に伴う新たなリスク対応などの観点から、以下の6つのポイントで改正されます。
今回の改正個人情報保護法では、外国の事業者への域外適用の範囲が変更されました(ポイント6)。旧法では、個人情報の取扱に関する報告徴収や立入検査などの規定が外国の事業者に対しては適用されていませんでしたが、今後、外国の事業者の不適切な取扱に対しては、強制力による措置が執られることになります。
昨年から「安いニッポン」「買われるニッポン」といった言葉を目にすることが増え、海外投資家による日本不動産への投資動向が注目を集めています。年末には中国不動産大手、中国恒大集団の経営危機報道を皮切りに、中国バブルの崩壊が取り沙汰されるなど、日本不動産を取り巻く話題は依然としてホットです。国外の事業者との取引がある企業で、個人データを提供する機会がある場合、移転先事業者における個人情報の取扱に関する制度等について、本人へ情報を提供することが義務化されますので注意が必要です。
誰を相手にして取引をしているのかわからない、外国の会社に情報が共有されるみたいだけど、どのように情報が取り扱われるのか知るすべがない、といった状態では、誰も取引したいとは思いませんよね。不動産の国際取引は特に注目を集めており、個人情報・データの取扱の安全性が十分に担保されていることが最低限もとめられているといえます。※2
成年年齢20歳から18歳に引き下げ
明治9年以来、日本の成年年齢は20歳とされてきました。しかし近年、投票権や選挙権が18歳以上と定められたことなどを背景に、若者の自己決定権を尊重し、その積極的な社会参加を促すため、成年年齢が18歳に引き下げられます。
民法の成年年齢には、「ひとりで有効な契約をすることができる年齢」という意味と「父母の親権に服さなくなる年齢」という意味があります。今回の改正では、18歳19歳の方は、親の同意を得ずにさまざまな契約ができるようになります。これは、「自分の住む場所を自分の意思で決め、契約することができるようになる」ということです。
不動産業、特に賃貸管理についてどのような影響があるでしょうか。上記のとおり、改正前は、未成年者が賃貸借契約を行う場合、親の同意が必要でした。同意がない場合、後ほどその契約を取り消すことができたのですが、今回の改正以降は同意が不要となり、原則有効な契約ということになります。実際は、18歳、19歳は学生の方が多く、親を契約者とする場合もありました。
賃貸の実情はというと、契約の際に保証人を求めたり、保証会社との契約が前提となっていることがしばしばあります。保証人には親がなることが多く、実務上は大きな影響はないものと予想されますが、2022年4月1日以降、18歳・19歳の成年との契約をどのように行うか各社の方針に注目です。※3
いかがでしたか?
2022年はさまざまなルールが変わりますが、とくに不動産業界は更なるオンライン化が期待される一年です。
業法や法律文はふだん馴染みがないという方も多いとは思いますが、不動産業界の期待感が少しでも伝われば幸いです!
この連載では、今後も不動産業界のさまざまな側面をご紹介していきますのでお楽しみに!
出典・参考
※1:日経新聞 「2022年に変わる法令・ルール 内部告発者保護など強化」2022年1月10日、週刊東洋経済「第1特集 2022年大予測」2021年12月25日・2022年1月1日合併合、週刊ダイヤモンド「総予測2022」 2021年 12/25・2022年1/1 合併特大号
※2:個人情報保護委員会 「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直し 制度改正大綱」令和元年12月13日、KEIYAKU-WATCH「【2022年4月施行】 個人情報保護法改正とは?改正点を解説! (新旧対照表つき)」、テレ東プラス「再加熱する外国人不動産投資 外国人投資家の税逃れも」2021年11月1日、毎日新聞「中国恒大集団は結局どうなるのか 不動産バブル退治に躍起の当局」2021年12月31日
※3:法務省 民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について、民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)、民法の一部を改正する法律案新旧対照条、ReDocS「未成年者と賃貸借契約は可能?契約締結における注意すべきポイントについて」
※4:内閣官房IT総合戦略室デジタル改革関連法案準備室総務省自治行政局「デジタル関連法案について」令和3年3月、ContractS「2021年9月1日施行!デジタル改革関連法とは〜企業に必要な対応を解説〜」2021年10月13日、国土交通省HP「宅建業法にかかるITを活用した重要事項説明等に関する取り組み」
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