住宅の種類別に購入の傾向をまとめてみました
こんにちは。GA technologies(ジーエーテクノロジーズ)グループ PRチームです。
いま大きく変わりつつある不動産業界に関する情報をお届けするマガジン「オープンファクトブック」。不動産業界のニュースや課題、業界を知る上で欠かせないキーワードなどを解説します。
今回のテーマは、住宅購入。ご自宅の購入に関するファクトをまとめていきます。なお、本記事で記載するデータは令和3年調べのものを活用しています。
昨年は524万7,744人が住む場所を変えている!
総務省統計局が発表した「住民基本台帳人口移動報告」によると、昨年の市区町村間移動者数は524万7,744人。
住民基本台帳人口移動報告は、住民台帳に基づき、国内における人口移動の状況を明らかにするものです。そのため、市区町村間移動者数は、住む場所を変えた人がどれくらいいるのかを把握する一つの指標といえます。
また、この調査では地域への転入者数から転出者数を差し引いた数である「転入超過数」も報告されています。2021年、転入超過数が最も大きい地域となったのは、埼玉県さいたま市。県単位では、埼玉県、東京都、神奈川県、千葉県、群馬県、大阪府、福岡県、茨城県、滋賀県、山梨県が転入超過の結果となりました。
そして、人の移動と切っても切り離せないものが住宅です。
ここからは住宅種類ごとに選択理由や世帯主の属性、住宅ローンの傾向などをまとめていきます。
「住宅市場動向調査」について
今回紹介する内容は、国土交通省 住宅局が実施する「住宅市場動向調査(令和3年度)」に基づくものです。住み替え・建て替えの前後の住宅や、その住居に居住する世帯の状況及び住宅取得に係る資金調達の状況等を把握し、今後の住宅政策の企画立案の基礎資料とすることを目的に、平成13年(2001年)より毎年調査が行われています。
単に住宅といっても、「中古か新築か」「マンションか戸建か」など選択肢はさまざまです。そこで、この調査は住宅の種類を下記の6つに分類しています。
本記事も同様の分類でまとめていきますが、今回は「購入」がテーマなので、「民間賃貸」への住み替え情報は割愛します。「民間賃貸」または、調査対象や回答数、対象地域についてはこちらをご確認ください。
◆ 注文住宅
住宅の選択理由
比較検討した住宅は同じく「注文住宅」であることが多く、住宅の選択理由は「信頼できる住宅メーカー/不動産業者だったから」が46.4%と最多の回答となっています。この「住宅メーカーや不動産業者への信頼」が上位にランクインしたのは「注文住宅」のみで、個人の要望や理想の暮らしをオーダーメイドで反映できる注文住宅ならではの結果となっています。
住宅取得回数と世帯主の属性※調査地域は全国
注文住宅を購入した方の79.9%は「今回が初めて」の住宅取得となり、2回目の取得と回答した割合は16.0%でした。今回初めて取得された世帯主は、平均年齢が40.0歳。最も多い年齢は30代で46.5%でした。
購入資金(住宅ローン・自己資本など)※調査地域は全国
購入平均資金は、4,879万円で、自己資金比率は17.3%(843万円)の結果でした。購入者の84.1%は住宅ローンを活用。他の住宅種類と比較すると、住宅ローン利用率が最も高い傾向にあります。年間返済額は平均139.4万円で、返済期間は32. 9年が平均値となりました。
◆ 分譲戸建住宅
住宅の選択理由
比較検討した住宅は同じく「分譲戸建住宅」が最も多く、次いで比較検討されたのは「注文住宅」でした。選択理由をみてみると「戸建」であることや「新築」であることに重きが置かれており、将来の売却や維持管理についてはさほど重要視されていないようです。
住宅取得回数と世帯主の属性※三大都市圏での調査
今回が初めての住宅取得となった割合は、87.0%。他の選択肢の中で最も一次取得者(※)の割合が多い結果となりました。そのためか、世帯主の平均年齢は37.2歳と他の住宅と比較し最も若く、約5割が30代でした。
※一次取得者:初めて住宅を取得した世帯
購入資金(住宅ローン・自己資本など)※三大都市圏での調査
購入資金は4,205万円で、自己資本比率は19.0%(799万円)の結果に。購入者の70.9%が住宅ローンの借り入れを行っています。返済期間は34. 1年で、年間返済額は126.0万円。世帯主の年齢が最も若い住宅であるため、35年ローンを選択する人が多いようです。
※数値は全て平均値です。
◆ 分譲マンション
住宅の選択理由
比較検討した住宅は同じく「分譲マンション」が最も多く、次いで「中古マンション」、続いて「分譲戸建住宅」の順で比較されています。住宅の選択理由では、「立地環境の良さ」が69.6%と最多になりました。また、「将来、売却した場合の価格が期待できそう」という回答は、比較した5つの住宅種類の中で最も数値が高い結果となり、売却価値を考慮する動きもみてとれます。
住宅取得回数と世帯主の属性※三大都市圏での調査
今回が初めての住宅取得となった割合は71.4%で、2回目の取得は21.8%、3回目の取得は6.4%となり、2回目・3回目の購入割合が他の住宅と比較し最も多い結果となりました。また、世帯年収が最も高い傾向にあり、一次取得者のみで852万円。複数取得者を含めると、912万の世帯年収があることがわかりました。世帯主の年齢は、39.5歳で最も多い年代は30代でした。
購入資金(住宅ローン・自己資本など)※三大都市圏での調査
購入資金は4,674万円で、自己資本比率は28.6%(1,337万円)の結果に。戸建と比較してマンションは自己資本比率が高い傾向にあるようです。住宅ローンの利用率は63.2%で、返済年数は32. 0年。年間返済額は150万円と、他の住宅と比較し最も多い金額です。
※数値は全て平均値です。
◆ 中古戸建住宅
住宅の選択理由
比較検討した住宅は同じく「中古戸建住宅」が最も多く、次いで検討されたのは「分譲戸建住宅」です。「戸建」を希望する方は「中古・新築」よりも「戸建」であることに重きをおくようです。選択理由は「価格が最適だったから」が最も多く、「分譲戸建住宅」と同様に将来の売却や維持管理についてはさほど重要視されていないようです。
住宅取得回数と世帯主の属性※三大都市圏での調査
今回が初めての住宅取得となった割合は70.7%で、2回目の取得は21.7%、3回目の取得は5.9%と、分譲マンションに次いで複数回取得者の割合が多い住宅区分です。世帯主の属性は、平均年齢が43.2歳で、40代の世帯主がボリュームゾーンとなりました。
購入資金(住宅ローン・自己資本など)※三大都市圏での調査
中古戸建住宅の購入資金は2,721万円と、他の住宅と比べて最も低い金額でした。自己資本比率は29.2%の795万円。住宅ローンは55.2%が利用し、年間返済額は99.7万円。返済期間は29. 2年と、最も短い結果となりました。
※数値は全て平均値です。
◆ 中古マンション
住宅の選択理由
比較検討した住宅の種類は同じく「中古マンション」が最も多い結果となりました。
選択理由は数ポイント差で「立地環境の良さ」が「価格」を上回っています。他の住宅と比べてみても極端に低い項目はなく、さまざまな理由から選ばれている住宅だということがわかります。
住宅取得回数と世帯主の属性※三大都市圏での調査
今回が初めての住宅取得となった割合は79.9%で、注文住宅と同じく、最も一次取得者が多い住宅です。世帯主の平均年齢は43.6歳であり、他の住宅と比較し最も40代の世帯主が多い結果となりました。また、他にも60代の世帯主も多く、一方で30代未満で中古マンションを購入する属性は6.6%のみと最も低いことも特徴です。世帯主の年齢傾向が要因となってか、一世帯あたりの平均居住人数は2.6人と最も少ない結果になっています。
購入資金(住宅ローン・自己資本など)※三大都市圏での調査
中古マンションの購入資金は3,118万円で、自己資本比率が36.3%(1,132万)と他住宅と比較し最も高い結果となりました。また、住宅ローンの利用は53.5% と最も低く、26.1%がローンなしで購入しています。平均返済期間は29. 9年で、年間返済金額は101.3万円です。
※数値は全て平均値です。
◆ 5種物件の特徴比較
それぞれの住宅種類を同じ切り口で比較してみると、新築より中古の方が自己資本比率が高い傾向にあったり、若い人ほど新築を希望する傾向があるようです。
おまけ、気になる新築と中古の選択理由
「注文住宅」「分譲戸建住宅」「分譲マンション」を購入した属性が中古住宅を選ばなかった理由は、「新築の方が気持ちがいいから」が最も多く、次いで「リフォーム費用などで割高になる」という意見が多く見られました。一方、「中古戸建住宅」「中古マンション」を選んだ理由は、「予算的にみて中古住宅が手頃だったから」が最も多く、次いで「新築住宅に拘らなかった」が続きました。
最後に
今回は住宅購入についてのデータをご紹介しました。
住宅購入の情報は、実際に購入を考え出してから調べる方がほとんどだと思います。この記事で紹介した内容は、国土交通省が毎年調査しているデータですので、「こんなデータがあるんだ」程度で認識いただき、必要な時に活用いただければ幸いです。
「住宅購入は一生に一度の大きな買い物!」と考える方も多いと思います。実際、住宅購入に関してはすべての種類で一次取得者の割合が高く、「売却」を重視して住宅を選んでいる方は少ない印象です。一方で、年齢や世帯人数に応じて住み替える方も一定数いることがわかりました。ご自身の理想のライフスタイルを考える際に、ぜひ理想の住宅についても考えてみてはいかがでしょうか。
参考
総務省統計局 住民基本台帳人口移動報告 2021年(令和3年)結果
国土交通省 住宅局「令和3年住宅市場動向調査報告書」
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