スタジオを移転しました
島原に移住して2年が過ぎました。前回までのあらすじ
仕事と生活基盤の確保・安定はできたので、並行して長期的に住める環境への移行を進めていました。
移住の際に入った物件は島原では珍しい鉄筋の賃貸マンションで、周辺環境もよくて住み心地快適だったんですが。やはり長期で考えると老朽化と賃貸なのがネックで、、、
予算を抑えようと中古住宅を探すも、立地や状態などの面で長期で安心して住めそうな物件はなかなかない。土地と箱を買うだけだったら高めの新車ほどの値段から買えるけどw では新築分譲となると、田舎といえどニューファミリー向けばかりで、老親を迎える予定の限界ヲタ独身異常中年にフィットする立地や間取りの物件は見つからず。
あまり時間もかけられないので、そうなると必然的に、
注文住宅を建てることになるのです。
まさか自分が施主になる日が来るとは…。
若干市街から距離はあるけど素性も形もいい土地が、偶然祖母の実家の近くに見つかって。呼ばれたというかこういうのは縁ですね。後はもう家族にフォローしてもらいながら成り行き任せで。
注文住宅ということは、つまり予算を割り振れる限り玄関のタイルから天井一面の壁紙に至るまでフルカスタマイズできる、ということ!決めることが多すぎて死ぬ!しかも地縁の力で信頼できる工務店さんにお願いできたので、自室の防音施工を予算内でねじ込んでもらいました。こういうのは注文住宅でもハウスメーカーじゃ難しいです。
スタジオは寝室と収納込みで9畳を割り当てました。
壁と天井に遮音シートと、吸音材代わりに倍にしたグラスウール(断熱材)を張って防音してます。
ドアも防音用に変更。ガラスは反射が強いので窓は無いのが最適だけど、寝室も兼ねるので流石に換気と採光用の小窓を用意。ただし居室の採光基準を下回ってしまうので、設計上は納戸になりました(役所のバグを突いたハック)。
防音は外に漏れる音と外から入る音の両方の対策が必要です。調べればあちこちに書いてあるけど防音処理には遮音と吸音があって、この2つを組み合わせないと効果的に防音ができない。室内音響はさらに別。賃貸なんかで半端に吸音材を貼りまくっても防音が難しいのはこのためです。厚めのウレタンフォーム程度で止められるなら世にハウススタジオはいらない。
というわけで最大のmy new gearが竣工しました。中からも外からも防音はできてるので、ここからは室内音響の調整になる。まっさらなホームスタジオは音漏れが殆ど無い代わりに遮音材による室内の反響が凄まじく、「これはチューニングで抑えられるんだろうか」と当初はめちゃくちゃ不安でした。
引っ越して一通り家具を配置したところ、それが吸音材や拡散材になって普通の部屋よりちょっと響くくらいに抑えられた。設計時からワークスペースの配置を部屋の角向きで想定しています。狭小なプライベートスタジオだとほぼ避けられれないフラッターエコーだけど、壁に平行に置かないことでかなり抑えられます。その分有効スペースは犠牲になるけど…。
とりあえずスピーカーを配置して音出し。
角置きにしたのでフラッターエコー由来の特定のピークやディップは思ったより抑えられてるけど、限界はある。120〜150Hzあたりで凸凹が目立つのと、中域以上もアナライザ上は比較的フラットだけど全体的にモヤモヤしてる。
音響の調整は一旦置いといて、部屋自体の荷解きを進めます。特に背面の本棚に中身を詰めたところ、紙が拡散・吸音材代わりになったのでだいぶ音が落ち着いた。
荷解きが終わって物の配置が済んだところでスピーカーからリスニングポイントへの反射を抑えにかかります。主にスピーカーの背面、ドア付近、天井。
背面は反射角に合わせて吸音材を貼りました。スピーカー本体の後ろが壁から近いので、なるべく離れるよう本体の角度をやや外振りにしつつ、真後ろに2種類の吸音材を重ねて立ててます(これは気休めレベル)。
部屋の下角は本格的なベーストラップを検討したけど、高いので有り合わせのもので実験。ウレタンフォーム2枚と折りたたんだ長毛ラグを重ねて、IKEAのフロアライトの土台(5kgくらいのコンクリブロック)で押さえつけてます。写真にはないけど土台の前にレコードを詰めたケースを置いてます。一時的な気休めのつもりだったけど意外と効果があったので、このままに。
ワーキングデスクが広すぎて、天井との間の共鳴がキツい。直接吸音材を貼るか悩んだけど、天井ドレープで拡散できるのでは…と検索して、お姫様ベッドの天蓋しか見つからず困り果てて、結果キャンプ用の三角タープに行き着いた。さらに反射点あたりに吸音材を貼り付けたら、見た目アレだけど思った以上に効果があってびっくり。
ドアは突っ張り棒にIKEAの布を下げました。これも気休めより効果あった。
低域のピークとディップは当初より軽減したものの、これは部屋自体の特性みたいです。低い音ほど抑えるには質量の大きな物体が必要で、必然的に手間とスペース、費用が上がっていくのに対して、そこまで効果が期待できなさそう。ここはモニター本体に内蔵のARCである程度均しつつ妥協します。
音場補正機能は便利だけど、測定マイクに入る周波数バランスで調整するだけなので、リスニングポイントに反射音がバリバリ入ってきてたらその影響はそのままで補正されちゃいます。まず部屋の環境を整備する、スピーカーの直接音以外をできるだけ抑えてから補正することで、かなり効果を発揮します(というのはあたりまえだけど今回でよくわかった)
以上で理想通りのスタジオが完成しました!
爆音出したらさすがにリビングではなんか音出してるな、くらいには漏れるけど、家の外にはまったく漏れません。漏れたとて部屋の裏は畑があるだけだし。今のところお気に入りの曲を鑑賞するのが楽しすぎて自分の制作ができてないですw
コロナ禍で一時期脚光を浴びていたテレワ地方回帰も最近はすっかり盛り下がってますが、DTMerこそ田舎で注文住宅を建てるのがお勧めです。みんなも地方に移住して最強のmy new gearを手に入れよう!