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【レポート】「究極の雪国」で豪雪キャンプが楽しめる?!“泊まれる小学校”がアレもコレもステキすぎる件。
新潟県十日町市は「究極の雪国」として日本文化遺産に登録されている。
雪と闘い、恵みとして活かし、暮らしや伝統が築かれてきた。この国内有数の豪雪地域で、2024年にオープンした宿泊施設がある。
リノベされた小学校でグランピング?!そして豪雪キャンプ場……。ここは、国内有数の雪国を「最も堪能できる」場所かもしれない。
雪国の里山で、人と心を結ぶステキな施設づくりに携わった方々に話を聞いた。
●学校を守ることは、地域の想いを守ること。
2021年。新潟県十日町市の旧中里地域のある集落で閉校を迎えた学校がある。貝野小学校ーーその歴史は明治7年から147年つづいた。
子どもたちの笑い声が響いた教室や体育館はひっそりと静まり返った。
「学校は地域を結ぶ大事な場所」。そう語るのはこの地で生まれ育った小川新一さん。市内の㈱丸山工務所で取締役 建築部長を務める。
やむにやまれぬ想いから、思い切って「ある提案」をした。
十日町市が主催した「第1回雪国居住空間コンテスト」に社をあげて応募しました。過疎化が進むのはある程度仕方ない。けど「黙って見てて終わり」ではあまりに淋しい。だから思い切って学校をリノベーションするプランを提案したんです。
学校はその土地の絆を結び、歴史をつなげる大事な場所。このプランなら、十日町市もきっと応援してくれるはず、と確信していました。
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小川さんたち十日町市に提案したプランは「暮らし体験施設部門」で見事、最優秀賞を受賞。プランの実現へ丸山工務所内でプロジェクトが発足し、2024年1月、ついにオープンを果たした。
●不思議で温かな距離感が生まれる場所
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「雪原学舎」と書かれた看板の横を通り過ぎて、かつて生徒がにぎやかに行き交った玄関・廊下を抜けると、暖炉の温もりが広がるカフェが現れた。
「ここは元教職員室。それでこっちの校長室はキッチンになりました」
教えてくれたのはスタッフの柳大輔さん。本業の柳農家を営むかたわら、冬季間はカフェやフロント業務などに就き、宿泊者を迎え入れる。カフェ内の椅子やテーブルもアウトドアスタイルで非日常が楽しめる。色鮮やかなパスタなどメニューも豊富だ。
隣の部屋には、アウトドア・キャンプ用品を扱う「WEST十日町雪原学舎SatelliteShop」が併設されている。
地元の人が「おいしい、おいしい」って通ってくれるんです。普通のカフェならコーヒー飲んで帰るだけだけど、ここでは自然と会話や交流が生まれています。
キャンパーさんとか宿泊客がチェックインしていると、地元の人が「あんた遠くからきたのかね」って自然とお茶飲み話が始まったりして。不思議で温かな、距離感の近さがあるんです。
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よく見ると、棚はかつての子どもの靴箱。学級日誌には部屋の案内や夕食メニューが書かれている。
「学校だったこと」を随所で大事にされているのを感じた。
リノベーションもなるべく最小限に、既存の設えを大切に活かし、なるべくそのまま使われているのが印象的だ。
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●仲良く、楽しく、学ぶのだ。
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展示されたパネルの一節を指さして、小川さんが誇らしげに教えてくれた。
「仲良く楽しく学ぶのだ。これは貝野小学校の校歌の一節です。そしての今、この施設のテーマでもあります。ここで育った人が大人になって、同級会とか、再び集いあえる場所になっていることも嬉しい思いです」(小川新一さん)
故郷を大事にし、歴史を大切にする心情が、雪原学舎の根幹にある。
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設計を担当した野沢浩平さん。施設づくりに携わった感慨を語る。
プロジェクトメンバーの半数は20代30代の若手。私も含めて、誰も宿泊施設の計画・運営なんてやったことない。そんな中で若いメンバーが生き生きと意見を出してくれたんです。
私は小川さんと高校時代の同級生で年配組(笑)。私たちは「若い世代が〝失敗してもいいから、やってみよう〟と思いきれる雰囲気づくり」を心がけてきたつもりです。どんな事業も、つくって終わりではない。そこを維持・管理する人がいて、次代に繋ぐ人がいて、持続可能な、心を伝える「もの創り」が大切だと思っています。
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●歴史を大切に、未来へつなぐ。
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体育館の脇の一室に、貝野小学校の記念展示室が用意されていた。
子どもたちの集合写真、アルバム、表彰状…それらは、雪原学舎をつくる過程で、地域の人達の声を聴き、協働で収集した貴重な品々だと伺った。
なかには相当古い文集・アルバムもある。貴重な歴史の1ページ1ページをめくりながら、この土地を築いた人たちの気持ちに思いを馳せた。
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宿泊・観光の目的地として、この土地を訪れる人が増えている。
貝野小学校の出身者が、ここで旧交を温める場面も増えた。
地域の人が顔を合わせ、笑顔で語らう姿がそこにある。
ここ「雪原学舎」で人と人が出会い、土地や建物に刻まれた想い・歴史に心をはせる。ステキな空間が広がっているのを感じた。
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■雪原学舎のホームページはこちら■
宿泊予約やカフェの案内など、ぜひご覧ください!
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