なにそれ?~Shared Decision Making~
Shared Decision Making(以下SDM)って言葉を聞いたことありますか?
実は、SDMは僕の大学院の博士論文のテーマです。
大学院に入るまでは聞いたことない言葉だったんですが、出会ってからは運命を感じています。(運命とか信じるタイプです)
今日はこのSDMって言葉だけでも覚えてもらえたら嬉しいです。
SDMは医療者と患者さんとの意思決定方法の一つです
SDMは日本語だと「共有意思決定」とか訳されることがありますが、SDMそのまま使うほうが一般的だと思います。
じゃあ、さぁ、SDMとは何か?ですが、
ということです。
ムズイですね。(笑)
ここで重要なのは、
「最善のエビデンス」✖️「患者の価値観や好み」を「共同のコミュニケーション」でということです。
具体例で考えてみましょう。
人間の乳がんの治療だと、
術式の選択(乳房全摘、部分摘出、再建等)、術前・術後の抗がん剤治療やホルモン治療、放射線治療の実施が
もちろん病気のステージにもよりますし、患者さんの価値観や背景によってどの治療を選択するかは変わってきます。
見た目を重視するのか、再発のリスクを少しでも減らすか、出産の希望、年齢、仕事、家庭の事情など患者さんの価値観や背景がかなり影響されます。
(日本赤十字医療センターHPより)
その時に、医師がこれが絶対いいですよって医学的な正解がない時には、
医療者の持つ「医学的な最善のエビデンス(再発率、転移率、副作用等)」と患者さんの持つ「価値観、好み、背景や人生」を合わせて、「共同」で話し合わなければ正解には辿りつけません。
このような際に、より良い意思決定をするために医療者と患者さんが一緒に決めていきましょうというプロセスがSDMになります。
なんとなくはイメージをできましたかね。
ちなみにこれって獣医療でも、めちゃめちゃ重要な考え方になります!
(SDMって言葉は知らなくても、実施している獣医さんもいると思います。)
動物(ペット)の価値観、倫理観って、本当に人(その子の家族)それぞれだと思います。
暮らし方とか、あげるご飯の内容や治療費のかけ方だって人それぞれですよね。
そして重要ですが、動物たちの権利、福祉を保つというのは獣医師の責務であると思います。
その上で、どのような愛情を注ぐかは飼い主さんたち次第です。
心臓病が分かった時に、薬で治療をするのか手術をするのか?
腫瘍が分かった時に、抗がん剤をするのか、それとも緩和ケアをするのか?
その子の治療の正解は飼い主さんしか知りません。
その正解を見つけ出すために、獣医師は動物とその家族のために最善のエビデンスに基づいて治療を選択肢を提案し、一緒に検討する必要があります。
獣医療の知識は獣医師が一番持っているはずですが、そのペットの情報については飼い主さんが一番持っているということを忘れてはいけません。
やはり、獣医師だけでも飼い主さんだけでも、より良い意思決定に至らないということがわかりますね。
医療では、SDMの実施は患者さんの治療満足度や理解度、アドヒアランスの向上、自身のQOLの評価などに関連があるとされてます。
獣医療ではSDMの実施があると、ペットロスの減少にも繋げれる可能性が言われてます。
ちなみに、SDMとInformed ConsentのPubMedの新規論分数の比較だと
SDMついてがガンガン増えてるのが分かります!
つまり、近年SDMの必要性、研究の重要性が増してるからだと思います。
Informed Consentの違い、SDMが広がっている背景、実施方法など
知ってもらいたいことは多いですが、今日はここまでにします。
SDMって言葉をまずは知ってもらえたら嬉しいです♪
参考:これから始める! シェアード・ディシジョンメイキング 新しい医療のコミュニケーション 中山健夫