なぜ医療コミュニケーションは難しいのか③〜医療の不確実性と外的要因〜
なぜ医療コミュニケーションが難しいのか、
第3回は、2点述べてみます。(今回でこのシリーズはひとまずおしまい予定)
1つめは、医療の不確実性です。
Medicine is science of uncertainty and an art of probability.(医学は不確実性の科学であり、確率のアート(技術)である)
William Oslerという有名なお医者さんの言葉もあります。
「医療の不確実性」ってどういうことかと言うと
例えば、ある物が欲しい時、お金を払えば手に入れることができます。これって、すごく当たり前のことですよね。
でも、医療って
この薬を飲めば絶対に病気が治ります。って言えますか?もしくは、この治療をすれば、あとどれくらい生きることができます。って言えますか?
また、医療行為(手術、治療など)を行っていくうえで時に、低い可能性で予測できない結果が起こりうることもあります。(Doctor-Xの大門未知子なら大丈夫かもですが)
これが、医療の不確実性というところです。
この不確実性を根本にコミニュケーションをとっているので、医療コミュニケーションは難しくなってます。
医療行為で100%のことはほぼないのかもしれません。(80%の確率で治療効果があります、10%の確率で副作用が起こります。みたいな感じ)
でも、患者さん(飼い主さん)は自分の治療や病気を基本的に0%か100%の内容でとらえることもあります。(ここは前回の病いと疾病の復習でもあります♪)
そして、この医療の不確実性はゼロにすることができません!
なので医療コミュニケーションで重要なのは信頼性とその限界を伝えることが必要です。
どういうことかというと、相手と予測される内容(メリット・デメリットなど)をEBM(信頼性)に乗っ取りしっかりコミュニケーションをとることで不確実性(限界)を減らし、相手の不安をできる限り減らすことができるでしょう。
もう一点は、外的な要因からも医療コミュニケーションは難しくなることがあります。
外的な要因とはどういうことかというと、患者さん(飼い主さん)の心理状態、身体的状態(体調が悪い時や、辛い病気を申告されて気持ちが滅入っている時)次第で、病気の説明をされても頭に入りにくいですよね。
あとは、医療システム自体の問題もあり、外来という時間制限がある中での診察だったり、がやがやした場所の制限があったりと
決して円滑なコミュニケーションが取りやすい環境ではない時もありますね。
でも逆に、患者さんとのコミュニケーションをとる環境は工夫するチャンスがあるかもですね。
重い内容の話をするときは、患者さんのプライバシーができるだけ守られて、落ち着いて話せる環境の方がいいです。
その他、90度法という相手と対面ではなく診察台を挟んで、90度の角度で話すとお互いにリラックスした雰囲気で話を進めやすくなります。
また、相手の細かな表情や態度を察しやすい位置のため、相手の本心が把握しやすくなります。
当たり前かもしれませんが、普段ずっと働いている病院だと客観視しにくいですので、一度患者さん(飼い主さん)の立場になってみて、この診察室の雰囲気ってどうなんだろう?って考えてみるのも面白いですよ。
こう考えると、医療コミュニケーションって日常のコミュニケーションと比べると色々と難しいことが多いですね。
でも、これらを知っていれば
より良いコミュニケーションをとるときのヒントになると思います!!
さぁ、大学院も半分くらいは終わりました。10月の日本ヘルスコミュニケーション学会で発表予定です。頑張るぞー♪