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手術するか、しないか

飼い主さんと
手術をするか、しないか、という決断をしなければいけないことって少なくないですね。

手術のメリット、デメリットを照らし合わせて考えるべきですが、そんな簡単に白黒ついたり、正解がなかなか出ないこともあるんじゃないでしょうか。

愛犬ルルは、現在16歳2ヵ月。
シュナの平均寿命は13.7歳と書いてあったので中々、長生きの方です。(2021アニコム白書)

16歳の誕生日

食いしん坊でお散歩が好きで、いつもぐんぐん歩いて行って、知らない犬を見つけると吠える若いころのルル。
僕が一人暮らしを始めてからは一緒には過ごしてないけど、
実家に帰ってくると、必ず玄関に迎えに来てくれました。
おばあちゃんになってきてからは、寝てる時間が増えて迎えには来てくれないけど、出かけるときはいつも玄関まできてくれるね。

ルルがいなかったら獣医師になってなかったかもと思ってます。

僕が獣医師になってから、ルルを2回手術をしました。
1回目は13歳の時に、卵巣子宮摘出手術。
(避妊手術に関しては、1歳までに行うべきだったと考えています。)
2回目は15歳5ヵ月の時に、乳腺癌切除手術。

先日、悩んだ末に3回目の手術を行いました。
その際に、ルルが教えてくれたことを書きます。

16歳2ヵ月の時に、脾臓摘出手術。(2022年4月20日)

4月16日
元気食欲はいつも通り
乳腺癌の転移がないかの定期チェック
胸部レントゲン問題なさそう!よかった!
あとは腹部エコー見るか、肝臓は大丈夫そう
脾臓は…、
見たらすぐわかる、やばそうなしこりがありました。

こんな感じのしこりが3.4か所


脾臓の腫瘍は病理検査しないと、良性か悪性がわからないことが多いですが
これは、明らかにやばそうだ。
心臓や肝臓など他の臓器に今見える明らかな転移はない。

脾臓のしこりは、良性であれ悪性であれ破裂するリスクがあります。
基本的には、外科切除が勧められますが、ルルは16歳さぁどうしようか。

脾臓摘出は比較的難しい手術には入らないですが、

16歳だし、もう手術はしなくていいかな。
それとも、手術しようかな。
手術しても、悪性ならきっと先は長くないだろうな。手術する意味あるかな。

いろいろグルングルン悩みました。

普段働いている時に、飼い主さんと一緒に考えるのとは違くて、自分の家族のルルにはどうしたらいいのだろう。

その日の夜、ずっと考えました。
決めました。

手術をすると

理由は、ルルは今日もご飯をもりもり食べていて、お散歩も行ってます。
もし、脾臓が破裂したらその日に亡くなってしまうかもしれません。
まだ大好きなご飯が食べれるうちに死んでしまったらかわいそうだな。
これが一番です。
そして、血液検査の結果も16歳にして、全身麻酔にstopがかからない数値、これもルルは手術を頑張ると言ってるのではなかろうかと思いました。

これは、もちろん僕のエゴかもしれません。16歳なのに手術してかわいそうって意見もあるかもしれません。
でも、家族がルルにとって一番いい選択は何だろうかと考えた結果でした。

オペをすると決めてからは、悩みが消えました。
やはり、僕は獣医師としても、家族としてもできる限りのことをするべきだったのかなと。

結局、動物の治療って正解が見つからないときは、正解を一緒に獣医師と飼い主さんで考える必要があります。

悩んだ時に、皆さんはどうしますか
動物たちはいつかは必ず、虹の橋に向かいます。

その時に、飼い主さんにとって後悔が全くないってことはきっと少ないでしょう。
悩んだときは、
どっちの方が後悔が少なくなりそうかを考えてみるのは、決断をするヒントになるかもしれません。

その子がいつか虹の橋に向かうとき
「手術をした方がよかったのかなぁ」
「手術しなければよかったのかなぁ」
どっちのほうが後悔が少なくなりそうですか?

未来のことは神様にしか分かりません。
考えても考えても、今探せる正解なんてなく、たどり着いた先がきっと正解になるんだと思います。

その時に、できる限り後悔が少なくなるような決断をするというのも、一つ選択肢を選ぶ手助けになるかもしれません。

ルルや動物たちが教えてくれることは、たくさんありますね。
長生きしてね、食いしん坊な元気なおばあちゃん。


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