いい獣医ってどんな獣医?~EBMとNBM~
このnoteを読むと`いい獣医`ってどんな獣医かわかるのかなって思ったあなた!
釣られましたね(笑)
ここに答えはありません。そんなこと、僕も知りたいです。
なので、一緒に考えましょう♪
でも、`いい獣医`になる手がかりの考え方をお話できたらいいなと思います。
まずはじめに、
`いい獣医`って、その人その人の価値観や立場によって違うんだろうなって思います。なので、正解はないです!!(ドンッ)
`獣医から見たいい獣医`と`飼い主から見たいい獣医`ってのも差があるんじゃないかなって気がします。
僕は獣医なので今回は、`獣医から見たいい獣医`を考えてみようと思います。(めちゃ可愛いシュナウザーの飼い主でもありますが)
どんな手術もできる獣医、薬や治療や検査の知識が豊富な獣医、動物の言葉がわかる獣医?とかもいるのかな。
きっとみんな`いい獣医`ですよね。
そんな、それぞれが考える`いい獣医`がいる中で、考えるヒントになるんじゃないかなと思う概念のお話をします。
それがEBM(Evidence-based Medicine)とNBM(Narrative Based Medicine)という概念です。
EBMって言葉はよく聞く言葉じゃないでしょうか?
でも、NBMってあんまり聞いたことのない人もいるんじゃないでしょうか?
(先日、あるFacebookの投稿でNBMってあまり有名じゃないんだなーって感じて、NBMって言葉を知ってくれる人が増えたらいいなって思って、この話をしようと思いました。)
EBMの考え方は、「良心的に、明確に、分別を持って、最新最良の医学知見を用いる臨床手法」とされています。
EBMはみんなイメージしやすいんじゃないかと思います。
NBMの考え方、「個々の患者が語る物語から病の背景を理解し,抱えている問題に対して全人格的なアプローチを試みようという臨床手法」とされています。
(NBMはきっちり定義が決まっているわけではないです。)
ちょっとむずかしいですね、噛み砕くと、、、
NBMのNはNarrative(物語)って意味で、その人その人によって最適な医療が異なることがあるから、その人の物語(人生、価値観など)を基に考えようねってことです。
(合ってるかはわからないけどたとえ話をしてみます)
つまり、ある病気というパズルを完成させる(治す)ために、
病気を治すピースを集めるのが得意なのはEBMだと思います。
そして、どのピースをはめるか選ぶのが得意なのがNBMだと思います。
(よくわからんイラスト作ってみたパート2)
獣医療の具体例で考えると
下痢が治らない16歳のにゃんこがいて、消化器型リンパ腫でした。
その時、そのにゃんこを治療する際に、
どの種類の抗がん剤(プロトコール)を使うか、ステロイド単剤で行くのか、外科手術をするのか、緩和ケアをするのか
これらの治療をすると、どのような結果になることが見込まれるかという知識全体や獣医師の経験などが得意なのがEBM
飼い主さんの、にゃんこへの価値観や倫理観、飼育状況や金銭状況、そして獣医やその動物病院で実施できる治療、その他たくさんの背景などが得意なのがNBM
だと思います。
そして重要なこととして、
EBMとNBMは相対する概念だと表現されることもあますが、
ぼくは「相互に補う関係」だと思います。
EBMもNBMもどっちかだけじゃ、`いい獣医`には届かないんじゃないかなって思います。
なので、EBMとNBMという2つの概念を知ることは`いい獣医`を考えるときに必要なんじゃないかなと思います。
もっと話たいことはたくさんありますが、長くならない程度にこのへんで。
気になる人はもっとディスカッションしましょう♪
NBMって言葉だけでも覚えて帰ってくださいね。(サンドイッチマン富澤風)