「理事会に○○してほしい」→ちゃんと伝わる意見書の出し方
自分の意思を反映できる「意見書」
マンションは生き物みたいなものです!(挨拶)
分譲時は売主が考えた設定(共用施設・設備等)とルール(管理規約・細則等)が備わっていますが、実際に居住してみると実情と合わないことが多々発生します。
そこで、管理会社等の有識者のアドバイスを基に理事会で検討を進め、最終的に総会で承認が得られることで運用変更されます。
この繰り返しで、与えられた設定やルールがマンションに馴染んでいくのです。
とはいえ、その運用変更が期待通り進まず悶々とすることもあれば、逆になんで「○○やめちゃったの」となることもあり得ます。
理事長時代に自らマンションの設定変更に少なからず担った経験を持つ私ですが、一方で理事役員ではないマンションにおいては意見書を用いてマンションに自分の意思を反映することが複数回ありました。
一般的には意見書で変えられることは少ないと思われがちですが、理事長時代に大量に受け取ってきた意見書(お気持ち表明)への対応経験を基に意見書の内容を工夫することで、理事会や管理者に対応頂けることもあるのです。
今回のnoteでは
「理事会に○○してもらいたい!」(「○○やめて」と置き換えてもOK)
「理事会が○○やめちゃった!」
の2つ題材から、意見書に取り入れていただきたいテクニックを少しだけお伝えできればと思います。
パターンA:理事会に○○してもらいたい!
A-①:それ、提案・要望ですか? 意見・苦情ですか?
今まで人よりも多めの「意見書」に向き合ってきた私なりに、(かなり強引ではありますが)「意見書」の性質を以下の4象限に分けてみました。
基本的に、意見書はその内容によって
・管理会社が一次対応しやすいテーマ(B、D)
・管理組合・理事会が個別に審議しなければならないテーマ(A、C)
に分けられます。
また、これらの意見書は、多くのマンションでは管理組合のポストに入れたとしても管理会社が一次確認して、管理会社が必要だと思われるものを理事会にエスカレーションすることが殆どです。
さて、上の図の見方に進めましょう。
例えば横軸「マナー・生活問題」なんかはどのマンションでも共通性が高いテーマで、管理会社が一次対応しやすい内容です。
どちらも共通しているのは「うるさい!何とかしてよ!」です。
しかし、前者の書き方だけであれば「注意喚起しました」までとなりますが、具体的に「○○時までの制限をかけて欲しい(=細則変更等の総会決議が必要)」という書き方であれば、管理会社は一次対応に加えて理事会役員への確認まで進むことが期待できます。
一方で、横軸「組織運営」はマンションの個別性が強いテーマとなり、管理会社が勝手に判断ができない領域(=理事会で判断)です。
重要なのは、縦軸(「提案・要望」「意見・苦情」)で扱いが異なることです。
私が見る限りにおいて、「意見書出したのに理事会が○○してくれない」という内容は「意見・苦情」に該当するケースも見受けられ、管理会社の一次対応or貴重なご意見サンクスとしても差し支えないものが多かったように記憶しております。
A-②:それ、人に読んでもらえる書き方ですか?
これはマナーに近いものですが、どんなに良い提案であっても書き方というものがあります。
書いててムカつきますね。私が前に理事長していた湾岸タワマンでは同じような書き方をする方がそれなりにいらっしゃって、感情を鎮める努力をしたものです。とにかく、ナチュラルに上から目線のお手紙になっていないか(というより、自分が受け取って不快にならないか)もう一度確認したほうが良いです。
このような意見書だったら、内容はともかくとして少しは目を通そうという気になりませんか?
理事会に理解を示しつつ提案を出すと、受け取り側の見方も変わってくるものです。
A-③:それ、あなたならできますか?
はい。これ重要です。
あなたが自分で旗を振る立場になったときに、対応できますか?
書き途中の共用施設の用途変更シリーズの内容で実際に受け取ったお手紙です。
これ、託児所が撤退するときに当時の理事会が頑張って探したのですが、結局入居してくれる事業者が見つからなかったという経緯があるんですよね。
要望・提案を含む意見書を出すのは結構ですが、あなたがやって実現できない内容は私がやってもできないので、検討することができないのです。
A-④:課題感は人それぞれ。最後は自分が理事になって手を回すことも必要
一例ですが、当時某タワマンで理事長をしていた私(当時独身)は以下の課題感を持っていました。
管理費(収入)よりも経費(支出)が大きく、単年度で1,000万円を超える巨額の赤字を計上しており、繰越金も今年末で枯渇してしまう。金がない。
長期修繕計画を見直したら2回目の大規模修繕ができないことが分かった。修繕積立金も手当てしなければならない。
例えばこのような状態で、以下のような意見書を受け取ったらどうでしょうか。
好爺さんからのお手紙については、タイミングとしては悪くないのは賛同できるところではありますが、金策に奔走している理事長にはその課題感は伝わりません。
また、子育てパパさんからのお手紙については、金策に奔走して時間が限られていることに加え、私自身が当時独身であったこともあり、旗を振る理由が限りなく小さい状況でした。
このように受け取る側の事情でも対応が変わることもあります。
お手紙を出してダメだったら、最後は自分が理事役員になって手を回すことも意識した上でお手紙を出された方が良いと思います。
【参考】受け取る側の課題感に合っていれば爆速で進むかも…
実はこの部分が私が意見書を出すときに最も意識している内容です。
上の例は、私が理事役員になれない(なれたとしても手遅れ)の状況での意見書提出でしたが、理事会(管理者)の課題感と同じような方向性を向いていたので進められた実例としてお示ししました。
受け取り側の理事会・管理者を理解することがいかに重要であるかが少しでも伝わればなと思います。
パターンB:理事会が○○やめちゃった!
B-①:やめた理由を確認しよう
継続的な取り組みが中断される時は、「やめることを主張した誰かがいた」という理由以外にも、「できない理由ができた」という可能性もあり得ます。
前者はわかりやすいのですが、後者の事例を一つご紹介します。
先のサツマイモ収穫祭の事例だと、事情を知らない方は「どうせ理事長が子育て経験ないから中断したんでしょ」とか思われがちです。
しかし、上記のように異なる事情の場合もありますので、まずは聞いていただいた方が良いかなと思います。
(「聞く」だけなら、意見書を出さずとも管理員さんに聞いてみても良いかもしれませんね)
B-②:「良いね!」と思った取り組みは、ちゃんと褒めよう!
みなさん、ちゃんと理事会をほめてますか?
それ、意見書に残してますか?
例えば、私は過去に住んでいたマンションにキッチンカーを誘致したことがあります。
上記の事例だと、太字の通り最初は反対の声が出てくる結果となりました。
この反対の声は、コンシェルジュ、防災センター職員、(私の顔をご存じの方は)私に直接感想という形で出てきたものの、幸いにして反対の意見書はありませんでした。
今振り返ってみると、定量評価が得られる前に反対の意見書が投函されるようなことになったら、私(推進役)以外の理事役員がどう判断したかは分からなかったなと思います。
なぜなら、賛成の意見書もなかったので、見方によっては私の独りよがりと捉えられてもおかしくはなかったからです。
以下は別のマンションで共用部分で物品販売を行ったら匿名掲示板が大荒れしたという話題に関連したやりとりですが、私のマンションでもいつこのような事態に至ってもおかしくはなかったなと振り返っています。
企画者としては「良いね!」の意見書が欲しいのです。
そうしないと孤立無援なんですよ…。
「あなたの感想ですよね」になってませんか?
最後に、意見書を出す上で大切なことを一つ。
どんなに良いことを書いても、こう思われたらオシマイ。
(もちろん、書いてあること自体が客観的にみるとこうなっていることもあり、その場合は救いようもありません…)
そうではないことを証明するアプローチとして、複数人連名で出す方法もあります。
以下は私が実際に受け取った意見書の書き出しです。
(上記画像のnoteは以下にリンクを貼っておきます)
区分所有者の連名。
私が受け取った意見書でも、このパワーを超えるものは損害賠償請求のお手紙(げふんげふん)ほとんどありません。
「○○してもらいたい」にせよ「○○やめないで」にせよ自分が理事役員になって手を回すことが最短ルートなのですが、どうにもならないときには意見書をうまく使って頂ければなと思います。