【感想】慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団 第145回定期演奏会

こんにちは。オタクです。
昨年12月に後輩の演奏会を聴きに行きました。
後輩たちにとって2020年の初演奏であり、最後の演奏でもあったので、
ぜひ現地で見たいという思いがあり、決心しいざ東京へ。
結論、直接聞きに行けてとてもよかったです。
実はTwitterでもつぶやいてはいたのですが、
自動でつぶやきが消えてしまうことに気づきました(遅い)
後々にも残しておきたいなと思いまして、
今回はその感想を垂れ流していきたいと思います。
※時間が経っちゃってるので、ざっくりとした感想のみです。。。

各ステージの感想

1.塾歌

その年の演奏会のクオリティの半分くらいを決めるといっても
過言ではないエール。
これ、しょっぱなから四声で始まるの結構難しいんだよね。
出だしのi母音はやや硬めに入った(特にテノール)けど、
すぐに立て直していてとてもよかった。
(i母音は攻撃的にどうしてもなってしまうので、
 まあしょうがない気がする)
去年も思ったけど、四声のバランスがいいなあと思いました。
…僕らの学年が反面教師になっていませんか?(笑)

2.『トスティ歌曲集』より

4ステージの中で、一番好みでした。
言わずもがなですが、ソリストが上手。
かなりも、城台も、ラマンチャより格段にうまくなっていた。

かなり天性の歌いまわしが元々あり、
2年前の早慶合同演奏会でも柳河のソロを歌い上げてたけど、
いっぱいいっぱいな印象はあったんだよね。
それが、昨年のラマンチャによってより自由に歌いまわせるようになり、
今回の歌曲の発声にも活かせていた
んじゃないかなあ。

城台は、昨年よりフレーズで歌えていた気がする。
元々持っている楽器の良さ、ポテンシャルだけで歌うのではなく、
音楽知ってる人間が歌う、素晴らしいソロ
でした。
ちなむと、クラオタで知られる142代のH岡さんも褒めてました。
「あんな子、145にいたっけ?めちゃうまいね!」
いや、最初からいました、代かぶってるんで忘れないで、、(笑)

又、ソリストだけではなく、各パートの声が力強く、
楽曲に説得力を十二分に与えていたんだと思います。
各パートの実力が拮抗してるからこそ、
今回の名演が生まれたんじゃないでしょうか?
(特に内声がうまかったです)

3.男声合唱組曲『わがふるき日のうた』

第2ステージは学生ステージ。
甃のうえ、鐘なりぬは自分自身も歌ったことがあり、
学生時代のことを思い出し、いろいろエモかったです。
楽曲の話をすると、ソリストの菅沼、香山共に
フレーズを滑らかに歌えていてすごいと思いました。

Enfance finie のソロ、木下牧子の世界観とは異なる中で、
菅沼が自分の腹に落とし込んで歌っているのが見えました。
今までは自分の中で持ちすぎていて不自由な歌い方をすることも
多々あったように思いますが、あの時のソロは、
そのバランスの中で、楽曲と「対話」している姿が見えました。

楽曲と対話する菅沼に対して、
香山の「雪はふる」のソロは憑依型で、
彼の中に三好達治が見えました。
「海にもゆかな 野にゆかな かへるべもなき身となりぬ」
三好達治の諦観の表情が香山を通して、
はっきりと映り込んだ
ような、素晴らしい歌声でした。

曲全体としては、1ステと音色・声色が全然違っていて、
同じ合唱団が歌っているようには思えませんでした。
タダタケはベース系がしっかりしているとやっぱり映えますね。
ベースラインがテーマを引っ張ることの多い、多田武彦作品で
しっかりとフレーズとして歌い切れていたと思います。

4.男声合唱とピアノのための『5つのジュエル』(組曲初演)

本来、六連で演奏するはずだった楽曲。
2月の合宿で宮本先生の仕込みがあったとはいえ、
計37人で作り上げたとは思えないクオリティでした。
特に大変だったと思うのは学生指揮者。
インタミがあったとはいえ、2ステージ連続で振るため、
前のステージとの違いを出せるかが一つのポイントだったけど、
それが出ていたと思います。
きらびやかで若々しい、3ステらしい良い演奏でした。
特にトップがきらびやかで上手でした!(手前味噌)

このステージはピアニストの和田のセンスが光っていたと思う。
かなり菊地も助けられたんじゃないかなって感じました。
とはいえ、おんぶにだっこではなく、自発的なタクト裁きと
歌声
で、これを機にいろんな合唱団が歌ってくれるといいな。。。

5.男声合唱組曲『青いメッセージ』

言わずと知れた高嶋みどりさんの代表作。
かつて、VVの演奏会で演奏を丸々聴いていたため、
明確な「ものさし」をもってこの曲は聴いていました。
全体の感想ですが、
やはりワグネルの丹念な発声練習に裏打ちされた演奏だなと。

もちろん、発声がすべてではありませんが、
根幹の一つであることには変わりありません。
歌を歌う人間にとって、声は楽器。
声楽の良いところは、ほかのジャンルと異なり、
楽器自体を自らの努力で幾らでもアップグレードできます。
その為、楽器をさらに良いものにする作業は怠ってはいけません。
(もちろん、良い楽器を持っていても、演奏者が未熟であれば
 良さは半減してしまいますが)
ワグネルはそれができている。お世辞抜きに、
プロアマ含めた合唱団の中でも最上位に位置すると思います。
言い過ぎかもしれない、、、、

そんな環境にいるからこそだと思いますが、
今回の演奏のすごいところを列挙すると、
①トップが4ステージ目にして息切れしていない
 あれだけ1ステージ目でパワフルに歌い上げ、
 2ステ、3ステを乗り越えて4ステがあるのに、
 疲弊している感じが見られない。
 これは、パトリの南が中心になって頑張ったおかげかも。
 当の本人である南も、癖のある声がなくなり、
 自然に歌えていたからとてもよかった。
弱声の集中力の高さ
 少なくとも、僕らの学年じゃできない、、、
 加えてファルセットもうまかったです。
リズムに乗れている演奏をしていた
 特に、終曲のリズミカルな部分は圧巻でした。
 発声への自信が彼らを自由にさせていました。

アンコールとストーム

佐藤先生は珍しく黒人霊歌からチョイス。
どの言葉を歌っても上手ですよね、、、、
今年は特に指揮者への食いつきがとてもよく、
生き物のように音楽が進んでいて心地よかった
です。

学生アンコールは、現代の宗教曲から一曲。
何年か前に関学が四連でやったのを思い出した。
関学版は2人でソロをやってたような気がするが、
今回は2年の三輪が一人で歌い切った。
ロングトーンからの転調はアツい。
バックもアツくなりすぎてめちゃくちゃ早くなっていたが、
まあ7拍子だし、前に前に音楽が進むのはしょうがないよね(笑)

ストームはいつもの安定感。
丘の上での指揮者交代で、いよいよ知ってる学年が146代のみに。
時の流れは速いですね。
コロナの関係もあり、肩は組まずに歌いましたが、エモかった。。
ただ、ボタンをはずしているのが南と上林のみだったので、
来年以降ボタンの外し忘れが多くならないことを祈っています。。

最後に

私は彼らの演奏に魅了されていました。
あの演奏会はあの日一回限り。
あの一回に魂を燃やすからこそ煌びやかで眩しい。
あの眩しさに私は目を、心を、やられてしまいました。
完敗です。。。。。

それと、今回はプログラムの「生の声」がとても印象的でした。
佐藤先生からは
「145回のワグネルの音を残せる!!」
「過去の演奏という呪縛めいたものをリスペクトはしながらも、
 今いるこのメンバーと最高の音を鳴らしたい」
卒団生の一人である木暮からは
「145代は定期演奏会だけでかわいそうと思われるでしょうが、
 私はこのメンバーと最後に並んで丘の上を歌えることが幸せです
などなど、心揺さぶる生の声がズドンとのしかかってきて、
今でも反芻しながら生きています。

そういう意味でも、今回の演奏会は忘れられない、
かけがえのないものになったと思います。
行けてよかった。ありがとうございました。
また来年、彼らの演奏が聴けることを願って。

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