"目が見えない人"(2011.11.16の日記)
深夜、店番をしている時のこと。
朝の3時ぐらいだったと思う、明らかに挙動不審なおっさんが入ってきた。
みすぼらしい洗っているのか洗ってないのかわからない格好、黒い傘と茶色のカバンで不器用な千鳥足だか力強く店内に入ってきた。
突然大声で、”ちょっと五分ぐらい立読みさせてもらうわなあ”と僕も了承した。
おっさんは60才は行っているだろう、白髪の短髪で眼光鋭く見た目だけでも気が強いことはわかった、片目が斜視なのを除いては。
その数分後におっさんが話しかけてきた。
“こっから天下茶屋いくんはどうしたらええんや?警察に聞いたら近いらしいが?”(ちなみに僕がいる店は南森町)
僕は “えー、全然近くないですよ、遠いですよ”と答えたらおっさんは切れて怒鳴り始めた。
おそらく警察は地下鉄経由での行先を教えたのだろうが当然こんな時間なので地下鉄はない。何よりもおっさんは歩いていける距離だと思っているのだ。
“俺の片目見てみろ!変やろ?見えへんのじゃ!障害者なんじゃ!馬鹿にすんなよ!ちゃんと歩かれへんのじゃ!クソボケが!”
僕は何も言い返さずただ聞き流した。というかただ虚しくなって早く出て行ってくれと思った。しばらくしておっさんは同じことを繰り返しながら出ていった。
おっさんはホームレスだろう、なんで片目が見えなくなったなんて知らないし僕には興味のないことだ。どんな人生を送ってきたのかそれも僕には関係ないことだ。
母が今月末に白内障の手術をする。一週間ぐらい入院するので僕は実家に帰らなければならない。全然慣れてない猫の世話をしなければいけない。
目が見えなくなるというのはどういう気持ちなんだろうか。そればかり考えながら仕事をしていたらいつのまにか朝が来てその光が眩しかった。