"降霊" (2006.10.6の日記)
"降霊" (2006.10.6の日記)
中2の頃だったか、友達とその弟と一緒に降霊会を見学したことがある。
オカルト雑誌ムーにベタ記事で新大阪のある会館の一室でなんとか心霊会という団体が降霊会を開催するという告知が書かれていた。
84年か85年ぐらいの頃でちょうどうしろの百太郎が復刊されたりして二度目のブームが訪れていた。
僕は藤子不二雄、友達は赤塚不二夫の大ファンだったので必然的にトキワ荘関連の漫画家全ての作品を読むことになりもちろんつのだじろうのファンにもそれぞれなった。
その中でも恐怖新聞やうしろの百太郎が好きになりそこで描かれたエクトプラズムというものの存在に驚愕した。
エクトプラズムというのは霊媒師が降霊会の時にトランス状態になり口から吐き出す謎の物体のことだ。その物体に霊魂が乗り移りその姿かたちになり会話もするという。
エクトプラズムってどんなもんやろ?
怖かったが友達も僕もエクトプラズムを実際に見たくなった。
で、その降霊会のお知らせを見た時もしかしたらエクトプラズムを見れるんじゃないかと。新大阪は自転車で全然行ける距離だ。
それは日曜だったと思うがその日を心待ちにした。
当日昼間ぐらいに出かけ道に少し迷いながらも開催地に何とか着けた。
少し大きめの会場で人もいっぱいだったが僕らを含めた子供の姿はほとんど見当たらなかった。
そして降霊会の時間がやってくる。
会場の前には椅子が二つ置かれ、向かって左側の椅子には中年のおばさん、右側の椅子には中年の男性が座った。
やがて司会者が現れ、今から霊媒師(右側の椅子の男性)が中年のおばさんに霊を降ろして会話をすると説明した。
いよいよエクトプラズムを見れるか?と期待した。
しかしそれは期待はずれだった。
そのおばさんの口からエクトプラズムなんか出ず、そのおばさんのお父さんの霊が降りてきて普通に会話するといういわゆるイタコの口寄せみたいなものだったのだ。
当然僕らはがっかりし、口々にあれインチキやなと言いあった。あまりにもがっかりしたせいか帰り道のことはまったく覚えてない。
その数日後、友達が家の中で写真を撮ったら変なものが写ったと言った。
放課後、写真を見せてもらいにそいつの家に行った、すごく怖かったけど。
部屋の真ん中におばさんみたいな人の顔だけが写っていた。
意外にも友達の弟はほとんど怖がらなかったが僕らは夕方にもかかわらずトイレに行くにも怖がった。お祓いしたほうがいいのかなって。
友達には言わなかったけどその写真の顔、あの降霊会のおばさんの顔にすごく似ていた。