合宿人インタビュー#4 藤澤恵太さん アドリブで地域をイベントに巻き込んでいく壱岐島共創合宿
こんにちは、合宿人(がっしゅくじん)です!
「すべてのチームに最高の合宿体験を!」というビジョンに向けて、合宿を起点に変容を遂げながら歩みつづける「合宿人」達のストーリーをお届けします。
第3回目の今回は、プロモデレーター、プロコーチ、落語家と多方面で活躍し、場と人を盛り上げる達人、"さしみ"こと、藤澤恵太さんへのインタビューです。
想像してみて下さい。
遠く離れた土地からイベント開催に訪れたエンターテイメント集団。
彼らのイベント舞台に宿泊先のスタッフが登壇し、ものまねをして拍手喝采を浴びている姿を。
彼らが地元の運営担当の人と本気でぶつかりあって口論をしている姿を。
そして、帰りの空港に彼らを運ぶのは地元の方の自家用車。
さしみさんチームが立ち上げたHANASHI & Co主催、長崎県壱岐島でのアートフェスティバル。
このイベント合宿で何が起こり、共創されたのか。なぜそれが起きたのか。
だれもが予想をしていなかった展開をみせたイベント合宿のストーリーをお楽しみください。
Co-creation(共創)する話し家集団、HANASHI & Coのイベント合宿コンセプト
今回のアートイベントは、壱岐出身のメンバーと2月に壱岐旅行へ一緒に行った際に仲良くなった地元の方と「イベントやれたらいいね!」と話したことがきっかけとなり、開催されました。
コンセプトは、“出演者をごちゃ混ぜにしてCo-creatonしよう!”。
落語+ギター演奏など、ジャンルを超えたエンターテイメント。
これだけでも新しい斬新さを感じますが、HANASHI & Coの共創はさらに上を行きます。
地域の方も出演者に!
彼らが滞在をしていたみなとやゲストハウス。
その従業員の女性が「地元の人のものまね」で舞台出演を果たすなど、
よくある「地方興行」とは全く毛色の異なるイベントが開催されました。
外から持ち込んだネタだけではなく地域の方と地元ネタをまるっと練り込んだ舞台が話題となり、アートフェスティバルは大盛況。
この盛り上がり熱から、期間中FM壱岐に生出演をすることになるという驚きの展開も(!)
それだけではありません。
地元の有志の方から太っ腹なスポンサー料の提供があったり、
「いいよいいよ!泊まっていきな!」と、なんと無料で迎え入れてくれる宿泊先があったり。
現地に行きながら地域の方と一緒にCo-creationをしていく流れが、こうして誰も想像がつかない展開を毎日繰り広げていきました。
何が起きるかわからない、最終日に設定した「余白」
最終日のライブ会場については会場は決まっておらず、公演内容だけを決めていたそう。
これってすごいことですよね。
ひとりでふらっと旅に出て、当日宿を探すということはあるかもしれませんが、イベントという目線でみるとある種「ありえない」発想に思えます。
このような流れの中、最終日はどうなったかというと最終日は地元レストランを会場として借りることに。
しかしながら、会場はレストラン。落語をするための高座ももちろんありません。
その中で生まれたのは「スタンディング落語」という新しいスタイルの落語!
「これは制約から生まれたイノベーションでしたね(笑)落語は座らないといけないっていう思い込みからの解放でした」
設備がととのった会場からは決して生まれることがなかった新しいスタイルの落語。
実はこの「余白」。合宿でもとても大切なことなんです。
せっかく良いテーマをかかげて合宿にのぞんでも、完璧に日程を組んでそれをこなすことに集中してしまうと「スケジュール通りに進めなければいけない」という気持ちが先行して、合宿という貴重な場を活用することが難しくなってしまうことがあります。
予定不調和大歓迎で、予想外のことが起きたときにチームでそれをどう乗り越えるか?ということも「共創体験」のひとつ。
あえて決めない余白を設定しておくことから生まれる何か。
これをまさに体現したエピソードですね。
本気のぶつかり合いで仲間になった瞬間
地域の方との共創で起きた嬉しく楽しいイベント、アートフェスティバルでしたが、皆が笑顔で5日間ほのぼのとイベント共創をしていたわけではありませんでした。
イベント開催中、出演メンバーと地域の運営の方の間で摩擦が起きて緊張が走った瞬間も。
出演メンバーにとっては、観客からお金をいただいている「プロとしての舞台」。
地域の方と共創をするといっても、馴れ合いで中途半端なイベントを行うわけにいかない。
地域の運営スタッフの方も、イベントを盛り上げようと慣れないながらも初の試みに必死に取り組んでいました。
お互いに「お客様に対して最高のパフォーマンスで盛り上げたい!」というゴールを共にしていても、意見や思いがすれ違うことはチームや組織の中でも起きることですよね。
ただ訪れて楽しい経験をするというだけではなく、開催側が本気でイベントに挑んだからこそ地域の方にもそれが伝わり、お互いの本気を引き出した。
そして本気のぶつかり合いがあったからこそ全員が仲間となり、固い絆で結ばれていきました。
ひとことで「共創をする」と言っても、チームで本気で共創する、成し遂げるという目的においてはこのような衝突や摩擦も必要なプロセスなのかもしれません。
この「衝突プロセス」ももちろん誰も予想していなかったことですが、「仲間同士の絆」というさらに上をいく大切な何かが築き上げたれた瞬間ですね。
さしみさんのこれからの合宿ビジョン
今回の革新的な壱岐イベント合宿を経て、さしみさんが今後実施していきたい合宿について伺いました。
「今回の壱岐でのアートフェスティバルのような形のイベントをさまざなな地域で開催したいですね。1週間くらい期間を設けて。
参加については、全員が全日程参加する必要はなくて、それぞれタイミングはバラバラでいいんですよね。
今回の壱岐も全員が全日程参加したわけじゃななかったんですよ。だから期間中現地で会うことがなかったメンバーもいたり。
とにかく、行って、向こうで作り上げていく。
僕ら5人くらいのチームでイベント開催をして、地域の方と仲間になって30人で帰ってくるようなイメージでやっていきたいですね(笑)」
それぞれのメンバーがそれぞれのタイミングで参加するというスタイルは調整もしやすく、実施のスピード感が得られて日程調整がうまくいかずに計画倒れになるということを回避するポイントになります。
合宿も場所とテーマを決めて1週間期間をとってそれぞれがそれぞれのタイミングで参加する形で実施してみるのもひとつのアイデアであり、おもしろくて新しい合宿のカタチかもしれません。
一緒に楽しむこと。それも地域とつながること。
地域とつながる。
よく耳にするワードのように思えます。
では、みなさんはどのようなことが「地域とつながる」だとイメージしますか?
地域のお困りごとを一緒に解決する、
地域活性化のために移住者になる、
ふるさと納税を納める。
様々なつながりかたがありますよね。
今回のさしみさんの壱岐島での合宿ストーリーは、「限られた滞在時間のなかで地域と一緒に楽しみ、共創する」という”地域との新たなつながり方”が体現されていたように感じませんか。
これは、エンターテイナーならではの地域共創のかたちであって、特別な事例だと感じるかたもおられるかもしれません。
でも、どんな人でも「地域と一緒に楽しむ」ことはできるんです。
たとえイベントを開催しなくても、訪れた先の地域の方とコミュニケーションを取るなかで、
「この時間を一緒に楽しむには?」という目線をもつだけで、関わり方が変わってくるのではないでしょうか。
日常から切り離されたゆたかな環境と、その土地に迎えいれて下さったお礼に、「また帰ってきてね!」と感じてもらえる体験を共創する。
ぜひまざまな地域に訪れる際に、このマインドを片隅に置いて合宿をしてみて下さい。
合宿をする側も、地域のかたも、どちらも想像しなかった「最高!」のつながりを実感できるかもしれません。
ではでは、また次回の合宿人ストーリーでお会いしましょう♪