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【マッチング対策】病院見学前に知っておきたいこと・注意点


初期研修を選ぶ上で必要なマッチング。

マッチング対策は病院見学から始まります。
医学生は見学を通じて実際どんな感じなのかを確かめるのと同時に、病院側にとっても採点・評価の一部になります。

マッチング対策本、レジナビなどの対策サイトの情報も重要ですが、実際に見学してみて分かることも多いです。

どうしてもマッチング対策サイトはスポンサーが絡んでいて、イイ感じに言いがちで悪いことは隠されがち。
また、初期研修医が出てくるセミナーでも実際のことを表では言ってくれないこともあります。


そこで、筆者が実際に病院見学に行くことで分かった、
病院見学のテクニックや病院見学で注意しておくべきこと
を8項目まとめてみました。

マッチングセミナーのような「どこか大事なところを隠している」感じではなく、実際の生身の体験談を紹介しています。
ぜひ参考にしてみてください。

マッチングにおいて病院見学は重要な採点項目。
医学生にとっても見学は病院へのアピールとして重要です。
全員に公開すると、差をつけたい方のメリットにならないので有料にしています。

マッチングで第一志望に行けるかどうかは医師人生のスタートとして超重要。
有料ですが人生が変わる可能性のある情報をお届けします。


*当記事は有料ですが、半分以上を無料公開しています。
当記事を気に入っていただけた場合、続きを購入いただけますと幸いです。




①「〇〇件数日本一・地域トップクラス!」の宣伝には注意

  • 救急受け入れ件数トップクラス!

  • カテ件数地域No1

みたいな宣伝見ることありますよね。
あくまでこれは統計上の数値であり『操作』されていることもあるようです。


例えば、筆者が聞いた千葉県のとある病院の話。

『カテ件数地域No1』と宣伝しつつも、実は術者がインセンティブをもらっているそうです。
カテをやればやるだけ術者は儲かるため、適応グレーでもやってしまうことが多いそう。

その結果、件数はどんどん多くなり、病院の評判にも箔が付いてさらに患者さんが集まってくるという『裏』があるそうです。

もちろん、件数が多くなれば研修医が対応できる案件も増えるかもしれません。

ただし、雑用を行うのも研修医の役割。
また、研修医は件数が多くなってもインセンティブは入らず、せいぜい残業代程度。


  • ○〇科に行きたいから〇〇の手技が多いところがいい!

  • 〇〇のオペが多いところがいい!

という選択も悪くないですが『裏の操作』がありうることも知っておきましょう。


操作を見抜く対策はその病院に近い大学病院で噂を聞くこと。
近隣地域の支配医局では「あの病院は裏側でヤバい」みたいな噂が流れていることもあります。
知り合いの医学生を通じて話を聞いてみたり、大学病院の見学に行くのも一つの手です。



②研修でどれだけ成長できるか知りたいなら〇〇に聞く(☓研修医☓上級医☓研修センターの人)

先に結論をお伝えすると、研修医の成長度を知る上で話を聞いたほうがいいのは看護師さんです。
特にNP(Nurse Practitioner)とよばれる診療看護師がおすすめ


詳しい理由を説明する前に「なぜ研修医や上級医の人に聞いてはダメか?」を解説します。

まず、研修医の方はしょせんその施設でしか研修をしていません。
あくまで他の研修施設との実体験として比較している訳ではないため、あまりアテにしないほうがいいです。

もちろん、何度も初期研修プログラムを繰り返している人がいるなら別ですが…

次に上級医の場合は、たしかに複数病院での研修医の様子を見ています。

ただし、上級医も病院側の人間。研修医の悪い部分を大っぴらには言ってくれません。
しかも可愛い後輩たちのことはよく言いがち。

特に、初期研修を行った施設にそのまま残っている上級医は初期研修医のことをよく言います。

研修センターの人も、研修制度を悪くいうはずもないですよね。
多少のデメリットを紹介するにせよ、メリット多めになります。


それに対し、今回の注目は看護師さんです。
特にベテランナース・中堅ナースの方に聞くのがおすすめ。

ナースはキャリアとして1つの病院に長く留まることは少なく、転職が比較的多いです。
そのため、他の病院と比べた研修医の様子・臨床のレベルを冷静に分析しています。

さらにナースの方は初期研修医の募集に関わらないため、奇譚のない意見を教えてくれることも。

  • この病院の研修医は使える

  • ここの研修医は知識あるけど、あまり使えない

などなど、正直な感想を教えてくれることが多いです。


また、医師としての成長も看護師さんの方が客観的に分析できていたりします。

たとえばとあるハイパー病院Aに行ったときの話。
看護師さんいわく、A病院に行った研修医はしっかり経験をつめて他の病院と比較してもレベルは高い。しかし、忙しすぎて3年目以降のキャリアを考える時間がないとのこと…

3年目以降どうするか見学に行く暇もなく、その病院にダラダラと残ってしまい、初期研修ではレベル高かったけど最終的にそれでいいの?
という状況になることもあるそうです…
しかも少なくなくて、ちょっと多め…

元から3年目以降を考えていて、最初の2年はハイパーで働くという考えならいいです。
ただし、初期研修をとりあえず決めてから初期研修中に3年目以降を決めようという考え(大多数はそんな感じだと思います)だと忙しくて将来的にマイナスになってしまうことも…

2年目の夏には就職が決まった人とギリギリまで焦ってしまう人に分かれてしまい、せっかく2年で実力つけても3年目以降の実力差が開くことがその時点で決まってしまう。

市中のハイパー病院に行くならちゃんと将来のことも考えておいた方がいいよとのことでした。


この病院では『研修医としてしっかり経験を積める』というメリットは間違いない一方、それ以降のキャリアに最大限に活かせない…
というセミナーでは絶対に聞けない情報を看護師さんに教えてもらえたりします。

研修医の先生や上級医の方は絶対に「この辺の事情を知らない」or「客観的に分析できていな」いので、看護師さんの話を聞いてみるのがおすすめ!

特に男性看護師さんは気さくに話してくれる人が多い印象です。


もう一つおすすめなのはNP(Nurse Practitioner)さんに聞くこと。
NPさんは『診療看護師』と言われるだけあり、一部の医療行為を主体的に行えます。
日本ではまだ少ないですが、一部の病院では回診についていったり、救急で働いていることが比較的多いです。

通常の看護師さん以上に医師の役割を観察しているので、そのような人に聞いてみるのもおすすめですよ!



③グループ病院は考えもの

『⚪︎⚪︎会』や『〇〇字』などのグループ病院はちゃんと考えてから研修先として選びましょう。
グループ病院の特徴は「入るのは簡単だけど、グループ外に出るのは難しい」こともあること。

初期研修が終わったタイミングで出るのは比較的簡単ですが、ダラダラ残ってしまうとグループ外に出ることが難しくなるそうです。

(グループ病院での3年目以降は初期研修医の指導や自分も専門医を取ったり、職員の中では下っ端として雑用があったりと急に忙しくなります。

そうすると、将来のことを考える暇がなくなり、さらにダラダラと同じ病院に残ってしまうことも多いそう…)

同じ病院に残ると、その病院独自のやり方が染み付いてしまい、いつかは別のキャリアに行ってみたいと思っていた人もその気がなくなってしまう…というパターンも多いようです。


さらに、注意点はグループ病院は過ごしていて心地よいこと。

グループ病院は同じグループ内で研修した人が残っていることが多く、自分の立場を理解してくれます。

  • 『この病院の上級医は優しい』

  • 『ここの人たちは自分のことを分かってくれる』


さらに、グループ病院は経営が安定しやすく、給料や福利厚生も他病院より優れていて「あえて外の病院に出る」ことが行いにくくなります。

他にもドコモで有名なNT○病院や麻生太郎さんで有名な麻生グループの飯○病院など、企業系や財閥系の病院も同じように福利厚生がいいことが多いようです。

(初期研修医のうちからその恩恵を受けられるかどうかは別ですが…)

ただし、長期的な目線でみると必ずしも優れていないことも。

同じ病院にずっと勤めれば給料や役職も上がっていきますが、せいぜい部長クラスが限界。

それ以上の役職は他の病院から優秀な人を連れてくることが多いそうで、グループに残っても天井があるのが大多数のパターン。

心地よく残っていたら、最終的に天井にぶつかり、ベテラン年齢になったときには他の同級生より低い役職・給料になってしまう…
というのが『あるある』だそうです。


もちろんキャリアに正解はなく、同じ病院に残ることも悪い選択肢ではありません。
ただし、今は急速に変化が起きる時代。
新型コロナウイルスのように医療業界が急変する可能性も高いでしょう。

そんな時代で柔軟性の低い病院に初期研修から入職するのは少し考え物かもしれません。

3年目以降のことを考えておかないと、初期研修が終わってからもそのままズルズルしてしまいかねませんよ。



④給料は絶対に聞こう。細かく聞こう

筆者がとある病院に見学に行ったときの話。
説明会では「残業代込で750万」と言っていたのに、実際は「1000万を超えるよ」と研修医に教えてもらえた病院がありました。

給料高いならいいじゃん?と思うかもしれませんが、よくよく聞いてみたらその理由は残業が多いから。

残業代を5000~10000円と考えても…

それだけの時間の残業が追加されるということです。


最近は働き方改革などが進んでいることもあり、給与体系や残業時間が毎年のように変わっています。

最新情報は見学の際でしか聞くことができません。



⑤専門病院を見学するのもおすすめ

がん研や循環器センター、感染症センターなどの専門病院を見学するのも将来を考える上、初期研修病院を考える上で役立ちます。

専門病院は初期研修を募集しておらず意味がないのでは?と思うかも知れません。

逆に初期研修がないからこそ、さまざまな初期研修病院の情報が集まります。

専門病院というレベルの高い環境にどのような初期研修病院から人が集まるのか、各初期研修病院でどのレベルまで成長できるのかを実感できます。

また、専門性の高い進路を選んだ人がどのように考えていたのか、3年目以降のキャリアを考える上でも役に立ちますよ。



⑥コネは確実にある

これはどうしようもないかもしれませんが、マッチングへのコネの影響は確実にあります。

病院側としては『まともでいい人を取りたい』という思いはあるのですが、
それ以上に『絶対に地雷を引きたくない』という思いの方が強いです。

ただし、見学の数日間・数時間で見学生の本性を見抜くのは不可能。
面接試験を行っても化けの皮をかぶっているのは予想済みです。

そうなると、頼りになるのは在籍している初期研修医からの情報。
出身大学の後輩や知り合い情報は確実に伝わっています。

病院説明会で「コネは関係ありません」と言っていても少なからずコネはあると思ったほうがいいです。

逆に言えば、出身大学の先輩や知り合いのいる病院はマッチングで有利になれます。
マッチング先で迷っている場合は、コネのある病院を優先するのも選択肢になるでしょう。



⑦病院見学にベストな時期

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