朧の森に棲む鬼 感想メモ
観たまま感想の乱書き置き場です。ほぼ自分用。話の筋など追っていない。
2024年11月30日 初日 昼の部(ライ:松本幸四郎)
待ちに待った朧初日の幸四郎さんライの回。天気は快晴気温もほどよく冷えて良い感じ。演舞場入り口前には『満員御礼』の札が出ており嬉しく拝見。(完売、というより、何割か以上埋まれば出していいらしいねアレ)
開幕早々洋楽器の音楽に竹本が入ってきて一瞬つんのめる気持ちになったのだけど、夜の部の頃には慣れていた。意外と馴染むのが早かった。
新感線版の色を残しつつ、しっかり新作用に作られている劇中音楽が懐かしくも新鮮で、この辺はさすが巧いよねえ…。
以下、脈絡もなく。
序幕の朧の舞で時蔵さんオボロヒがさすがに巧ェと思った、手の角度手首の角度、振り返る様のしな、動きの緩急が全然、ちがう。美しい。
序盤でキンタが持ってる刀、多分落ち武者狩りとか死体あさりで手に入れた刀なんだろうと思わせるアンバランスな長さと不自然さがあるのいい。話が進むに従ってちゃんと腰に馴染んでくる。
ラジョウの酒場の女めっちゃすき、どなた!?
→フエ(菊三呂さん)でした!
宗之助さんのアラドウジもいいー。
あれ初演で誰だっけなあ「ツナ様を襲わせたのはネー?」みたいなおちゃらけがかつてあった気が…
→川原さんだった!
千壽さんのオクマすごくいい、さとみさんかとおもった! もっとはっちゃけていい!!
しかしあのオクマは…さとみさんにしかできないと思ってたけど千壽さんすっげえな。
染くんシュテンが襲われかけっ…うああそこそのまま行くんだありがとうございます(←)
幸四郎さん長髪ありがとうございます!!黒髪ストレートありがとうございます!!!
序幕の若さ満々染さん時代かな?てくらいから老いて死人の顔色になっていくのすごいよい、白鸚さんみある。それはそれとして白鸚さんの顔色が最近あまりよろしくないときがあるのは気になるところではある。
血人形の契りの場、キンタの血を使ったのをわかりやすくすることによって、後半で血人形の契り真実が明かされる際にキンタへの、多分ライとしては無自覚な想いがわかりやすくなっている。たまらん。
時蔵さんツナがルールーだ。着物にベルトめちゃいいぞ。
紫がワンポイントでめちゃルールー。花道でひとりごちたり今は無き恋人(旦那)への未練に独白するのめちゃルールー。
新悟ちゃんの進化がすごいたーのーしーみー
聖子さんの破天荒シキブをよくぞまああそこまで。
「そういうところ大嫌い」は「だいっきらい」のイントネーションだけど「だあいっきらい」にしてもっとねっとり感あると嬉しいけど別の方向でもいい、頑張ってほしい。期待値が上がってしまった。
シュテンは正直言うと新感線版ではそれほど魅せられなかったので染くんでよかった。(思い入れがあると期待しすぎてしまうので)
折角なので新しく思い入れを作りたい。初日の時点では「頑張ってるな!いいじゃん!」くらいの感想。
彌十郎さんのイチノオオキミはさすがだけどなんかもうちょっと…こう…ゆったり感と大きさが欲しいなあ。
暗愚詐欺みたいなことしてほしい。求めている物がずれている自覚はある。
けんけんキンタ、求められてるものがめっちゃ高いところにありそう、まだ必死でジャンプして手を伸ばしてる感じ。阿部サダヲさんの味も大事にしてるけどもっとけんけんのキンタにしていって良いとおもう。
幸四郎さんのアレ、注進だな、さらっと入れ込んできたけど。
染五郎時代にもやってなかったんじゃないか…やってたかもしれないけど、注進をやるようなお役をやっていたのはあんまり記憶にないぞ。
シキブのシケが片方後ろに行っちゃってるのを、さらっと直す幸四郎さんライ。役者さんたちのこういう仕草好きなんだよなあ…
2024年11月30日 初日 夜の部(ライ:尾上松也)
夜の部で早々に効果音と音楽増やしてきやがったー!
松也さんの方正直セリフ聞きやすいな…
昼の部聞いて耳がなれたのもあるんだろうけど…。
あと幸四郎さんがカミカミだった疑惑もある…初日だししゃあない!
幸四郎さんライ見てから幸四郎さんサダミツ見ると一瞬混乱するね?
幸四郎さんサダミツの「そんなのやだよー」で時蔵さんツナの口元が一瞬微笑みかけたのを私は見逃さなかった。
花道上での演出なので三階席からは見えなかったけど、最後のぶっかえりのあたりでもう人ならざるものへ変容しつつあるんだろうな、という解釈をしたよ。
森に打ち勝ち、森を取り込んだからこそのあの岩戸パターン+宙乗りなんだろう、という解釈。
でも鬱蒼とした森をうっそ…ウソの森ってちょっとダジャレだよな…
オクマちゃんのお名前チャレンジ
ゴリさん!
2024年12月8日 昼の部(ライ:松本幸四郎)
オボロヒのセリフの言い方が変わっている…!?
猿弥さんマダレが声を荒げる場面が難度かあってびっくり、猿弥さんはあまり芝居を変えるイメージがなかった。
ラジョウのシーンでおもだかや!てかけた役者さんはだあれ(笑)
松也さんサダミツ「お前の浅はかな企画は…」て言っちゃって猿弥さんに「企画?」「企画」「企画…(笑)」て突っ込まれてた…時蔵さんともなんかもにゃもにゃ話してた…!
一幕終わりの幸四郎さんを見ているキンタけんけんが、「うわあ本物のライだあ…!」みたいな顔しているようにみえて、なんか、よかった。 アニキに憧れてる役と重なる部分もあるんだろう…
オオキミが死の直前にシキブちゃんに微笑んでうなずいみせた!!あれはやばい泣く
「腕に蛇の入れ墨を」と言われたマダレの仕草が意味深になって、伏線がよりわかりやすく。
そういえば血人形のときも、キンタの血仕込んだとわかりやすくなってる印象。アベサダさんのときは「俺を差し置いて義兄弟ムキー!」と、契りの瞬間に悔しさでモゾってたようにも見えたので。
キンタvsライ、途中から明らかにキンタがライを見失っている…
最後のぶっかえりの前のアレは操り三番叟だね…!?
その場にアクションクラブ川原さんが居るということに、ちょっとした感動と感慨を覚える…
後半でご飯を貰いつつツナさんからの静かな突っ込みを受けるけんけんキンタのリアクションが、アベサダさんに追いついてきた感がある。初日では(多分アベサダさんの瞬発力のあるリアクションに追っつけないと思ってか)声での応答が入ってたけど、今日はほぼ動作だけだった…。けんけんのキンタになりつつある。良いぞ良いぞ。
最終的にはキンタ(金太郎)の鬼退治なんだなあ……いやそうでもないのか…? 頼光四天王だと渡辺綱と坂田金時しか残ってないもんな。でも鬼退治のエピソードがあるのは確かにその二人か。
朧たちは「森の王」を求めていたのかもしれないなあとふと思った。
個人的な解釈だけど。
宗之助さんアラドウジの「とんでもない」が若干川原さん味を帯びてきたような…。
思い返せば「ライ『しょーぐん』」のトコは初日から結構寄せてきてた感があった。
新悟ちゃんの「大嫌い」も「だァいっきらい」な感じに…
でもこのくらいの温度感なのかもなあ。憎しみが優っちゃうと聖子ねえさんみたいになるのかも。
それにしてもヤスマサ将軍の女癖よ。いやシキブが暴走してるだけの可能性もあるけど。顔と腕はよかったかもだけど性格はそんなでもなかったのでは…
サダミツの方は、顔と野望はアレだけど早々にライの怪しさに気付いてるあたりはなんだかんだ優秀な四天王なんだよねえ。
サダミツ、ツナと虎柄のお衣装な中、ウラベだけ緻密画で頭脳派なところが出てるのいい。
ウラベ亀蔵さんの最大の見所が「舌が腐って…」のとこなの惜しいなー
最後の屍人の動きの監修したりしてるんだろうか。ゾンビフリークとして。
オクマちゃんのお名前チャレンジ
アンドレさん!
2024年12月14日 夜の部(ライ:尾上松也)
時蔵さんツナが益々血の通った人間になりつつある…
初日はどっちかというと鋼の女、強い女、私は武人!て印象があって、なんでその強さがあってライを怪まないんだい…と若干疑問に思うところもあったのだけれど、だんだんとやわらかな、人間らしい、弱さも情の深さもあるツナになってきた感がある。
鳳梨の場、お着物の裏地が蛇皮の柄のようにも見えてくるのが興味深い。
新悟ちゃんシキブの「大嫌い」
前半ねっとり感、後半吐き捨てる感あって、新悟ちゃんの味がでてきた。良い…!
キンタが大分わんこになっていた! ライがツナに手紙を渡すところ、二人の間に挟まって交互にお顔見上げて、あれはわんこ…
先日感じた、最後の立ち回りでライを見失っているところ。今回はそれほど見失ってる感はなかった。松也さん版だからなのか、幸四郎さん版でもそうなのかはわからない…
松也さん版と幸四郎さん版で違いをつけているとしたらすごい。
かなり松也さんのライになっているんだけど、注進の振りとか殺陣の手とか、所々が幸四郎さんで(振りは同じなんだからそれはそうなんだけど)そこでふっと「幸四郎さん版で見たいな…」と思ってしまうのは私の頭の中に新感線版のライがいて、ライ=幸四郎のイメージが強いからなのか、まだライ也さんの中に幸四郎さんライが居るからなのか、どっちだろうなあ。
先週見たときに声を荒げていたところがあったマダレ、落ち着くもの言いに戻っていた。やっぱりこの方がしっくりくるね。
マダレについては良い意味で古田新太さんが全然残っていないので邪念が入らなくて(笑)よい。猿弥さんが新感線版をご覧になってないから、というのもあるのかもしれない。(引っ張られちゃうので観ないと筋書で語ってらした)
幸四郎さんサダミツ、もうやりたい放題!て感じでとても楽しそう…
あっちへ走りこっちへ走り、時蔵さんに微笑まれ…(ゲラらしいので加減してあげてほしいけど無理だろうなー笑)
川原さんの小芝居が増えている…ような…。裁きの場でライ&キンタの頭を後ろからぐーっと押さえつけて土下座させていたり、後ろから両手でライの両頬を挟んでウラベの見せ場に顔を向けさせたり。
「縄抜けの術…!?」は川原さん?
「オオキミがあぶない!!」も川原さん?(声の判別がついてない)
オクマちゃんのお名前チャレンジ
ワタルさん!
2024年12月26日 千穐楽(ライ:松本幸四郎)
オボロヒの歯を見せる笑み、大好き。真っ赤な口紅とすごく合っている。
時蔵さんは初日よりずっと、ぐっと感情を前に出すようになってきてとても深みが増したと思う。(この辺は12/14の感想でも書いた)
「にいさん」と言えなくてもじもじしてるのかわいかった…。
新悟ちゃんシキブの「ごめんね」
笑いに誤魔化さず語尾が消えるような「ごめん、ね」でした。とてもよかった。
結局五回観に行きましたが五回とも言い方が違った。試行錯誤してらしたんだろうなあ。千穐楽の言い方が私は一番好き。
「お前だけは騙さない」というライ四郎、言葉とは裏腹の軽薄さがうっすら伝わってきてしまってなんというか…巧いなあ…
この場があってこその最後の「アニキの言葉、全然届かない」が活きてくる。
今日のキンタの義兄弟てんてけダンス(何それ)は結構長めで気合い入ってた。見守るライ四郎さんの目が若干優しくてチョイ中の人が出てませんかね…ってなった(好き)…
そういえば裁きの場でマダレの小芝居見るとこもふにゃふにゃ笑っちゃってたね…
サダミツに捕縛される前のマダレvsライ、立ち回りの手に「打ち合わせしてます」感が見えなさそうで見えるのが巧い…もしそれが意図的なものだとしたら、だけれど。互いにギリギリのところで、相手自身でなくて相手の剣を狙ってるような立ち回り。身体に当てないように。
さすがに千穐楽なので意図的だとおもうけど、どうかなー…
裁きの場と言えば、フエさんがオオキミさま!?ハハーーッ!てなってるとこ、けんけんと川原さんは何をもちゃもちゃしてたんですかねかわいいな!
松也さんサダミツ「静かに!静かにして!」てわーわー走り回ってるのだけど、最終的にうるさいのはサダミツ一人になってておもしろかった。
マダレの小芝居入ってたなー確か「サダミツ様もマダレと示し合わせたかと」で咳払い。
一幕終わりの血人形の真実がわかるところ。
「騙された」ライが見せた動揺の表情、余裕のない表情が妙に印象的だった。あのときのライは何を思って必死になったんだろうなあ。血人形の血は自分のものではないから自分の命の心配はない。
「まさかこんな卑劣な罠とは思わなかった」から、手駒への影響も大きくて今後の計画が狂うことへ動揺してたのだろうか。
まだちょっと消化しきれてないな。
四回見て思ったけどやっぱりだんまりは二つもいらないなと思いました、特に一個目のやつ。新感線色なのはわかるんだけどせめてもうちょい品よくやってほしかった。ウケてもなかったからね…シモでウケないのはよくない。
血人形の真実の場でキンタがシュテンの台詞(「まさかキンタの血を」)に被せ気味に「しねえよ!!」て言うのすごくいい…いいね…
それまで表情を変えなかったライがその声で感情を揺らしたようにも見えてね… まあその感情は善い感情ではなさそうなんですが…。
「ぶっころしてやる!」からわざと足音を立てる、剣で地を叩く、松也さんライはまだキンタをヒトとして扱ってるように見えたけど、幸四郎さんライはなんというか……捕まえた獲物で遊んでるようなところがあった…いや遊ぶほどの熱さえ持ってないなアレは。
使えなくなったからここで始末しておくか、という、ただそれだけの。
キンタがシュテンを倒せていたらまだ「使える」という判断になったのかもしれないなあ。合戦前の「お前がいないと始まらない」の言葉の軽さが千穐楽は際立っていた。
血人形は一時的にライの手に渡ってたのだけど、奪い返されなければ血人形も手駒としたかもしれないと思ってちょっとぞっとしてしまった。
新感線版シュテンは女性だったので、キンタ→シュテンという想いがちょっとだけあって、それゆえ「こいつは俺に」という科白と、再会後の「シュテンはどうした」の科白が生きるんだけど、今回その辺の想いがさっぱり消えているので科白が若干宙に浮いてるのが勿体ないな。残したということは、巧い具合に活かすこともできるはず。博多座に期待!
マダレ猿弥さん、空中パスされた刀の柄を毎回しっかりキャッチしてて格好いいね…ラジョウの絆を感じさせるね…失敗したという投稿を一度も目にしなかったし、何なら逆手で取ったみたいな投稿もあってホントすごい。
猿弥さんについては語ることが少なめになっちゃうんだけど、凄いことを当たり前のようにさらっとこなされてシレっとした顔をしてるのがすごい(語彙力よ)
最後のマダレvsライでは宙に跳ね上げたマダレの刀をライ四郎が空中で更に切り飛ばすという神業が見られました最高。たまらん。
幸四郎さん、こういう瞬間をバチっとモノにするから堪らないんだよなあ……。稀にこういう奇跡に出くわすから抜けられない…。モノにできなかったときもそれはそれでかわいいのでよい…(贔屓目)
氷艶破沙羅の時だって宙に浮くタイミングがずれちゃったのに逆に剣を跳ね飛ばされたようにして格好良く見s(長くなるので以下略
本水の立ち回り。水飛沫まで美しくて大変よかった…仰向けに倒れた様も最高にかっこよかった。
千穐楽は花横のブロックで、色んなライ四郎が真横を駆け抜けていく席だったので、ほんと色んなお姿と表情がしっかり目に焼き付いている…舞台からは少し遠かったけど良い席だった。
死体漁りしていたライは染五郎時代のやんちゃなお顔だった。手入れのない太い眉毛からだんだんとシャープな眉になって髪も整えられて「幸四郎さんのライ」になっていく。
朧の鬼となったお顔は白鸚さんにも似ていた。声は幸四郎さんなんだけど、白鸚さんの醸し出すあの得体の知れない、ぞっとする、我知らぬまに人を超えてしまった存在の迫力があった。
千穐楽カーテンコール。
「これで仕事納めです!」て高らかに宣言して早速背後からわちゃわちゃ突っ込まれてる幸四郎さんに笑った。
「稽古は!あるけど!これから稽古だけど!」「皆様の前に立つのはって意味で」
大丈夫だよわかってるよ…! 稽古があるのもわかってますよ…! 「おやすみー!」って送り出してくれたけど幸四郎さん御自身もちゃんと寝てくださいよほんとに! 寝ないで済む身体に進化してるんじゃないから!
締まりかけた幕…幕じゃないなアレなんだ、開閉式の映写幕に(幕だった)ガッと割り込んで幕引きを止めたのも笑っちゃった。駆け込み乗車はご遠慮ください!
再度開いてバイバイくれて、改めてちゃんと幕が閉まるときに若干締まり方が警戒してたのも笑った。
とにかく幸四郎さんが楽しそうでよかった。あなたの楽しそうな姿が心の栄養だよ…
オクマちゃんのお名前チャレンジ
「歩いてるだけで逮捕されそうなひと」
からの
「水戸泉さん!」