『狼の口 wolfsmund』フランス語版を再翻訳12 再び説教閣下編
こんにちは。この前10月になったと思ったらもう11月になりそうな勢いで焦っております。時の流れが早すぎる。
今回は公弟閣下の台詞メインにいこうと思います。1巻3話でテル親子捕獲失敗後代官が公弟閣下に説教されているシーンから。
原文→仏語訳→拙訳の順です。
密行者の死体が見つからない? 面白い冗談だ 普段大きな顔をして やることはそれか 無様だな ヴォルフラム
Tu dis que…vous ne retrouvez pas les corps?
S’agit-il d’une plaisanterie? Tu es toujours tellement sûr de toi! Qu’as-tu à dire pour ta défense?
Je t’écoute…Wolfram!
奴らの死体が見つからないと…お前はそう言うのか?冗談なのだろう?お前はいつも自信たっぷりだものな!何か弁明することはあるか?お前に聞いているんだぞ…ヴォルフラム!
ここ基本原文通りなんですが、なんというか「お説教」感が増してる感じですきです。うまく言えないけど。
面目次第もございません 公弟閣下
Je vous prie d’accepter mes plus plates excuses…votre excellence…
私の一層深い陳謝をどうかお認めください…閣下
plateは「卑屈な、平身低頭する」で、plates excusesを直訳すると平身低頭の謝罪といった感じ。とにかくごめんなさいする代官。
山岳三邦に反乱の兆しが満ちている 些細な失策が重大な結果を招き得るのだ
La région des trois cantons…grouille de conspirateurs à écraser…et le moindre échec…peut avoir des répercussions terribles! En as-tu bien conscience?
山岳三邦に鎮圧すべき謀反人どもがひしめいている…些細な失敗がおそろしい打撃をもたらし得るのだ!ちゃんと自覚しているのか?
ここも基本原文通りなんですが、En as-tu bien conscience?の念押しが入ることでより一層お説教してる感が出ていいですね。
以後二度と反乱分子の越境を許すな 警備を強化し通行者全てに取調べを行え 次はないぞ しくじればお前の首が飛ぶことになるだろう 左様肝に銘じよ
Je ne tolérerai plus la moindre fuite de rebelles dans ta zone… Renforce ta grade! Dorénavant, tu fouilleras quiconque voudra passer la frontière!
Au prochain échec…je te garantis…que c’est ta tête à toi qui tombera!
Me suis-je bien fait comprendre?
私はもうただ1人の反乱分子の密行がお前の区域から出ることを許さん 警備を強化せよ!
今後は国境を越えようとする者は誰であれ身体検査をしろ!
次失敗した時は…お前の首が落ちることになると断言してやる!
ゆめゆめ理解したか?
この辺実は構文とか完全に理解できなかったところがちょこちょこあります。
・Renforce ta grade! のgradeは文脈上警備を意味するのでしょうがgradeが階級や等級などの意味以外どういう意味になるのか。警備の等級を上げろということ?とりあえず警備と訳したものの…
・que c’est ta tête à toi qui tombera!のtoi quiの文法上の用法
わかる人おられたら誰か教えてほしい…(不勉強ですみません…)
fouillerは所持品を調べる、身体検査といった意味で、2巻のツェーデル&ユヴェール親子への取調べの伏線になっていますね。細かくてよいです。
ははっ 仰せのままに
O…oui!
C’est parfaitement clair, votre excellence!
は…はい!
申し分なく理解しております、閣下!
ここ面白いのが返事でちょっと吃ってるとこですね。細かいとこですが、原作では涼しい顔で流してるので違いが際立ちます。さすがにちょっとやばいかなみたいに思ってるのか…
今回はここまでです。読んでいただきありがとうございました。
訂正や誤訳などありましたらどんどん教えてくださると嬉しいです!
ではまた次回。