【85】噴火から学ぶ:20世紀TOP2の火山災害の原因は○○の判断ミス?
大噴火や噴火災害と言えばどんな印象でしょうか。ポンペイやタンボラ山が有名かもしれませんが、20世紀最大の火山災害をご存じでしょうか?なんと3万人近くを全滅させたのです。本日は、そんな火山について解説!
●ポンペイを襲った300度&新幹線速度の火砕流
●7-12万人の死者...タンボラ山噴火の気温低下
●島まるごと壊滅?原因は○○の判断...
●逃がしても被害・逃がさなくても被害
ポンペイを襲った300度&新幹線速度の火砕流
昨日、トンガの海底噴火が起き、その津波で日本まで津波警報が来るほどでした。現地では、ネットが繋がらないことから情報が錯綜しており、少しでも早く無事で確認されればと思っています。ただ、かくいう自分は、夜中にピーピーなる津波警報がうるさい(いつものように小さな津波じゃないか...と思っていた)ので一度通知切ってしまいました。考えてみると、こういう油断は禁物ですよね。いつ大規模な災害に襲われるか分からないですから。
※追記:ニュースで拝見したら、県の通報プログラム誤作動が続いていたみたいで先程陳謝の映像が流れてましたwどうりで多すぎると思った^^;;
少し歴史を振り返ってみます。
大噴火により人々を死に至らしめたものとして有名なのは、ヴェスヴィオ火山かもしれません。火砕流や火砕サージによって、ポンペイ市は一夜にして埋没してしまい、壊滅。火砕流ってものすごく怖いらしく、300度という熱さだけでなく、新幹線よりも速いスピードで押し寄せるみたいです。そしてヴェスヴィオの噴火の熱エネルギーは、広島の原爆10万倍...ひぇえええ、これ食らったらひとたまりもないですね。。!!
西暦79年のポンペイ市の一件は、古代ローマ帝国を描くうえでも映画として人気になったり、新たに遺跡で遺体が見つかったりすることで、よく耳にしますよね。映画といえば90年代の『ボルケーノ』と『ダンテズピーク』も有名なので観たこと方も多いかもしれません。
それにしても、
都市まるごと埋まってしまうって、怖すぎませんか。。。
7-12万人の死者...タンボラ山噴火の気温低下
また、数万年前単位のもの以外の歴史のなかで最大ともいわれるインドネシアのタンボラ山噴火は、1815年、つまりまだ200年前の出来事。結構最近です。こちらは、ヴェスヴィオ火山の20倍の規模だっただろうとのこと。エグすぎる...
死者は推定7万1000人から12万1000人。この規模になると、灰が舞い上がって太陽光が遮断されることから、地球全体の気温低下になるとのこと。そのせいで食料飢饉にもなるのです。噴火なんてそうそう来ないだろうと思っていると、突然やってくるものですから、分からないものですよね。自然災害というのは、恐ろしいものですよね。
噴火は、軽石、噴石、火山灰、火砕流、火砕サージ、ラハール(火山泥流)、溶岩流など、多くの災害を巻き起こします。あまり体験することがないので、イメージが湧きづらいですが、過去の噴火を見てみると、その恐ろしさが垣間見えます。日本でも雲仙岳噴火などは記憶にある事例かもしれません。
島まるごと壊滅?原因は○○の判断...
そして、今回一番自分が特筆すべきだと思ったのは、こういった火山「災害」には多くの「人災」も含まれている、ということなのです。調べていくうちに皮肉だと思ったことは、20世紀最大の火山災害であるプレー山と2位のネバド・デル・ルイス火山は、どちらも「人(トップ)の判断」が被害規模を大きくしてしまったともいえるのです。
1902年にマルティニーク島で起きたプレー山噴火は、約3万人が死亡したという、20世紀の火山災害中最大のもの。島まるごと全滅し、生存者は地下にいた囚人と靴屋さんだけだったという、なんとも残酷な災害です。
しかし、実は噴火自体の規模はそこまで大きくありません。火山爆発指数(VEI)というものがありますが、ヴェスヴィオが6、タンボラなどが7という数字に対して、プレー山は4です。実は規模自体は世界史的にそんな大きくないのです。
では、どうして島まるごと壊滅に追いやられたのか?
それは、トップの判断ミスに大きな要因があったのです。
熱雲による影響など自然災害が膨らんでしまったのもありますが、一番は、市の首脳部が市民を閉じ込めていたことが挙げられます。というのも、実は選挙間近で、市民が市から逃げてしまうことを避けるため、軍の力によって市民の退去を強制的に阻止していたのです。これはあんまりですよね。選挙とはいえ、強制力をもって人を隔離するなんてことは、あってはならないことです。
逃がしても被害・逃がさなくても被害
これは映画『ダンテズピーク』にも登場するプロットですが、「風評被害によって市の信頼が落ちる」のは、市の首脳部としては、原則避けなくてはなりません。その影響で、市民がいなくなったり、観光業がつぶれたり、大手会社との提携がなくなったり、経済が破綻しかねないからです。なので、ある意味、トップとしては「逃がしても被害。(噴火なんてそうそう起きないだろうし)逃がさないほうがいい」と判断したのです。
結果論的にいえば「逃がしても被害だったし、逃がさなくても被害だった」という、極めて窮地に立たされていたことが分かりますが(-_-;)
ただ、いくら「イメージが悪くなる」「経済が破綻する」というリスクがあったにせよ、強制的に阻止するのはいかがなものかと思います。市民を守る立場にある以上、フェアに知らせることは実行して、あとはその市民自身の判断に任せるのが、本来あるべき形。そもそも、逃げられたらまずいという状況になっているのは、選挙する人間自身の問題であって、市民には何の罪もありませんから。
2位だったコロンビアのネバド・デル・ルイス火山も、ハザードマップがおそろかにされ、有効活用されなかったことが大きな要因になったらしいです。偽情報の警報に慣れてしまったり、噴火が一時鎮静化したことで油断したりと、意外と、こうした「トップの判断」「人災」といった点に責任がある事例もあるんですよね。
ということで、僕も緊急速報をオンにしておきます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?