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#10. サンタさんにもらったお菓子
4歳になる息子がいて
我が家のサンタ業務は3歳のときから始まった。
去年はやっと「クリスマス」「サンタさん」の意味が分かってきていたところだったが
今年はカトリック系の幼稚園に入ったということもあり、
12月を通してクリスマスを楽しみに過ごしてきた。
赤ちゃんが産まれたばかりであることや、
旦那が帰省中にもテレワークができるということで
幼稚園の冬休みに合わせて早めに帰省。
珍しくクリスマスを実家で過ごした。
前日の夜に、旦那と私、そして祖父母からのプレゼントをセッティング。
朝起きてプレゼントを見つけた息子は寝起きにしては高めのテンションで大喜び。
その中にオマケのような形で、他愛ないスナック菓子が入っていた。
昨日の午前中、夜間授乳で疲れて私が寝ている間にそのお菓子を一つ、封を切って食べさせたらしい。
袋菓子だったので半分以上残っていて、
それをおやつの時間に「これ食べる?」と私が聞いたら
「食べない」と断られてしまった。
今まで食べたことない味だったし、気に入らなかったのかと思い
夕方、中途半端に残っていたそのお菓子を食べてしまっておいた。
若干、ためらいはしたが、気に入らないふうに見えたので、まあいいだろう…
そう思って最後まで食べてしまったのが間違いだった。
今日のおやつの時間になって、
「あぁそうだ、サンタさんにもらったおせんべいは?」と言われて
何のこと?と一瞬思ったが、
ギクリ。
昨日のあれか。。。旦那に、
「え、サンタさんのプレゼントに入ってたのに食べちゃったの?」
と叱られてしまった。
息子には旦那がていねいに説明してくれた。
怒るでもなく、泣きわめくでもなく、
しくしくと、目を拭って涙を飲み込むように泣く息子。
たまに本当に悲しいときはこういう大人びた泣き方をする。
ああ、やってしまった。
なんてことのない、またすぐ買えるようなお菓子だけど、
息子にとっては
4歳のクリスマスにサンタさんからもらった、
唯一無二の、大事なお菓子だったんだ。
そのあとはなんとか他のことで気を紛らわせて忘れさせたが、
私は一日中そのことがひっかかってしまった。
些細なことだけど、取り返しのつかない過ち。
かなり凹む。
夜寝るとき。
お話があるんだけど、聞いてくれる?
と話し始めると、落ち着いているときにはよく聞いてくれる子。
私は泣きながら、ごめんね、お母さん勘違いして食べちゃったの、ごめんね、と謝った。
そしたら息子もまたしくしく涙を拭い始めてしまい
悲しかったことを思い出させてしまったようだ。
おもむろに息子が、
「今日はお父さんがいなくて、嬉しい」
と言い出した。
語彙がまだ十分でないので、勘違いさせる言い方をよくする。
何か意味があるのだと思い「どうして?」と聞くと
「お母さんのこと、だあいすきだから」
寝かしつけの時間に私と旦那二人ともいる日は、
私は授乳など赤ちゃんのお世話に、旦那が息子の寝かしつけ担当になる場合が多い。だから
「お母さんが赤ちゃんのお世話に行っちゃうから寂しいの?」と聞くと
こくん、と、うなずく。
どうしたって体は一つだから、
どんなに上の子を優先しようとしても
「お母さんが赤ちゃんに取られちゃう」と思わせてしまっているんだな、と悲しくて悲しくて、
またごめんね、ごめんね、と言いながらずるずる泣いてしまった。
そしたら今度は
「泣かなくていいよ?」
と言ってくれる息子。
追い打ちをかけられて泣くしかできない私。
「そうだね、お母さん泣き虫だね」
ふだんは我が強く、気持ちの切り替えが苦手で、注意されるとよけい反発する、手のつけられないイヤイヤ坊っちゃんなのに
この帰省の間はいとこのお姉ちゃんたちに囲まれてご機嫌で、人見知りもせず、愛想よく、自分の好きなことをよく喋り、
かと思うと、大人同士の話をよく聞いていたり、相手のことをいたわったりしてくれる。
息子の良いところがよく見えてきた帰省だった。
子ども自身も違う環境で気分がハイになってたのもあるし
大人の目が多い分、私や旦那に余裕ができてイライラが少ないことのおかげだ。
帰省の少し前、4歳の子を育てるのにすっかり自信をなくしていた。
我を通す、口達者、有り余る体力の三拍子が揃った4歳イヤイヤ期。
対処法をググってみても
根気よく言い続ける
時間があるときはつきあってあげる
気持ちを代弁してあげる
いまの私にそんな余裕はない。
子どもの嫌なところしか目につかない。
そんな頃に帰省で息子の新しい一面をみた気がした。
余裕がなくて見てあげられなかっただけだった。
サンタさんのプレゼントに対する反応もその場でみてあげれたら、
あのお菓子を勝手に食べてしまうこともなかったのに。
(授乳に疲れて寝ていたので、後から動画を見ただけ。)
イヤイヤ期を乗り越えて自己肯定感を高めるような子育てをできる自信はまだないけど
少しでも、今の成長の瞬間を見逃さないようにしてあげたいと思った。
今年のクリスマスは、いろんな初めてがあったから、忘れたくないなと思った。
今朝になって、
「昨日のヨーグルトの残り飲みたい」と言われて、
(お母さん残り飲んじゃったとは言えずに新しいのを出して)
「ほら、これあるよ」内心冷や汗。
…同じ過ちを繰り返すところだった。