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万引き家族

是枝裕和監督の作品は、過去「そして父になる」、「海よりもまだ深く」を観た。これが3作目になる。

まず、この監督はどこにでもいる家族の描き方が本当にうまい。特に下町に住む家族の描写に関しては、いつも感心させられる。(いずれもリリーフランキーが父親役、樹木希林が祖母役というのが多いのでこの二人に力が大きいのだろうか。)

この映画が問いかけているもの、それはずばり「幸せと一体は何か。」だろう。これはすべての是枝映画に共通するテーマといってもいい。逆に言えば、「幸せが何か分からなくなったら、是枝作品を観るべき」なのだろう。

治に拾われたゆり、彼女は本当の両親がいるものの、虐待を受け、つらい生活を送っていた。柴田家にきた当初は動揺を隠せなかったが、初枝をはじめとして柴田家の面々による優しさを身体で感じ取り、次第に心を開いていく。安藤サクラ演じる信代に強く抱きしめられるシーンはおそらくこの映画のいハイライトだろう。

つらい体験をしてきたゆりが本当の優しさ、幸せを感じていく。そこは裕福さ、貧しさなどの物差しが必要のない世界。本来人間が感じるべき世界、感情なのだ。

格差社会、虐待、年金問題、里親問題と、現代に蔓延るあらゆる社会問題を一つの家族を通して描いた映画だが、観終わった後の気持ちは何かほっとさせられ、温かい気持ちにさせられる。

「幸せとは何か。」結局それを一言で言うと他人とのつながりに対する自分の満足度のようなものだろう。

余談だが、自分がこのコロナ禍の感じた幸せのかたちが一つある。それは「やるべきことがある。」とういことである。

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