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マルチカメラ撮影のスイッチャー(ディレクター)の心構えとは

マルチカメラ撮影(ライブスイッチング撮影)でのスイッチャーの立ち位置は「監督や指揮」のように一番経験豊富な人でなければ務まりません。 そんなスイッチャーについて今回はお話しようかと思います。

あくまで局のディレクター・スイッチャー形態ではなく、映像撮影業者でのスイッチャー・ディレクターとしての記事です。あしからず。  


俺は絶対!俺の指示に必ず従え!

まあ、ビデオ業者だと、ほぼその会社の社長がやったりする場合が一倍多いのかな。

スイッチャーにも色々あって、カメラマン自身がワークとスイッチングをしたり、インカム指示で切り替えさせたり、オートスイッチング機能で撮影したりと様々です。

中でもやはりカメラ4,6台を使用して各カメラマンに指示出しながらスイッチングしていくスタイルが一番多い。

冒頭でも書きましたが、スイッチャー(以下Sw)は撮影スタッフの中で一番知識豊富な人が行うことが多いです。

それは、カメラマンの特性やカメラの知識、音声の知識、現場や被写体の情報把握などあらゆることが理解できないと切り替えられない(指示が出せない)んです。

分かりやすく言うと「指揮者」。クラシック音楽などあまり興味の無い方は分かりにくいかと思いますが、指揮者が変わるだけで楽団の音は180度変わります。

Swも同じでうまいSwとそうでないSwは180度違う。 責任は重大なのだ。

しかも正直、指揮者以上にやることが多い。局じゃないからVEやPAもいないし、ほとんど一人で映像・音声・録画・無人機コントロールなどをやらざるおえない。

うまいSwはカメラマン経験も豊富なので、カメラマンへの指示だしが理に適ってる。 編集の経験もあるなら、編集用の撮影スタイルにも対応できます。

例えばディゾルブ分の尺までテイクするとか、曲の冒頭にはテロップ用のスペースを空けさせるとかです。

一方、私が一番嫌いなSwは「すぐにキレる」野郎です。ジャイアンです。

特に撮影中でヘタなワークをしようものなら「何やっとんじゃボケっ!、もっと上ヨリにしろっつったろ!」「動かすな!・・あーあ」とかね。

特に新人君などに激が飛ぶわけですよ。普段は温厚なのにSwになるとキャラが変わるヤツ。

こういうSwは知識はあるのに使い方がヘタなんです。

映像を具体化するにはSw一人ではできない。手足になるカメラマンの力が必要なんです。

そのカメラマンを上手に使うことによって自分のイメージに近い絵作りができる。

撮影本番で怒鳴られたりしたら新人君は怯えてしまって逆効果になるし(怒られ慣れてるヤツもいるw)周りのカメラマンも萎縮してしまって普段のワークが出しにくい。

怒る=冷静さを失ってる。頭の回転が鈍り瞬発力も無くなってしまい良い映像が撮れない。  


良いスイッチャーの掟

自分は会社員だったころは何年もSw経験をしてきましたし、今でもスタッフが足りない現場ではスイッチングするときがありあます。

そして何人もSwを見てきたり、教えてきました。良いスイッチャー(ディレクター)とは、こうありたいものを並べてみます。

  • 必ずリハやゲネプロを見学して進行を把握しておく

  • 編集のことを考えた絵作りをする

  • カメラマンの特性や技術レベルを判断し、その範囲内でワークをさせる

  • 慌てない(平常心)。自分自身が焦るとカメラマンにも伝わる

この上記の中で特に難しいのは、始めて使う外注カメラマンや新人君。使い方を誤ると大惨事になりかねない。

私の経験でいうと撮影技術より性格を重要視して判断したほうがいいと思います。

外注カメラマン(契約カメラマンも)は長年やってる猛者が多いのですが、長い間やってるだけにクセがついてる人が多い。俺が俺がカメラマンです。

こういう方は、自分より年下の人間にあれこれ指示を出されるとソッポを向いてしまい、ナめてくる。

「コッチのサイズのほうがいいと思うよ」「パンしちゃうよ」みたいな 、非常に使いにくい方がたまにいらっしゃる・・

こういう方はおだててやれば一発で言うこと聞きます。基本、始めての外注カメラマンは褒めまくることがコツ。 ヘタでも褒める。

新人君はどのくらいまで技術か向上しているかの把握。そのレベル以上のことは本番ではヤらせないことが無難です。本番ですから。

2,3人に指示を出すくらいのカメラ台数では問題ないと思いますが、ミュージカルや舞台劇・吹奏楽やオーケストラなど5人や8人などをまとめるスイッチャーはホントきついです。

だからといって、自分の思い通りに撮影がいかなくて怒鳴ったり、チームワークを台無しにすることだけは避けたい。一人で撮ってるわけではないのだから。

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