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100名山制覇を60山目でやめた理由

登山やる人なら誰もが知っている100名山。
私は3年前、南アルプスの鳳凰山に来ていた。ちょうどGW前で残雪期だった。
特急で韮崎の駅から見えた鳳凰山は見ただけで雪だらけとわかり、
雪に慣れていない私たちは少し不安を感じていた。

登山口の青木鉱泉から少し登ったところで膝までヒゲを伸ばし、
白装束のお爺さんとすれ違った。
第一印象は仙人だった。
何気なく上の雪はどうですか?と聞いたのがきっかけで
立ち止まって話すことになった。

どうやら仙人は日本中の山を登ったことがあるらしい。
私も100名山は60山目であり、30代で制覇してやろうなんて
考えているくらいだったので、私も結構行ってますよとお伝えした。
特にこの頃は山に夢中だったし、特に50山達成の直前からは
すごくモチベーションが上がっていた。
同じ山には行かない。できる限100名山に行くというのが、私のスタイルだった。

しかしその時に仙人から言われたのが
「60山登っているのか!すごいね!ただ、君の歳で100名山を目標にすると、どうなるか教えてあげよう。達成したら、次は200名山、次は300名山、次は1000名山と目標は果てしない。しかし、目標を達成しても何かがある訳ではない。私は目標を追うあまり、登山を楽しむのではなく、達成が目的となっていたんだ。300名山達成前に思った時には遅すぎた。あと目標達成のために遠くにも行かなくてはいけないので、登山はお金なくなるぞ」

とは言うものの、仙人は1000名山達成に向けて日々活動しているようで。もう目標達成を辞めることはできないのだそう。

でもこの時の仙人からの教えで、私は100名山を目標にするのはやめた。
元々、思っていたのか、仙人からの言葉により気付かされたのか、
100名山を早くに達成したところで、何もないことを頭の中で認識し、
人生の中でゆっくり登ろうと決心した。
山は一生の趣味になると考えていたので、尚更そうなると人生の中でじっくりと楽しもうと思ったのである。あと、冷静に金がなくなっていくのも厳しいところだ。

そこから関東近場の低山もよく行くようになり、それぞれ面白いところはたくさんあることに気付かされた。また、好きな山も出来、何度も行くようになった場所もある。
この時から、自分の登山人生は変わったのだった。
ま、人には色々な考えもあるので、ピークハントを否定する訳ではないのだが、
色々バリエーションを持つことは大事だと気づかれたタイミングだった。

ちなみに、「雪は大したことないね」と仙人は言っていたが、鳳凰山の頂上手前は雪が深く非常に苦労したのだった。よくよく考えると軽装というか、リュックも持っていなかったし、あれは本当に山の仙人だったのかもしれない。時間的にも登山口手前ですれ違うのも変だし。。。

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