妊娠と植物と。ついに不妊治療が報われた
ついに新しい命が。3年半の不妊/不育症治療を経て、夢にまで見た安定期に突入した。
これで治療を最後にすると腹をくくったあとの妊娠だった。
妊娠して赤ちゃんが育っていく喜びは、植物のそれに似ていながらも、はるかに上回る感動がある。何よりもう不妊治療をしなくてもいいことが嬉しい。
初期はつわりと生理並みの出血がひどく、自宅から一歩も出られない安静指示が続いたけれど、不妊クリニックを卒業してから通院回数は4週間に1回。不妊治療時代の3年半は、家から1時間以上もかかる病院に150回も通院していたことを考えると、妊娠中の通院回数はおそろしいほどに少ない。
しかも、出産はもう5月に迫っている。妊娠すると月日が遅く感じると聞いていたけれど、3年半も不妊治療していたせいか、私には疾風のごとく早く感じられる。(9分の2の短さだ)
周りからも祝福の声をたくさんもらえた。「体調はどう?」と毎回声をかけてくれる優しい方々に対し「正直、不妊治療してた3年半の方がずっと体調が悪かったんです!」と不妊治療の嘆きを毎回言いたくなる。でも、微妙な空気になりそうなので、グッと飲み込んで我慢。
おそらく私が不妊治療や流産をしていなかったら「おめでとう!!!」程度の祝福テンションだったと思われる周りの反応が、
治療を知ってた人は「ぬおおお、おめでとう!!!!とても嬉しい(涙)本当にがんばったね」くらいのテンションで一緒に喜んでくれることには感動を覚えた。
しかも、お腹の子はみるみる成長していく。だんだん人間らしい見た目になっていくエコー、どんどん膨らんでいくお腹と胸、助産師さんから初めて「お母さん」と呼ばれる瞬間、お子の存在を実感できる胎動。
長年不妊治療をがんばって乗り越えてきた甲斐あったと思える幸せな瞬間が次々と訪れる。
私の妊娠期間はそれなりに出血もつわりも辛かったはずなのに、幸せで仕方がない。これも過酷な不妊治療の反動だろうか。
不妊治療をしていた当時、治療のことをよく知らない人に限ってこう言ってくる方もいて、私はいささか懐疑的だったけれど、やっぱりそんなことなかった。
子どもがいるのはベース幸せなことであり、そこにプラスアルファで苦労が上積みされる。一方、不妊治療はベース辛い上にさらに苦労が上積みされる。そこに幸せな瞬間があるかどうか、大違いなのだ。(ちなみに、不妊"治療"自体には幸せな瞬間など一切なかった。)
思えば植物を育てるのも同じ。夏は毎日水やりが大変だし、霧吹きをかけるのが面倒な日もあるけれど、植物があると幸せだし育てるのは楽しい。
まだまだ不安は尽きないけれど、「お腹に子どもがいる」という存在だけで私は強くなれる。不妊治療が苦しかった分、毎日が本当に幸せに感じられる。
母子ともに健康に産まれ、この子がすくすく育つことを信じている。
最後に、もう少し妊娠と植物との関わりを。
胚盤胞を2個同時に戻し1個だけ育ってくれたのが今のお腹の子で。
このかぼすの種を2個だけ土に撒いたのも同じ時期だった。
不思議なことに1個だけ芽が出て、小さな力をふりしぼり、今も育ってくれている。
まるでお腹の子みたい。
それから、去年流産したときに供養として植えたハゴロモジャスミン。
安定期に入る頃、なんと結実していた。供養が実を結んだのかな。調べたらハゴロモジャスミンが結実するのは非常に珍しいそう。あの子もお空で喜んでくれていたら嬉しいな。
やはり植物には不思議なパワーがある。あらゆる生命や地球の誕生に遡ると、水と光と植物から始まったはずだし、万物のエネルギーは植物に宿っているのかも。
そんなことをあれこれ考えながら、早くお腹の子に会いたいと願うばかりだ。