流産手術から1週間
信じられないほど、あっという間に時は過ぎ去る。
手術後の体調が悪い期間を経て、ようやく落ち着いてきた。
子宮収縮剤のせいなのか、手術の疲れなのか、お腹が痛かったり出血もあり、当たり前だけど手術は体に負担がかかるんだなと。
もう不妊治療を始めてから3年間で6回も手術をしている。今までは手術と無縁の人生だったから、ここにきて異常な頻度。
手術の前はとにかく憂鬱だ。
事前にサインする手術や麻酔の同意書には、目を背けたくなるくらい怖いリスクが書き連ねてある。同意書の内容を淡々と読み上げる看護師さんのそばで、仕方なく同意書にサインして覚悟を決める。
手術当日になり、ひとりガウンに着替えてベッドに横になって順番を待つのもうんざりする。
家族や友人が励ましてくれるけど、結局最後はひとりで立ち向かわなければならない。沈黙の時間でその重い事実を突きつけられる。
そう、究極、頼れるのは自分だけなのだ。
でも、意外といいこともあったかもしれない。
心も体も、痛みに対して明らかに強くなった。
昨年 胸のしこりを検査する針を刺した。先生からは「痛いですよ、がんばってください」と言われ、針をぐりぐりされたが、
採卵後パンパンに腫れた卵巣や子宮内フローラ検査の痛みと比べたら全然だった。
女性にとっては出産の痛みが最大かもしれないが(病気等除く)、そう頻繁に味わうものではない。不妊治療の痛みは3年間 毎月だ。継続は力なりというが、痛みへの耐性もそうである。
それから自分でも驚いたのが、2回目の流産は、1回目ほど泣いてない。1回目の流産宣告は病院の待合室で号泣したけれど、2回目は冷静だった。
あとは実際自分がとても興味深い経験をしていること、話の引き出しが増えたこと。
胚盤胞(受精卵)が成立すると、写真や成長過程の動画をもらえる。人間誕生の瞬間を見れるなんて興味深い。いつか「これがあなたなのよ」と卵の写真を子どもに見せたい。
流産についても経験者の友人と話したりする。流れてきた胎嚢は透明でぷるぷるして美しいんだよ、など話していると、こんなことが日常的に起きているのに、世の中に一切出てこないことに驚く。
まだまだ先は長いけれど、とにかく自分に「えらい!えらいよ!」と声をかけてあげたい。がんばってるよ、私。