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#31 『戦略プロフェッショナル シェア逆転の企業変革ドラマ』 三枝匡 / 日経ビジネス人文庫 2002
こんにちは!
会社のモヤモヤを読書で解きほぐしたい
40代ワーママのKです。
主に仕事用に読んだビジネス本の記録を
投稿しています。
あの頃に感じた、あのなんともイヤな感じ…競争相手の足音がヒタヒタと背後に迫り、やがて次々と自分を追い抜いていく…遠ざかっていく彼らの背中。積もる借金。
「しかし広川さん、それ以上の高成長を狙う体制を、われわれ日本の小さな会社にとれというのは酷ですよ」
「はい、でも最後まで全面戦争にこだわらなければ、何とか勝ち抜くことができるかもしれませんね」
「どういうことですか?」
「つまり局地戦争に持ち込むということです。事業の絞りです。経営戦略論でセグメンテーションと呼んでいるやつです」
「……」
「社長、こんなこと言うのもおこがましいのですが、ビジネスとは、どんな小さなセグメントでもいいから、その分野でナンバーワンになるのが勝利のコツのようです」
本書は、大企業勤務の36歳切れ者リーダー広川が、M&Aした異分野の関連会社に出向して、新製品で一気にシェア拡大していくビジネス小説です。
著者の三枝匡氏はBCG出身のプロ経営者。赤字会社の再建やVCの経営を経て、2002年からミスミグループのトップとして大きく業容を発展させた、同社の第二創業者とされる人物。
著者自身を主人公のモデルとしたサクセスストーリーはヒリヒリした臨場感がたっぷりで、面白くないはずがありません!
出向先の社長は、別の事業で競合に敗れた経験を持ち、業界初の新規製品を売り込むこの千載一遇のチャンスに尻込み気味。
社内の部下たちは、業界二番手らしく、初めから負けを決め込んで危機感に欠ける仕事ぶり。
そんな伸びしろたっぷりの会社に
熱き心を持ったキレッキレの広川常務、降臨!!
【読書メモ】
組織のトップに立つ者には、会社の将来の運命を左右するような戦略的問題について意思決定する責任がある。選択肢をいくつも用意している企業は強い。トップは情勢の推移を見ながら、手の内の選択肢の中から勝負の道を見定めて戦略を絞り、そこから先はリスクを背負って一途に走る。やる気のある経営者とは、こうした戦略責任に進んで当たろうとする人である。
トップとして部下に重大な指示を与えるためには、自身が戦略的な判断の視点、見識、センスを持つことが必要。人情、人としての魅力、包容力などの人間的側面は不可欠だが、それだけでは戦略的責任は果たせない。
企業戦略のセオリーはどんな業界も同じ。基礎的セオリーを完全マスターして自分の判断やプランニングに忠実に使えば目覚ましい効果を上げることができる、ただし、優れた戦略は優れたリーダーシップと結びついてこそ初めて大きな効果を生む。理論と実行を結合できるかが問われる。
いつも競争相手のことを考えながら仕事をしている人は驚くほど少ない。だから戦略的に動く人が事業を伸ばせる。戦略判断のツールを持つことが寛容。
会社の問題点見極めるには、世の中の競合に比べていい勝負をしているのかどうかがカギである。競争とは相対的なものである。それを判断するには、自社が競争上のどんなポジションにいるのか、まず仮説を立てるとよい。社内を見廻すと、仮説通りのこともあれば、それとはちがう現象に出くわすこともある。そのズレの原因を社内で探っていくと、会社の抱えている問題が浮かび上がってくる。そうして仮説から問題点を絞り込んでいく。
仮説を立てるには、プロダクト・ライフサイクルとプロダクト・ポートフォリオのフレームワークを頭に描く。
今日の経営戦略論の多くはPLCの考え方を包含しているか、それを前提としている。PLCの段階を進むにつれて、市場での競争の形態が変化していき、そこで競合に打ち勝つカギも移行していく。問題になっている事業がPLCのカーブのどの段階に位置しているか。自社の売上ではなく市場全体を考える。導入期か、成長期か、成熟期か、衰退期か。市場の動向把握は欠かせない。
新製品は全てPPMのいわゆる問題児からスタートする。競合を抑えて勝ち戦を続ければ、それは花形から金のなる木へと移行する。二番手、三番手は、市場の成長期には差別化によって競争していけるが、いずれ模倣され、価格差による戦いはコストを下げるための量的な競争となっていく。
成長戦略のポイントは、絞りと集中。小さな市場セグメントでよいから、勝ち戦を続けてナンバーワンになることである。それがある程度進んだら、稼いだ時間を別製品に再投資するサイクルを確立すること。そうしないと資金源の既存ビジネスが枯れてくるのと並行して会社全体も枯れていく。
残念企業の特徴。社員の礼儀や清掃の感覚がお粗末なことが多い。社員の不平不満は内に向かっていてお客様や競合のことがあまり頭にない。不満分子はすでに退職し、残った社員はおとなしく素直だが鋭さに欠ける。個別製品の原価計算がいいかげん、月次決算が遅い。外からの貴重な情報を誰かが抱えたまま仕舞い込んでいる。しかしそれら表面的な現象を一つずつ正そうと躍起になるのは単なる対処療法、たいした改善にならない。
成長企業は組織がいつもアンバランスである。突出した部分に牽引されて他部門が遅れてあくせくしながらついていく。時と共に牽引役の部門が交代していく。会社を強くするには、組織が消化できる範囲で、戦略目標達成のための不安定さを、同じ方向へまとめていかなければならない。
経営者はいつも何かが見えない状態で方針を決めなければならない。社長がリーダーシップを発揮するためにはどうしてもカンで決めていく部分がある。ひとつは右脳的、精神的なもの。もうひとつは、失敗経験に基づく経営の因果律。
プランニングは将来のことを考えるのだから、全てのリスクを読み切ることは絶対にできない。いかに経験豊富な経営者でもあらゆる因果律を知っているつもりでも、どこかに未経験の因果律が隠れているかわからない。だが、将来のリスクを予想し、成功の確率を上げる工夫はできる。
戦略検討のプロセス
仕事の優先度
市場全体の俯瞰
戦略製品の抽出
製品の差別化能力の確認
価格と利益構造のチェック
戦略ロジックの策定
組織の強み弱み
市場ターゲットの絞り
戦略展開の時間軸
価値観の「混乱化」
新戦略と実行プログラム
成功する戦略は、会社の体力を考えてまず戦いの場を絞る。そしてそこに社内のエネルギーを集中させる。その実行のために、組織に対し「無理を強いる」「不安を感じさせる」と言う面が必ずある。
挑戦的な目標と組織の力量にギャップがあるとき、それを埋めるための新しい戦略を考えることが肝要。戦略の切れ味が悪そうなら、さらに強力な戦略を考案するか、目標を下げて行動を開始するか。組織にやり切る体制が整っていないなら、悪感情を残すだけで何の益にもならない。
誰もやったことのない新しい戦略を実行するなら、多少のリスクは気にせず、何があっても夜はグーグーと眠れる性格が備わっていることが必要。
良い戦略は極めて単純明快。営業パーソンも、良い製品を売り込む時の説明は単純明快。製品の説明がシンプルで済むなら、その製品は市場を席巻できる可能性が大きい。
セグメンテーションは、企業戦略論のなかで「絞り」「捨てる」ための道具としてこの上なく有効。良いセグメンテーションはしばしば従来の社内の常識を破る。ただし対外的には静かにすること。得意になって客先で喋ったりマスコミにヒントを漏らしたりすることのない様。
セグメンテーションが効果的である条件
測定可能であること
到達可能であること
十分な市場規模
セグメンテーションを成功させるのに最も必要なのは、しつこくフォローするシステム持つこと。絞り込んだターゲットに対して、きちんとしたアプローチがなされているか、成果は上がっているか。
毎週必ず報告日時を決め、その戦略プログラムが完成するまで何ヶ月でも続ける。
報告対象に漏れや例外を作らない。
管理チャートの数や種類を少なくする。出来れば全て一枚で済むように。
日本のビジネスパーソンは、熱くなることを忘れている。論理性と熱き心の結合が求められている。
ドラマチックなストーリーを読み進めながら、事業戦略の要諦を抑えることのできる良書です。(映像化したら面白そう!)
ではまた。
最後までお読みいただき
ありがとうございました!
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