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ผ้าอ้อม99999 pre. MOLD@下北沢BASEMENTBAR

若手のなかでもソリッドではないか、と思われるผ้าอ้อม99999。
これはパーオームと読むのだが、彼らをはじめてみたのは昨年のサマソニ。午前中のステージで見たのだが、なかなかの濃い音楽であった。

今回は彼らが自主企画のイベントを開催するとのこと。
音楽の街、下北沢。その一角にあるライブハウス、下北沢BASEMENTBARに向かったのだ。

下北沢という街には無数のライブハウスが点在する。その1つである下北沢BASEMENTBARは下北沢駅から徒歩10~15分ほどかかるため、少し遠いのだろうか。といっても、徒歩でいけてしまうのだから地方民の視点からすると非常に便利な立地だ。

下北沢の小さなライブハウスに一人で行くのは人生初。
いつもは音楽仲間についていくような形だったので非常に緊張した。
ライブハウスに入るまでのBGMはドレミファだいじょーぶ、でしかない。(はじめてのおつかいで使われる音楽だ)

到着

ライブハウスはビルの地下1階。
ライブハウスのshimokitazawa THREEと隣同士になっているようだ。さすが、シモキタ。空間に占めるライブハウスの数が多いんだよ…。

今回のイベントはこちら

以前からWOZNIAKの星優太を知っており、ผ้าอ้อม99999を見るとともにDALLJUB STEP CLUBもお目当てで訪れた。他のアーティストは初見のため、冒険のようなワクワク感。地下に続く階段を下りながら、地下のライブハウスの怪しげな雰囲気(これは固定観念)にドキドキした。

タイムテーブル

ワタシが到着したときににはSTAP Sigh Boysのステージが始まっていた。暗転されたフロアに人混み。入り口のドアを隔ててドリンクカウンターが配置。豊富なドリンクメニューであるがミネラルウォーターが300円で販売されていた。他のソフトドリンクとは異なり、安く提供されているのに目がついたものだ。
ステージに対してフロアはL字型になっている。入り口付近にも人がたくさんいたため、なかなか奥には入りづらかった。各アーティスト開始前には奥に入るようにアナウンスをされていたが、人のスキマをかいくぐるとステージ下手側は比較的スペースが空いていた。

音楽は大好きだが、都会の街のパーティー感やワイワイ感には慣れないもんだ。そこらへんは田舎者、かつ陰キャのワタシ。
アーティストが終わるとざざっと動く人の波、客同士が知り合いだったようでばったり会って「久しぶり!」と近くで急に発生するコミュニケーション。なんだ、この陽のオーラ、、、なんて感じながらひとりでトイレ前の少々くぼんだ壁にフィットする形でライブハウス全体を見ていた。

STAP Sigh Boys

ライブハウスい入るやいなや、ステージに居たのは口髭が特徴的な外国人。ソロアーティストで活動しているSTAP Sigh Boys。読み方はスタップサイボーイズ。ん?いや、気のせいだろうか。過去に世間をにぎわした「スタップ細胞」に聞こえなくもない。いや、そう聞こえる。

彼のプロフィールには色々とツッコミたいところもある。
がしかし、まずは読んでいただくほうが理解しやすいと思うので以下に掲載する。

一度もライブをしたことがなかったにもかかわらず、FUJI ROCK FESTIVAL’21 Rookie A GoGoに出演。 2021年11月23日にデビューアルバム『Hey』をリリースし、2022年4月29日にコンセプチュアルディスコアルバム『Aino』をリリース。 「電子レンジで溶かしたネオソウル」「1人ランダム・アクセス・メモリーズ(ダフト・パンク)」「高円寺のマックデマルコ」と評される。 影絵、腹話術、魔術、パーティーゲームを盛り込んだシュールでインタラクティブなライブを数多く行い、ライブシーンでも高い評価を得ている。 もともと1970年の大阪万博アイルランド館で働くため来日しましたが、東京の築地市場に行った際に冷凍庫に閉じ込められてしまい、豊洲に移転した時にようやく発見されました。

https://www.tunecore.co.jp/artists/ssb_vivid?lang=ja

まず、1度もライブをしたことなくてフジロックのステージを踏むとはどういうことなのだ。そんなことがあるのか、という衝撃。謎の人形による分身、サポートメンバーは白衣を纏う。世界観、宇宙規模に謎めている。

このプロフィールを知らずにライブを観たら、音楽が非常に懐かしさが混じるダンサブルな楽曲だという印象をうけた。腑に落ちる理由がプロフィールに記されていた。
「もともと1970年の大阪万博アイルランド館で働くため来日しましたが、東京の築地市場に行った際に冷凍庫に閉じ込められてしまい、豊洲に移転した時にようやく発見された」とのことだ。だからなのか!この懐かしい感じは…!ディスコで流れてそうじゃないか…!と腹落ちをしていたのだ。

音楽性は非常にワタシの好み、ドリンクを片手に自然と身体を揺らせる。彼の音楽テイストをはじめとしたありとあらゆる部分で宇宙っぽさ(コスミックさ)を感じるのだ。とにかく、豊洲市場に移転したときに冷凍庫から発見されてよかった。

ライブパフォーマンス終了後、そそくさと舞台から掃けたのちにフロアのほうに登場。その間に次回のライブに関する情報が音声でアナウンスされていた。

ギターは固定、本人がステージ上を右に左に動いて演奏するスタイル

xiangyu(シャンユー)

2018年から活動している女性アーティスト。名前のxiangyuは中国語で魚の鮎という意味らしく、本名から由来しているようだ。

古着好きな彼女はこの日も古着をチョイスした衣装。くるくるっとした髪がとても特徴的であり、パワフルな女性。年齢はワタシとほぼ同じなのに、あのエネルギーは一体なんだと思わされるくらいのパワフルさを感じた。

マイクの調子が悪くても動揺せずにパフォーマンスする彼女はかっこいい。

非常におもしろい音楽を作っており、彼女の趣味は道端で見つけた落とし物の写真を撮ること。ちなみに、その写真はSNSにアップすることも友達に見せることもないようだ。
そんな落とし物をテーマに作られたアルバム「OTO-SHIMONO」に収録されている楽曲の道端にネギかたっぽshoesなど彼女が見てきた道端の落とし物をストレートに音楽にミックスされている。道端にネギは落としがち、スルッと落ちていくのがネギのなかでも白ネギだ。今までに1度は見たことがあるのではなかろうか、道端にネギ。

彼女が一番驚いた落し物は入れ歯だったそうだ。ワタシも見たことない、入れ歯の落とし物。その入れ歯でさえも、入れ歯という曲にしてしまうのだからお見事。ZARIGANIではみんなで手をピースしてザリガニポーズ。会場一体で音楽に合わせながら身体を動かした。

初見のワタシが例えるならば、入りが水曜のカンパネラのような印象を持った。ただ、似て非なるものであったのが結果である。彼女の音楽からつくられる音楽のパワーは物凄く強いものだ。そのステージをフルに楽しむ姿を見るとこっちも楽しくなった。これからも多彩な側面をフルパワーに活躍してほしい。

DALLJAB STEP CLUB

今回のお目当てがこのバンド。(主催ではなくて申し訳ない)というのも、このバンドで活動しているmachine/Vo.Yuta Hoshiを以前から知っており、彼のソロプロジェクトであるWOZNIAKを見たことがあった。ゆえに、別バンドでの姿に興味を持ってこのイベントに出向いたというわけである。

DALLJAB STEP CLUB(通称:ダルジャブ)はそんな彼とDr./fx.GOTO、Ba./Vo.BENCH.の3人で活動するオルタナティブ・ベース・ミュージック・バンドである。2022年にメンバーが脱退したのち、現在の形態となった。

開始早々、フロアからの声援と拍手が物凄い。メンバーの名を呼ぶ声を色んな場所から聞こえる。ワタシにとっては初見バンド、でもフロアのお客さんには名の知れたバンド。彼らの存在感には圧倒された。

下手側でメンバー全員をカメラに収められなかった。

以前も同じイベントで出演したxiangyuからライブの本数が少ないと声をかけられたようだが、ライブ少なかったけどその間にアルバムを2つ作っていたとのこと。なんという創作意欲の塊、そんな短時間でアルバム2作もリリースすることなんてないと思うんだ。

Hoshiが扱う機材が初めましてすぎて、なんでここから音が出ているんだろうと思ってしまう。ドラムを叩く彼しか見たことがなかったため、この姿を観るのが非常に新鮮。GOTOのドラムもとても細かい。クラッシュシンバルなのか、シンバルを叩く手首のスナップが非常に速くて驚いてしまった。そしてなにより、見た目はとてもイカつく感じたもの話すと非常に柔らかな感じでギャップがすごい。センターでプレイするBENCH.のベースの安定感、そしてボーカルもしてしまうのか!という驚き。身長も高く体格もしっかりされているため、センターでの姿は存在感強し。

ダルジャブの音楽は幅広さを感じる。Gosship Magazineのような動きの激しい音楽もあるが、Second Wave -ver.2のメンバーごとの技術を前面に押し出してくる楽曲もある。この楽曲は特にメンバー各々がセッションを楽しむような空気を感じられた。
またDay Nightのメロウさは好み。でも、歌詞をみるとラーメンの話。
「何なんだ!ここで生じるギャップは!」と衝撃を受けながらセットリストを聴き返す。これは、初見殺しではないか。こんな歌詞だなんて、思わない。

ちなみに、物販では電子決済が導入されたらしい。
フロアはその発表に拍手喝采。おめでとうございます。

Hoshiの衣装、Tシャツの胴体部の裾が綺麗に折り目がついていた。あれは、おそらくドラム洗濯機で乾燥させたのだろう。身内の洋服で同じ現象を見た事があるため、そんなことを思ってしまった。それは、ここだけの話。

ผ้าอ้อม99999(パーオーム99999)

本イベントの主催、ผ้าอ้อม99999。
自分たちの出番までフロア内を動き回るBa./Samplerアブラをちょくちょく見かけていた。(主催だからこその忙しさなのだろうか、お疲れ様でした)

サウンドチェックに時間がかかり、予定より少し遅めに開始。主催とだけあって、フロアの熱量は高かった。ステージの壁には白幕が張られ、プロジェクターを2台使用して映像が投影された。この演出はクールなものであった。

死角エリアから覗き込む形で観ていた

彼らの音楽は非常に疾走感があり、カオス・サンプリング・ダンスミュージックバンドというだけあっていい意味でのカオス感。そして、サンプリングによる音の複雑さがある。すべての音楽が一瞬で去っていくような勢いであった。何度も驚くのだが、やはりサンプラーとBaseが本番中に交代するなんてバンドはそんじょそこらには無いと思うのはワタシだけだろうか。

諸事情により前半の数曲を聴いて抜けてしまったが、終演後のX上のフロアで見た観客の投稿を見ると非常にアツいライブをしていたようだ。サマソニで見たときよりも箱の規模感が小さくなったことによる音圧、そしてフロアとの距離感の近さ。パフォーマンスの熱量がひしひしと観客に伝わるような空間であった。

この記事を書きながら気づいた、Tyrkouazの方が来ていたのか。もしやアーティストも結構集まっていたのだろうか。それだけ注目されるし、このバンドの仲間も多いんだろうと察する。

ライブハウス探訪、続く。


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