タイパ重視!! 年収の壁に立ち向かう為の〘これだけ〙を抑えておけ
時短でマスター、年収の壁。
壁は1枚ではなく、そして性質も異なっていた。
段階を把握して、今後の動向を注視せよ。
皆さんこん〇〇は。
独立系 FP 事務所、ガーデン・イールズの藤岡です。
今日この1日も24時間しかない中、本記事をお選び頂き本当に有り難うございます。
始めに
さて今回の FP コラム。
投稿の狙いは、今世間を賑わせている “年収の壁” の見直し協議について、皆さんがニュースを理解したり、他人と話をしたりする上で役立つ入れ知恵をさせて頂くことです。
この年収の壁、きちんと知りたいと思うならそれなりのお勉強が必要。
願わくばやや深掘ったところまで抑えておきたい、基本的なお金の知識ではあるんですが… “壁” は一枚では無く、更には種類も異なるものが立ちはだかってくるのがやっかいなのです。
そこでこの記事では、読者のターゲットを
給与明細の記載内容をちゃんと把握しようと
試みたことが無い方
に定めました笑。
年収の壁の話は、勤め人である多くの皆さんの手取りに関わってくるので、より正しく理解しておくに越したことはありません。
ですからまずはこの投稿を読んで、会社の休み時間にその話題になっても、取り敢えず自然に盛り上がれるくらいの知識を身につけるところから始めましょう。
そしてより詳しく知りたくなったその時は、改めて金融関係サイトの記事や経済誌を読んでみるなどして、さらに詳しくなっていかれるのが良いかと思います。
年収の壁とは
それでは本題に入っていきましょう。
年収の壁とは何か。
まず、実態に照らし合わせてお硬く言い現わせば以下となります。
世帯の中で扶養に入りながら働く者について
その収入が増えるにつれて
納税・社会保険への加入を求められ
手取りが段階的に減額してゆく様子を
次々と迫りくる壁に模した表現
続いてこれを砕いて記します、大体以下のような感じになります。
パートで働く奥さまの稼ぎは
多くなればなるほど
国が 〇〇代 と称したお金を
順番に取るようになり
その度に手取りが少なくなる
年収の壁は、正規雇用では無く、パートやアルバイトなどの形態で働く配偶者の収入を対象にした話が主となります。
壁の種類
年収の “壁” には種類があります。年収がそれぞれに記す額を超えると、徴収が始まります。
税金の壁① 住民税:100万
税金の壁② 所得税:103万
社会保険料の壁:106万 または 130万
まず年収が100万円を超えると、住民税の納税が始まります。
例えば年収101万なら、年額 6,000円が天引きされます。
続いて年収が103万円を超えると、所得税の納税が始まります。
例えば年収104万なら、年額 500円が天引きされます。
最後に年収が106万円か、または130万円を超えると、奥さまが自身で社会保険へ加入することが義務となり、保険料の支払が始まります。
106万か130万のどちらからになるかは、お勤め先によります。
例えば年収106万円で加入となった場合、年額 15万円が天引きされます。
いずれも一旦徴収が始まると、その先は収入の上がり具合に比例して、天引き額も大きくなっていきます。
税金の壁と社会保険の壁はどう違う
ここで軽く、税金と社会保険の違いを整理しておきましょう。
①性質
税金は、日本に住む人全員がより良い環境で生活出来るよう、収入のある全員が納めることになっているお金です。
“この社会 あなたの税がいきている” ってフレーズ、見たことありませんか。
皆の為に、皆がお金を出し合っている… という意味合いが強いのが、税金です。
対して社会保険というのは、日本に住む人みんなが、将来的にお金に困りにくくなるよう、国が作った仕組みです。
自分の未来の為、必要と目されるお金を今から先出ししておく… という意味合いが強いのが、社会保険の保険料です。
②当初負担額
先の例で年収が103万を超えても、負担する税金は住民税の6千円と、所得税の5百円です。
いうて知れてます。
対して年収が106万になると、社会保険の保険料は15万円の負担となります。
税金の壁は、その壁(年収)を超えた分の収入に対してのみ、緩やかな税率で徴収を開始する仕組みです。
対して社保の壁は、その壁を越えた途端、年収全額に対する所定の料率(約15%)で保険料の徴収が開始されます。
税金はボリュームゼロの徴収つまみをひねり始める
社保はパチンと徴収スイッチが入る
というイメージで捉えて下さい。
話題の “103万円の壁の見直し” とは
税金の壁②、所得税の課税が始まる年収額を103万円から引き上げよう、という協議が始まろうとしています。
例えば103万円から178万円に引き上げられれば、年収が178万円を超えるまで、所得税の天引きは始まらない… ということです。
最終的に引き上げられるのか、どの程度引き上げられるのかについては、これからの話し合い次第です。
なお、所得税の壁の引き上げは、パートタイマーに限らず、働いて収入を得る殆どの方に恩恵を与えます。
真にマークすべきは社会保険の壁
①壁を越えた時のインパクトが大違い
ここまでの話で順序立てて明らかにしてきた通り、今々の家計に最も打撃を与える壁は社会保険の壁、つまり年収106万円、または130万円の壁です。
年収105万円までの稼ぎなら、僅かな額の税金の徴収が始まるだけで、手取りはほぼそのまま。
それが年収106万円の稼ぎを得た途端、手取りは90万円になってしまうのですから。
社会保険料は文字通り、老後や病気になった時など、将来的な生活の不安をカバーする “保険” として出すものです。
税金と比べればより直接、自身の利益の為に払う意味合いの強いお金なのだと考えれば、まだ幾らかは納得も出来るでしょう。
ただ、家計が苦しかったり、子育て等の多忙な時期であってもその負担を負うべきかどうかについては、考える余地が十分にあります。
社会保険料の負担開始を考慮した場合、手取りの年収で110万を得たいと思ったら、天引き前給与が130万円程度に到達している必要があります。
今回この記事を読んで今後の収入設計に向き合いたくなったのであれば、以下をお勤め先に確認されてみるのが良いかと思います。
自分の年収が幾らになると社保加入になるのか(壁はどこにあるのか)
今の就業形態、担当業務のままで、これから先の勤務時間を延長、或いは短縮することは可能か
②社会保険の壁にも見直しの手
昨今、年収の壁がここまでホットな話題となったのは、そのうちの一つ、所得税の壁を30年振りに見直そうという流れが生じたからです。
しかもその検討は皆が喜ぶ減税方向な訳ですから、ここまで大々的に取り沙汰されることとなったのでしょう。
実はその一方、社会保険の壁にも見直しの手は伸びてきています。
残念ながらこちらは、所得税のように壁が遠のく方向では無く、壁が近づいてくる方向。
つまり、今より低い年収(106万/130万)であっても、社会保険には加入してもらうようにしよう… という目的での見直しです。
更にこちらについては、これから協議されるのではなく、既に現在進行形で変更が行われ始めているのです。
今後、パートタイマーが社会保険の加入を回避する為に打てる手は確実に少なくなっていきます。
社会保険の話については、このまま続けていくと記事の長さがここまでの何倍にもなってしまいますので笑、今回はここら辺りで一旦、止めておくことにします。
今後、多くのご家庭で把握しておくべき大きな制度変更などがありましたら、またこちらのコラムでも取り上げようと思います。
最後に
世帯の収入(家計)という観点で見ると、今回フォーカスした年収の壁以外にも、扶養している側の各控除の適用や、雇用保険などに対する意識も必要になってきます。
もう終わりが無いんじゃないかと思えるくらい、ややこしくもなります笑。
ガーデン・イールズはこれからも、世間の盛り上がりに呼応する形で一部分を切り取って、分かり易く取り纏めたコラムを発信しますので、それを読んで要点だけを抑えるよう、お心掛けされて下さい。
X(旧 Twitter)ではさらに踏み込んだ話や、時にはクセの強い持論を書き殴っていることもありますので笑、プロフィールページのリンクよりチェック&フォローをお願いします。
それではまた、次回の記事でお会いしましょう。