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育児当事者から見る「段ボール授乳室」騒動

ダンボール製の授乳室が世間の一部を賑わせているようだ。

授乳室は段ボール製で「こわい、この授乳室」など、厳しい意見も寄せられています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5ba2634e1e239ffb26fd24ab38106e7fb69aaa43

それはなぜ、どのように「こわい」のか考えたとき、ある体験が呼び起こされた。
それはごく私的なことであり、本件に対する様々な人の想いの全てを説明しきれるものではないだろうが、興味があれば読んでみてほしい。

子供の頃は、毎年夏冬休みは岐阜にある母方の祖父母宅へ行った。
これから綴る体験は、祖父が亡くなった翌年、祖母が亡くなる前年のことだ。
その年の冬休みはスーファミを持って行った。いつもはゲーム機を持って行ったりはしなかったが、この時の私にはやむを得ぬ事情があったのだ。
居間のテレビを占拠してヴァルケンで遊ぶ私の背後から祖母の声が聞こえた。
「怖いロボットだね」
3面の中程だったことを覚えている。次々現れる敵兵器は爆散し、敵歩兵はダッシュ中の自機に跳ね飛ばされたり爆風に巻き込まれたりとあっけなく死んでゆく、そんな場面だった。
祖父は戦時中南方に出征しており、祖母も母もその兄妹も戦地の話を聞いていたそうだ。特に同じ時代を生きた祖母は、ヴァルケンの描写に戦争の恐怖が呼び起こされたのかもしれない。
「怖くないよ。ゲームだし」
敵の苛烈な攻撃に敢え無くゲームオーバーとなり、そう振り返った私に、「そうだねぇ」と祖母は微笑み、応じた。

祖母が他界してから数年後、私は祖母があの時呟いたひとことに込められた真意を知ることになる。

美濃の方言で「こわい」は「固い」の意、だという。

固いロボットだねえ、と祖母は言ったのだ。
ヴァルケンはシールドを構えている間、ほとんど全てのダメージを無効化する。ロボゲー界屈指の硬いロボット、それがヴァルケン。こわい。
シールドを解除して反撃に出た途端にやられた私は、固くないよと答えたことになり、祖母はそれを肯定した。やぁこい。

もうおわかりだろう。
「こわい、この授乳室」=「硬い、この授乳室」
冒頭の話題の関連記事を読めば、この授乳室は強化ダンボール製だという。
そりゃあ、こわい。

ちなみに爺ちゃんの戦場思い出話の定番ネタは「川で米研いでたらウンコ流れてきた」だ。

本題ヴァルケンの話に戻ろう。

私には娘がふたりいる。
自分が好きなものは他人にも勧めたくなるし、現代の子供の目には昔のゲームはどう映るのだろうという興味も湧く。
そんなわけで私はもちろん、娘にヴァルケンをさせてみた。かった。
WiiのVCにさりげなく混ぜ込んだり、Switch版を買ってみたり。
でもやってくれません。古臭いゲームじゃ食指は動かないのかなって思ったけど、昔のポケモンとかには興味津々だしテトリスとかぷよぷよとか姉妹や友達と楽しそうに遊んでる。

だめかなぁ、ヴァルケン。
どうやったら遊んでくれるかなぁ。
アーマードコアは、こないだちょっとやってみたい言ってルビコプター墜として気が済んだみたい。

下の娘はヴァルケンのプラモ一緒に作ってたんだけどね。片腕作ったとこで「飽きた」って。
残りはしゃーないから俺が組んだ。

子育て中のおとうさん、おかあさん。
お子様との思い出作りに、一家団らんに、いかがですか。
ヴァルケン。