【遊戯王マスターデュエル】こんにちは こんにちは 最果ての宇宙から【ゴーティス】
昨年9月にその見た目の美しさだけで私が記事にした【Ghoti】という海外発テーマ。
5月に入ってからリーク情報でマスターデュエルに先行実装されるのでは?という噂がSNSに広がり、にわかに話題になりました(Ghotiがどう和訳されるのかという点も)。
そして5月10日のアップデートで海外版『ダークウイング・ブラスト』までで登場したカードも含めた【Ghoti】もとい【ゴーティス】のカードが全実装されるという【ティアラメンツ】パターンでの登場となりました。
【ゴーティス】は水属性・魚族のテーマであり、魚族では初めてのテーマシリーズとなります。主に除外を駆使するデッキで、除外状態から帰還→相手ターンでのS召喚を狙うトリッキーなデッキとなっています。
前回の記事では海外版『パワー・オブ・ザ・エレメンツ』で登場した第一弾のカードのみを取り上げましたが、今回は実際にデッキを組んで回してみた所感を書いていければ思います。
【ゴーティス】デッキの基本的な動き
基本的な動きとしては起点となる星4・魚族モンスター『揺海魚デッドリーフ』の効果で星2・チューナーモンスターである『ゴーティスの妖精シフ』を墓地に送り、シフを自身の効果で除外。そして自身の効果で相手スタンバイに帰還したシフとデッドリーフで相手メインフェイズに『ゴーティスの大蛇アリオンポス』のS召喚を狙う、というのが基本的な動きのデッキです。
ゴーティスの大蛇アリオンポス
日本語訳
シンクロ・効果モンスター
星6/水属性/魚族/攻2100/守 0
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがS召喚した場合に発動できる。デッキからレベル6以下の魚族モンスター1体を除外する。
(2):このカードがS素材として墓地へ送られた場合、自分の墓地の魚族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを除外する。その後、そのモンスターのレベル以下のレベルを持つ魚族モンスター1体をデッキから手札に加える事ができる。
このモンスターが中継役として非常に優秀なモンスターで【ゴーティス】というデッキは如何にしてこのモンスターをS召喚するかにかかっていると言えるでしょう。
デッドリーフ+シフの組み合わせで相手ターンにアリオンポスをS召喚し、①の効果でデッキから『ゴーティスの紅玉ゼップ』を除外し、更なるS召喚に繋げます。
ゴーティスの紅玉ゼップ
日本語訳
チューナー・効果モンスター
星2/水属性/魚族/攻 0/守1000
このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札のこのカードを除外し、自分の墓地の魚族モンスター1体を対象として発動できる。そのカードを除外する。
(2):相手ターンにこのカードが除外された場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。
(3):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。このカードを含む自分フィールドのモンスターをS素材として魚族Sモンスター1体をS召喚する。
ゼップは3体目の星2チューナーであり、先発組の2体が除外された場合次のスタンバイフェイズに除外状態から特殊召喚されるのに対し、こちらは相手ターン内の除外であればすぐに帰還します。
そしてS召喚のタイミングも特殊召喚成功時ということもあって速効性があり、S召喚時にフィールドのカード1枚を除外できる『ゴーティスの双角アスカーン』のS召喚を狙います。
ゴーティスの双角アスカーン
日本語訳
シンクロ・効果モンスター
星8/水属性/魚族/攻2700/守 0
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがS召喚した場合、自分フィールドの魚族モンスター1体と相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを除外する。
(2):このカードが除外された場合、自分の墓地から魚族モンスター1体を除外して発動できる。このカードを特殊召喚する。
改造後のデッキレシピ①
最初に構築したデッキを回してみたのですが、デッドリーフに対して『灰流うらら』や『無限泡影』が撃たれてデッドリーフの棒立ちとなる場面が目立ちました。
そのため、デッドリーフの効果が無効にされたことを考えて手札からのSSが可能かつ『No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン』や手札の『超古深海王シーラカンス』を特殊召喚できるリンク2の魚族『アビス・オーパー』の素材にできる『アビス・シャーク』を採用しました。
アビス・シャークの効果で2体目以降のデッドリーフをサーチしたり、デッドリーフを残しつつ自己SS効果持ちでランク4のX召喚ができるサイレント・アングラーをサーチできるようになりました。
しかし、ステルス・クラーゲンを出したところでステルス・クラーゲン1体で相手を制圧できるかというとそうでもなく、シーラカンスも同じく無限泡影や【スプライト】の流行で鳴りを潜めたと思われる不意の『原始生命態ニビル』に潰されるなど、こちらもあまり安定しませんでした(シーラカンスに関しては元のステータスが高めなのでアタッカーとしても使えますが)。
改造後のデッキレシピ②
【ゴーティス】は元々海外先行のテーマです。そのため、先人たちの知恵を借りることにしました。海外で組まれたゴーティスの構築を調べたところ、『死神官-スーパイ』+『スーパイ』の出張採用が見られました。
この2体の本来の用途はテーマカードである『月影龍クイラ』のS召喚を円滑にするためのものですが、死神官の効果はSモンスター縛りがつくだけでS召喚先に指定はありません。そのため容易に星6のS召喚が行えるのです。
そのためこの2体で召喚権を残しつつ自分ターンにアリオンポスのS召喚を行い、相手ターンにアスカーンや白闘気白鯨などのS召喚やアリオンポスの効果で自分・相手ターンに墓地の魚族を除外しつつ、特殊召喚が可能な『ゴーティスの陰影スノーピオス』をサーチして更なる展開を狙ったものです。
日本でも、ゴーティスの研究が進むにつれてデッドリーフ初動による相手ターンのアリオンポスより、死神官コンビによる自分ターンのアリオンポスの方がいいのでは、という意見も多く見られるようになりました。
ゴーティスの陰影スノーピオス
日本語訳
効果モンスター
星6/水属性/魚族/攻2100/守 0
このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分・相手メインフェイズに、自分の手札・墓地から魚族モンスター2体を除外して発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
(2):このカードが特殊召喚に成功した場合、フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードはフィールドから離れた場合に除外される。
(3):このカードが除外された場合、自分の墓地の魚族モンスター1体を除外して発動できる。このカードを手札に加える。
非チューナーの星6モンスター。相手ターンでも発動可能な能動除外要員であり、①の効果で手札・墓地の魚族2体を除外して自身を特殊召喚できます。この時ゴーティスの星2チューナー2体を除外できればレベル10の大型シンクロである『最果てのゴーティス』のS召喚にまで繋ぐことができます。
②の効果を自身に対して発動し、シンクロ素材にすれば③の効果のトリガーを満たすので、墓地に魚族がいればこのカードを手札に戻すことも可能です。
EXデッキのモンスター
Sモンスター
テーマ外のカードでは星8では属性面でシナジーのある『魔救の奇跡-ドラガイト』や種族が共通の『白闘気白鯨』、星10では安定の『フルール・ド・バロネス』『相剣大公-承影』に同タイミングでマスターデュエルに実装された『氷水啼エジル・ギュミル』が好相性です。変わったところでは星8の『アクセルシンクロ-スターダスト・ドラゴン』もチューナーのレベルの関係上噛み合っており、このモンスターを経由して星10のS召喚を行えます。
Xモンスター
上記でのアビス・シャークのギミックでステルス・クラーゲン以外でランク3〜5のNo.モンスターをX召喚できます。
EXの枠を更に割く必要がありますが、『N・As・HKnight』と『No.101 S・H・Arc・Knight』、および両方のカオス形態を採用することも可能です。
Lモンスター
Lモンスターは種族シナジーのあるアビス・オーパーや水属性強化の『マスター・ボーイ』、デッドリーフを蘇生して再度効果を使えるようにする『海晶乙女コーラルアネモネ』、そしてコーラルアネモネとのコンボが凶悪な『世海龍ジーランティス』も水属性以外のデッキを使う相手によってはかなりの突破力を発揮します。
ゴーティスの大蛇アリオンポスのS召喚を安定させる組み合わせ
①:『死神官-スーパイ』+『スーパイ』
手札1枚をコストに自己SS+スーパイをデッキ・手札からSSできるので召喚権を残したままレベル6のS召喚が可能になります。
サーチ手段に乏しいこと、スーパイの素引きなどの欠点がありますが、『スモール・ワールド』で死神官とレベルのみ同じのアビス・シャークor海亀壊獣ガメシエルを経由してサーチすることが可能です。
②:『アサルト・シンクロン』+星4モンスター
海外先行のゴーティスの実装に合わせて日本のみで登場している『アサルト・シンクロン』もマスターデュエルに実装されました。レアリティはURと入手困難なカードではありますが、700ダメージというあってないような代償で手札からSSできるモンスターなので、デッドリーフなどの星4と合わせてアリオンポスのS召喚ができるようになりました。
上記の死神官と組み合わせることでアリオンポス→『アクセルシンクロ-スターダスト・ドラゴン』を経由して『フルール・ド・バロネス』などの星10のS召喚が可能です。
③:『氷結界の照魔師』+星2氷結界チューナー
『氷結界の照魔師』は手札コスト1枚でデッキから【氷結界】チューナー1体を特殊召喚することができます。この効果で星2チューナーである『氷結界の術者』or『氷結界の水影』を特殊召喚することでアリオンポスのS召喚に繋がります。
死神官と異なり召喚権を使いますが、効果発動後の縛りが水属性なのでS以外のX召喚やリンク召喚に繋げやすい点や、レベル4なのでサイレント・アングラーと合わせてランク4にられる点、『氷結界の紋章』というテーマ内にサーチカードがあるので手札に引き入れやすいメリットがあります。
④:『簡素融合』→『レア・フィッシュ』or『無の畢竟オールヴェイン』
『簡素融合』は『簡易融合』の調整版のようなカードであり、ライフコストこそ変わらないものの、融合召喚できるモンスターがレベル6以下と広くなっている反面効果モンスターを出すことができなくなっています。
そのため、このカードで『ティアラメンツ・キトカロス』を出すことはできませんが、簡易融合がキトカロスとのシナジーから禁止カードになってしまいました。簡易融合は泣いていい。
主に特殊召喚されるのは星4・水属性・魚族とゴーティスとシナジーがある『レア・フィッシュ』か星2チューナーである『無の畢竟オールヴェイン』の2体です。この2体を特殊召喚し、対応する星4or星2チューナーを出せばアリオンポスのS召喚に繋がります。
⑤:『サイキック・リフレクター』+『バスター・ビースト』
1枚からの幅広いS召喚といえばこのコンビ。死神官コンビとの違いはこの2枚で星8のS召喚にも繋げられるというところでしょうか。一方で死神官は手札からもスーパイを特殊召喚できるのに対し、こちらはバスター・ビーストを手札から出すことはできません。素引きによるリスクは死神官以上ですが、バスター・ビーストが星4なのでアサルト・シンクロンとの組み合わせでアリオンポスのS召喚が可能です。
ちなみに6〜9までのS召喚が可能なので奇数レベルのSモンスターを入れておいてもいいかもしれません。
使ってみてわかる【ゴーティス】デッキの弱点
数回このデッキを回した方なら共感してもらえるかもしれませんが、このデッキはとにかく後攻が弱いです。
遊戯王というカードゲーム自体先攻が有利なゲームであり【サイバー流】【ギャラクシー】【ヌメロン】のように高火力のモンスターによる後攻ワンキルを得意とするデッキでもない限り、コイントスで表が出た場合は基本的に先攻を選ぶゲームです。一応先攻にはドローができないというデメリットがありますが、それでも基本的に相手のカード効果を警戒する必要がなく、相手が手札誘発を引いていなければ、後手の相手に対して制圧布陣を敷くことができます。【ゴーティス】はそもそものデッキコンセプトが相手ターンでのS召喚であり、後攻になった場合は
①:相手1ターン目
②:こちらの1ターン目
③:相手2ターン目
と、展開役のアリオンポスを②でS召喚できなければ③になって初めてS召喚することになり、相手の最初ターンにこっちが満足に展開できないようにされてしまうと、③のターンで展開するどころか一気にゲームエンドにまで持って行かれてしまいます。
そのため後攻になった場合も相手の布陣を作らせないor崩すことのできるカードを多く入れておく必要があると考えました。
そのため上記3つ目のデッキレシピには相手の墓地利用を防ぎ、環境トップの【ティアラメンツ】に強い『ディメンション・アトラクター』や後攻から相手の布陣を崩しやすい『拮抗勝負』を採用しました。
ただ、前者は先攻の場合は腐りやすく、後者は『フルール・ド・バロネス』など魔法・罠を止めれるモンスターが場にいると止められてしまいます。最近はティアラメンツに『デビル・フランケン』と『ナチュル・エクストリオ』を採用しているケースが多いので安定したメタとは言えません。
それでも、これらのカードをうまく駆使すれば【ティアラメンツ】などの格上すらも食えるほどのポテンシャルを持っています。
総評
まとめに入りますが、言ってしまえば【ゴーティス】というデッキは現環境においても中堅レベルの強さはあるデッキと言っても差し支えありません。
また、長らく統一テーマのなかった魚族というマイナー種族初のテーマであり、魚族にはテーマに属していなくとも強力な効果を持つカードが多い種族でもあるため、テーマカードのみで組むのではなく、効果が噛み合ったカードを上手く取り入れることで十分に戦えるデッキです。
とはいえ、まだ実装から2週間も経っていないことから、まだ初見殺し的な一面もあり、今勝てていても相手がデッキの特性や効果を覚えてしまえば、今のようにうまくいくことばかりではなくなるでしょう。
特にマスターデュエルでは【ティアラメンツ】と共に2022年の環境を席巻した【クシャトリラ】【深淵の獣(ビーステッド)】の実装が控えており、また今年に入って頭角を現した【ピュアリィ】も発売時期を考えたらそろそろ追加される時期でしょう。それらのデッキに太刀打ちできるほどの力を持っているデッキとは言い切れないので、苦戦こそ強いられますが、何もできないということはないはずなのでそれらのデッキの対策を取りつつ使っていくのが理想ですね。
また、いつになるかは不明ですが【ヴェンデッド】のように海外先行のテーマであっても、日本で強化カードが追加される可能性もあるので、そこで足りないカードが出てくれることを願いたい限りです。