惨敗の経験とそこで得たこと①
生まれて初めてロードバイクを購入してから6ヵ月が経ち、初めてレースに参加した。
2015年11月28日に開催されたセオフェス4時間チームエンデューロだ。
これがその時の画像で、1番右を走っているのが自分なのだが全体から素人っぽさが滲み出ている。
このレース中あまりにも辛く、ハムや脹脛などあちこち攣って頭痛も酷かった。
とにかく全身が悲鳴を上げボロボロに…
先頭集団に4回くらいラップされ、75分程度走ってパートナーに交代したがホントに辛く、走り終わると立っている事すらできなかった。
もう2度とレースは出たくないと思うほどの惨敗である。
数日後「トップアマの選手は今回自分が走った距離の5倍以上の距離を5Km/h以上速い速度で走る」と聞き耳を疑った。
そんな人間が存在するのか…
帰ってからYouTubeを漁ってみると、速い選手達はかなり楽そうに走っている様に見えた。
「同じ人間なのにここまでの差があるのは流石におかしい。自分は何か間違った事をしているのでは?」
今考えるとこの疑問が自分の自転車競技をやる上でのターニングポイントだった様に思う。
本やネットでサイクルスポーツについて調べる様になり、分かったふりをしないと読み続ける事も出来ない様なあやふやで怪しげな内容を沢山見聞きする様になった。
学の無い自分でもとんでも科学だと分かる内容が無限に出てくる。
調べるほどに曇って見えなくなっていった。「なんなんだこの世界は…」と。
数ヶ月が過ぎ、6人で交代しながら走る筑波8時間耐久レースに参加した。
すると物凄いスピードで独走してる選手が目に入り、そのフォーム(形)やスムーズさ(動き)に目を奪われ、釘付けになった。
「優れたものには美しさが宿っている」
約30年生きてきた中でいつの間にかそう思う自分になっており、私の眼にはその選手の力みを感じさせない姿がとても美しく映った。
後で知ったのだが、その選手はオリンピックにも出場経験のある一流の選手だった。
それを知った瞬間に安心感?好奇心?雲と雲の隙間から太陽の光が差し込む様な。とにかく胸が躍ったのを覚えてる。
もしかしたら毎日走り込みをすればいつか良い動きが身につくかもしれない。しかし今までスポーツをやってこなかった三十路に家庭も仕事もこなしながらトレーニングに時間を費やすのは現実的ではなく、更には若い選手達と同じ練習をしたところでフィジカルではまず敵わないだろう。
それからはガムシャラに動いていたトレーニングをやめ、スムーズに身体を動かす事を1番の焦点とすることにした。
「ハンドルは遠く低く、サドルは高くがプロっぽくてカッコいい」と思っていたが、自転車のポジションが当てずっぽうではどんなに動きを練習しても正しい動きは身に付かないだろうと思い、まずはフィッティングについて検索した。
しかし「元競技者の経験を活かしてホニャララ」という計測機器を使わない、勘を頼りにおこなうフィッティングサービスばかりがでてくる。
確かに高いレベルの競技者は沢山考え工夫を重ねてきたとは思う。
しかし長さや角度を測る目が養われた訳はなく、医学や物理学を修めた専門家でも無いだろう。
たまたまポジションがハマって競技でいい成績を残したとしても他人にもそのポジションが合う可能性は低い。
つまり目見当でおこなう、勘ピューターなフィッティング。これは自分の求めるものではなかった。
その中で、あのスペシャライズドが展開しているRETULfit(当時はBodyGeometryFit)が目に止まった。医学博士のアンディープルーイット氏が考案したフィッティングで、トム・ボーネン。ファビアン・カンチェラーラ。アルベルト・コンタドール。クリス・フルーム。そしてペーター・サガン。RETULを施された選手はみんな伝説級の選手になっている。
"自転車界最強のメーカーがモーションキャプチャーと医学博士の知識をもって作り、トッププロも信頼するシステム"
これだ!
すぐにRETULfitを受け正しい位置に機材がセットされた。
次に正しい動き方を学ぶ必要があるのだが、偶然にも美しく走っていたあの選手と運命的に知り合うことになる。
その方はとても明確にサイクリストがまずやるべき動作の入り口を教えてくれた。(どんな事を教わったかは後日、別で書こうと思う)
この頃から私は身体の動きに耳を澄ましながら走り始めた。
この新たなスタートは惨敗の経験があったからこその気づきだった。
次回へ続く
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