自転車におけるバイクフィッティングの必要性とRETUL FITについて①
バイクフィッティングはサイクリストにとって関心の高いトピックの一つだろう。
以前も軽く触れたが、私が何度かレースで結果を出せたのはタイムトライアルはポジションが大きく影響する種目なので、そこにRETUL FITを駆使できた事が有利になったのだと思っている。
そこで、フィッティングって何?出力はあがるの?怪我や痛みはなくなるの?そもそもやる必要あるの?
私なりに書いていきたい。
今回はサイジングとコーチングとフィッティングの違いについて。
自転車を始める時に購入するフレームサイズを店員さんに聞くと身長からオススメのフレームサイズを提案してくれるだろう。そして股下寸法などから大体これくらいというかたちにポジションを決めてくれるショップもある。
サイジングはショップ単位で行われる事が多く、統計から割り出した数字に自転車を合わせる事。
しかしライダーひとりひとりの柔軟性を加味したり、ライドで出てしまう痛みやブレを解決する事までするケースはほとんど無いないだろう。
次にコーチングについてだが、これはコーチの考えに合わせる事。そして自転車に人間を合わせていく事に近い。
計測機を使う事が少なく、多くは目見当でサドルやハンドルの位置を合わせ、人間の動きの方を補正して全体的なフォームをまとめていく事が多いだろう。速く楽に走る為に教わる事は必要だと思う。しかし教える側と教わる側の個人差が大きいのと、計測を感覚に頼ることが多いと思われるので精度に疑問を感じる。
ではフィッティングとは何かというと、自転車を人間に合わせる事だ。
メーカー作った計測器とメソッドをショップスタッフが習得して行うか、フィットサービスを個人で行っている事が多い。
フィッティングまずアセスメントにてライダーの身体的特徴のデータをとる。その上で計測器を用いてライダーの可動域を測定しながら、アセスメントデータを元にライダーにとってリスク無く力が発揮できるポジションを探りだす。
事前にアセスメントデータをとらないフィッティングは、私はフィッティングではないと考えている。ライダーの身体の特徴がわからなければ、人間に自転車を合わせることができないからだ。
例えばペダリング時にどうしても骨盤が安定せず左右に動いてしまい、股ズレを起こしたりするライダーがいるとする。坐骨幅を測定し、原因が坐骨幅にある事がアセスメントでわかれば、ライダーに合うサドルを適正位置にセットしてあげる事で骨盤のバタつきが減り、体力の取りこぼしが少なく出力出来るようになるだろう
伝説的な選手であるトム・ボーネンがまさにこれだったそうで、BGフィット(現在はモーションキャプチャを含めたRETUL FITに進化している)を受けた年に1回目のパリルーベ優勝をしたそうだ。
フィッティングではライダーの身体的特徴を理解しながら調整していく為、こういった解決ができるが、サイジングやコーチングではなかなか解決ができないだろう。
ところが周りを見渡すとサイジングやコーチング含め、全てがフィッティングだと思われてしまっている気がする。(フィッティングは宗教と言われる理由の一つだと思う)
たまたま身体に制約の少ないライダーがトレーニングに順応でき、競技力をスムーズに向上させる事もあると思うが、合わないポジションのままである事が競技力向上の妨げになってしまっているケースはあると私は考えている。
最悪の場合は怪我につながり、それがフィルターになり才能あるライダーが競技を辞めてしまうかもしれない。
ボーネンの様に合わないサドルのままでもトッププロになる選手もいると思うが、正しいフィッティングを早い段階で受け入れていればもっと少ない時間でトップオブトップに登りつめられただろうし、選手生命もさらに長かった可能性もある。
私自身もRETUL FITを受けてから競技力がスムーズに向上したと感じているし、故障もない。
とはいえ競技力をアップさせるのはあくまでトレーニングなので、フィッティングを受けたから「最大900Wだったのが1000Wに上がった」という事にはならないが、トレーニング効果に差が出る事はあると思う。
長くサイクリングを楽しみたい方はもちろん。競技思考のライダーは右肩上がりの成長曲線を実現させる為にも自転車を始めた早い段階でちゃんとしたフィッティングを受けてからコーチング等を受けるなどしてトレーニングする事を私はオススメしたい。
フィッティングの事は1回では書ききれないのでまた来週書きたいと思う。
②へ続く。